静岡市議会 > 2015-06-02 >
平成27年6月定例会(第2日目) 名簿
平成27年6月定例会(第2日目) 本文

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  1. 静岡市議会 2015-06-02
    平成27年6月定例会(第2日目) 本文


    取得元: 静岡市議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1         午前10時開議 ◯議長(繁田和三君) これより本日の会議を開きます。  この際、諸般の報告をいたします。  初めに、既に配布したとおり、公益財団法人静岡市まちづくり公社ほか9件の出資団体に係る経営状況説明書が市長より提出されました。  次に、6月17日、全国市議会議長会定期総会において、栗田知明君が勤続40年をもって特別表彰を、西谷博子君、栗田裕之君、田形清信君、井上恒彌君、石上顕太郎君、山本明久君が勤続20年をもって特別表彰を、また、三浦雅司君、亀澤敏之君、浅場 武君、佐藤成子君、牧田博之君、遠藤広樹君及び私、繁田が勤続10年をもって一般表彰を受けました。(拍手)  以上で諸般の報告を終わります。    ─────────────────── 2 ◯議長(繁田和三君) 本日の議事日程は、先刻お手元に配布したとおりであります。    ───────────────────   日程第1 議案第128号 平成27年度静岡市一    般会計補正予算(第2号) 外20件(総括    質問) 3 ◯議長(繁田和三君) 日程第1、議案第128号平成27年度静岡市一般会計補正予算(第2号)から日程第21、一般質問までを一括議題といたします。  これより総括質問に入ります。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  初めに、鈴木直明君。   〔6番鈴木直明君登壇〕 4 ◯6番(鈴木直明君) 皆さん、おはようございます。  田辺市長2期目のスタートというところ、あと繁田議長が新議長になって、一発目の質問に私がなったということで、非常に緊張しております。そこを何とか、ろれつの回らないところもあると思いますが、御容赦願いたいと思います。  新政会の鈴木直明です。
     それでは、通告に従いまして質問します。  私が初当選した2012年、静岡市役所へ向かう途中に立ち寄ったコンビニに、皆さんも御存じだと思いますけれども、「これでいいのか静岡市」という雑誌がありました。  それを手にとってみると、そこには「合併したのに静岡清水の大ゲンカはまだまだ続く!?」という見出しがありました。おふざけの雑誌かと思いきや、第1章で静岡市を由緒正しき歴史のまちとして、第2章、何とかなるさの静岡人の気質、第3章、平成の大合併で新静岡市の誕生、第4、5、6章で葵区、駿河区、清水区がそれぞれ抱える明暗、第7章、東海地震の防災対策、そして最終章の第8章で大合併を果たした静岡市の未来について、正しいか否かは別として、しっかりと現地取材しているなと読み取れる記事になっていました。  また、最初の編集方針に強烈なインパクトを受けました。その編集方針にはこう書かれています。   各地域の「街のイメージ」として貼られたレッテル  を各種統計データと実地取材によって検証している。  それらのレッテルを取り払った上で見えてくる、街の  真実を観ようとしている。街の真実の姿とは、集団と  しての住民のプロフィールだ。   街をつくるのは、そこに住む人々である。だから、  街を研究する行為はそのまま住民の研究に通じる。  我々が、統計データを重視するのは、それがそこに住  む住民が残した「数値化できる結果」であるからだ。  我々が、現地を徹底的に歩き回り、話を聞き、資料を  読み漁るのは、住民が作り出した「作品としての街」  を鑑賞し、また「データ」や「レッテル」と比較する  ことで、様々な側面からアプローチするためである。   結果として、劇画化されたような住民の姿を描く部  分も出てくる。しかし、これらはすべて事実に基づく  描写だ。これら露骨な描写には、既存の論調やイメー  ジに対するアンチテーゼ──これは何か正反対の命題  という意味だそうです──として、また解決が難しい  問題のあぶり出しに寄与する打撃力を期待している。   本書によって、これまで語られることの少なかった  街の魅力を世に広め、住民すらも気づかなかった問題  点の認識と是正の一助となれば、喜びに堪えない。 と書いてあります。  ここで私が注目した点は、まちの姿は住民のプロフィールということ、まちをつくるのはそこに住む人ということ、統計データを重視するのは、住民が残した数値化できる結果の3点です。  今から4年前の平成23年、田辺市長が誕生し、静岡市まちみがき戦略推進プランを工程表として市民の皆さんに提示しました。これは、4年間で必ず達成していきますという市長の強く熱いメッセージであり、かたい約束になると思います。  そして、約束は必ず守るんだという意気込み、ラストスパートとして、評価委員会などからの提案などにより変更したもの、社会状況などの変化により変更したもの、達成に向け拡充したもの、これら3点をカンフル剤として新たに追加し、「平成26年度進化版(最終進化)」として提示しました。  この最終進化の内容の一部を私が注目した3点に重ねますと、静岡が誇れるプロフィール、どれだけふえましたか。市民アンケートやパブリックコメント、政治に対しても市民は積極的に参加していますか。未来に役立つデータにするため、成果目標は全て数値化しましたか、になると思います。この問いに答えるためにも、「平成26年度進化版(最終進化)」の総括は絶対に必要になってきます。  そこで、3点お伺いします。  1つ目は、市長が市民の皆さんと約束したマニフェストを下敷きにし、つくり上げたまちみがき戦略推進プランについてです。  静岡を「希望の岡」にと掲げ、ないものねだりからあるもの探しへと伝え続けながら、まちの土台づくりとして、財政の健全化を図るなど、まちみがきを推進してきたと思います。そこで、市長がこの4年間で新たに探し出したもの、成果と3次総への反映について、お聞かせください。  2つ目は、戦略的なMICEの推進です。  平成21年度の年間観光入込客数2,500万人に対して、平成26年度の成果目標は2,650万人としています。この成果目標は、シティプロモーションの推進にも関連し、鳥の眼ビジョンの大きな柱の1つになっています。そこで、その達成状況と主な要因について、また、インバウンド旅行者が増加する中、旅行者獲得に向けた取り組みについてお聞きします。  3つ目は、静岡プレゼンスの強化です。  オクシズの活用について、成果目標を数値化しているものが2つあります。1つ目は、オクシズへの観光交流客数の平成22年度比で5%増について、その結果と分析及び今後の取り組みについて、2つ目は、南アルプスを誇りに思う市民の割合75%について、アンケート結果と目標達成に向けた取り組みについてお聞きします。  以上、1回目です。 5 ◯市長(田辺信宏君) 私からは、大項目、まちみがき戦略推進プランの総括のうち、市長のまちみがき4年間の成果についてお答えいたします。  4年間の成果を一言で申し上げるならば、3次総を力強く推進していくための土台づくりをしてきたと言えると思います。  議員御指摘のとおり、4年前の私のマニフェストを下敷きにして、タウンミーティングなどを実施して、市民の皆さんとつくり上げたまちみがき戦略推進プラン、この工程表に従って政策を推進をしてきたということであります。  このまちみがき戦略推進プラン、基本スローガンは、ないものねだりからあるもの探しであります。そして、静岡市を広く見渡す鳥の眼と、市民一人一人の生活を見詰める虫の眼と、この複眼的な視野を持って政策を推進をするということが肝であります。  この鳥の眼ビジョンでは、静岡市が持つ多彩な歴史や壮大な自然など、これまで当たり前と受けとめられていた多くの地域資源を探し、磨いてまいりました。  例えば、三保松原の世界文化遺産への登録推進、家康公四百年祭の開催、あるいは南アルプスユネスコエコパーク登録の推進など、静岡市固有の地域資源を磨き上げることによって、目指すべき都市の姿として、このプランに掲げた「求心力が強く、世界中から人が集まるまち」に1歩でも近づくための施策に取り組んできたつもりであります。  もう一方の虫の眼ビジョンという観点からは、目指すべき都市の姿としての「災害に強く、安心・安全に人が暮らせるまち」を実現するため、防災対策、子育て支援等々、市民の不安を解消するさまざまな取り組みを進めてまいりました。  一方、1期目の4年間で私が最も留意をしてきたのは、財政の健全化であります。今後3次総の推進を力強くしていくに当たって、持続可能かつ堅実な財政運営という立場から、この4年間は臨時財政対策債以外の通常債等の市債残高を100億円以上削減してきました。あわせて、静岡版事業仕分けであるとか歳入確保などの行財政改革により、総計459億円の削減効果、さらに、マンパワー、これは大変切ないことではございましたが、4年間で152人の職員削減を実現するなど、3次総に向けての財政基盤の土台づくりにも努めてまいりました。このような戦略推進プランの路線というものは、今後しっかりと、3次総に引き継いでいくつもりであります。  鳥の眼ビジョンにおける成果は、いわば地域資源に新しい価値を与えて、地域経済を活性化するということでありますので、3次総のキーワードである「創造する力」による「都市の発展」につなげていき、また、このプランの虫の眼ビジョンにおける成果は、いわば市民、企業、行政が連携して地域課題を解決し、生活の質を高める、3次総のキーワードでは「つながる力」による「暮らしの充実」として位置づけて、これまでの取り組みを発展的に継承していくということにいたしました。  そして、議員がお尋ねの探し出したものというのは、すなわちこれから8年間の3次総を進めるに当たって、静岡市の長所を最大限に生かしていくという発想から探し出したもの、つまり健康長寿と歴史文化のまちではないかということであります。恵まれた自然環境の中で、世界で一番長生きができる健康長寿のまちで、先達がここに積み残してくださった、蓄積してくださったさまざま歴史文化資源を生かして、これを磨き上げることによって、さらにここに人を集める仕組みをつくって、この健康長寿のまち、そして、歴史文化のまちという2つの都市ビジョンを追い求めることによって、人口70万人の経済活力を維持していくということが、プランから継承された3次総の志であります。  今後は、この1期目に取り組んだプランの上に立って、積極果敢に3次総を武器にして、議会あるいは市民の皆さんとともに、積極果敢に地方創生に取り組んでまいります。  以下は局長に答弁させます。 6 ◯観光交流文化局長(木村精次君) 戦略的なMICEの推進に関する御質問に一括してお答えいたします。  まず、観光入り込み客数の現状とその要因についてですが、本市はまちみがき戦略推進プランにおいて、平成26年度に年間2,650万人を目標に掲げてまいりましたが、25年度には約2,760万人を記録し、1年前倒しで、また、目標を大幅に上回る形で達成したところでございます。さらに、26年度も目標値をおおむね達成する見込みとなっており、本市の求心力が着実に向上しているものと考えております。  観光入り込み客数が増加した主な要因といたしましては、まず三保松原の世界文化遺産登録を初め、南アルプスのユネスコエコパーク登録、久能山東照宮の国宝指定など、本市が有する地域資源の価値が世界基準で認められたことが挙げられます。  また、本市の重点政策MICEの推進の成果である国連軍縮会議や静岡マラソン、家康公四百年祭などに国内外から多くの人々が訪れたことに加え、円安傾向の進展、継続やビザ要件の緩和等により、我が国への訪日外国人が飛躍的に増加していることなどが、本市の観光入り込み客数の増加に影響しているものと考えております。  次に、外国人観光客の獲得に向けた具体的な取り組みについてですが、本市では既に地方創生に係る国の動きに呼応し、2月補正において免税カウンターの整備や外国人観光客向けクーポンブックの作成、旅行エージェントやメディア関係者の招請など、外国人観光客の誘致に向けた具体的な事業に取り組んでいるところでございます。  今後は、これまでの取り組みや先ほどの現状認識をもとに、2つの観点から事業を展開してまいります。  1つは、MICE誘致のさらなる推進でございます。  27年度、家康公四百年祭の一環として開催される「「第18回日本・スペイン・シンポジウム」in静岡」を成功させ、本市の都市力を国内外に広く発信することはもとより、国の省庁との緊密な連携のもと情報収集に努め、新たな国際会議等を積極的に誘致してまいりたいと考えております。  そして、もう1つは、オール静岡の体制構築でございます。  本市は、訪日外国人が急増している現状をとらえ、官民が連携し、積極的に外国人観光客誘致に取り組むため、オール静岡インバウンド推進会議を設置することといたしました。この組織は、マーケティングと現状把握から受け入れ基盤の整備やプロモーション方策の検討まで、外国人観光客誘致に必要なさまざまな課題に、官民連携によるオール静岡の体制で取り組んでいくものであります。  また、観光振興を地域経済の活性化に効果的につなげていくため、地域のさまざまな主体が参画し、あらゆる地域資源を生かしていくオール静岡のプラットフォーム、いわゆる静岡版DMO──ディスティネーション・マーケティング・オーガニゼーションの略でございますが──の構築を見据えた体制づくりについても調査研究してまいります。  当組織は、6月27日の土曜日に設立総会及びキックオフイベントを開催し、スタートを切りますが、以後、ワーキンググループも設置し、インバウンド誘致に向けた具体的な取り組みに着手してまいりたいと考えております。 7 ◯経済局長(築地伸幸君) オクシズへの観光交流客数、平成22年度比5%増の目標に対する26年度の結果とその分析、今後の取り組みについてですが、オクシズへの観光交流客数は、平成25年度は22年度に比べ4.2%の増となるなど、おおむね増加の傾向を示してまいりましたが、26年度は一転して22年度比で1.7%減という結果になりました。これは、夏から秋にかけての観光トップシーズンにおいて、週末土日の約半数が降雨となったことから客足が鈍ったこと、また、たび重なる台風の襲来とそれに伴うアクセス道路等の通行規制が影響し、観光交流客数が一時的に減少したものであると分析しております。  このような一時的な減少はあったものの、オクシズはそのネーミングが広く定着しつつあるとともに、また、南アルプスがユネスコエコパークに登録されるなど、ポテンシャルは非常に高く、市民のオクシズへの関心、期待も高まっているものと感じています。  そのような背景から、オクシズの大切さや、オクシズから恩恵を受けていることを市民の共通認識とし、オクシズの振興を総合的かつ計画的に推進をするために、本年4月1日にオクシズ地域おこし条例を施行したところでございます。  このような流れを受けまして、観光交流客数の増加に向けた今後の取り組みについてですが、まずオクシズへ観光交流客をいざなう導線たる道路等のインフラ整備につきましては、今後とも継続して進めてまいります。  また、オクシズのおもてなし環境の向上を図る観光トイレの整備、南アルプスユネスコエコパークの情報発信基地として機能を持った井川ビジターセンターの整備、日本百名山である光岳をめぐるルート開設を視野に入れた南アルプス登山道の整備などのハード事業を実施してまいります。  さらに、地域資源を磨き上げて、オクシズの魅力を高める「おらんとこのこれ一番事業」、古くからオクシズで大切に保存されてきた希少作物の魅力を発信するオクシズ在来作物の保存・活用事業、それから、南アルプスユネスコエコパーク井川自然の家の利用を団体から個人にまで広げた受け入れ条件の拡大などのソフト事業もあわせて進め、庁内、また、官民連携のもと、観光交流客数の増加に力を注いでまいります。  そして、これらの事業を通しまして、より多くの皆さんにオクシズへの来訪を促し、オクシズの活性化につなげてまいりたいと考えております。 8 ◯環境局長(小林正和君) 南アルプスを誇りに思う市民の割合75%の結果と、目標達成に向けた取り組みについてでございますが、南アルプスにとりまして、平成26年度は6月にユネスコエコパークに登録され、同時に国立公園指定50周年の節目の年となりました、これを記念して、本市では平成26年7月に南アルプス子ども未来フォーラムを開催いたしまして、多くの子供たちに自然の大切さ、山の魅力を伝えるとともに、青葉イベント広場、静岡科学館「る・く・る」でもトークセッションや体験型のイベントを行い、合わせて1万3,000人を超える市内外の皆さんに南アルプスのすばらしさを伝えることができました。  これらの事業を通じまして実施したアンケート調査では、96.4%の市民の皆さんに、南アルプスを誇りに思うとの御回答をいただき、南アルプスに対する誇りや思いが、より一層高まったものと感じております。  今後、本市におきましては、国の特別天然記念物で南アルプスのシンボルでもあるライチョウの保全対策に重点的に取り組むとともに、プロモーションビデオや情報発信サイトの構築など、自然環境の保全と利活用、地域振興の取り組みを総合的に進めてまいります。  また、南アルプス地域全体としても、既存の南アルプス世界自然遺産登録推進協議会を構成いたします10市町村を中心に、国、県、関係団体等との新たな連携体制を構築し、ユネスコエコパークのブランド力を生かした魅力ある地域づくりを目指してまいります。   〔6番鈴木直明君登壇〕 9 ◯6番(鈴木直明君) それでは、2回目です。  第3次静岡市総合計画の基本計画で、静岡市の人口は現状のまま推移すると、2025年には65万3,000人まで減少すると推計。その人口減少が地域経済や市民の暮らしなどにさまざまな影響を及ぼしてしまう。人口の維持は、地域の持続的な発展のための極めて重要な課題であることから、危機意識の共有化と目標の設定により、オール静岡でその対策に取り組んでいかなければならない。そこで、人口減少対策を進める上で、市民と行政の心が1つとなるわかりやすい目標の設定に主眼を置き、最大の目標として、第1次ベビーブームの世代が75歳、後期高齢者となる2025年に総人口70万人を維持することを掲げました。  その実現に向け、1つは、静岡市が持つ地域資源に新しい価値を与え、地域経済を活性化する「創造する力」による「都市の発展」、これは産業・経済の振興に結びつける政策です。  次に、市民、企業、行政が連携して地域課題を解決し、生活の質を高める「つながる力」による「暮らしの充実」、これは安心・安全を確保していくための政策です。  この2つの政策群のもと、市政のさらなる展開を図るため、優先的に取り組む6つのプロジェクト、そして、ひと、まち、にぎわい・活気、安心・安全の4つの要素で10の分野を設定し、さらに41の政策、132の施策を設定しています。そこには成果指標と目標値を定めて、静岡まちづくり8年計画として、また、市民の皆さんの約束として3次総をつくり上げました。  ここで、2025年総人口70万人の維持への施策について、何点かお伺いしたいと思いますが、その前に、本市も直面している急速な人口減少と少子高齢化について、データと推計値で見てみます。  世に言う増田レポートでは、2040年、全国約1,700自治体のうち、約半分に当たる896の自治体が消滅の危機にあると公表し、静岡県も35自治体のうち11の自治体が消滅の可能性があるとされています。消滅の危機の定義の1つに、出産年齢の中心となる二十歳から39歳の女性が2040年までに半減してしまうことを挙げています。  本市も、2010年から2015年までの純移動率の推計で、女性はほぼ全ての年代で転出傾向にあり、今後も市外への転出傾向は続くと予想しています。  次に、2025年の本市の年齢区分別将来推計人口ですが、2010年の71万6,000人を基準とした場合、総人口は6万3,000人の減少、ゼロ歳から14歳までは2万3,000人の減少、15歳から64歳までは7万2,000人の減少、65歳以上は3万1,000人の増加と予測しています。ここから見えてくることは、生産人口と出産年齢の中心となる女性が大幅に減少し、市の財政もより厳しくなる中で、確実に少子高齢化を迎えることです。  さらにショッキングなことは、平成26年度の国内の出生数が過去最少の100万3,532人、結婚件数も戦後最少となってしまったことです。ちなみに本市の出生数は、政令市20市で最少の5,371人です。  このような状況の中、本市は昨年度、静岡市人口減少対策推進本部を立ち上げ、本年度は静岡市創生会議を開催するなど、既に人口ビジョン及び総合戦略の策定に動き出しています。総合戦略策定までに、さらなる議論や検討を重ねていくことと思います。  そこで、この課題に立ち向かう姿勢を市民の皆さんに見せていただくため、3点お伺いします。  1つ目は、自然減対策の少子化対策です。  子供は私たちに元気を与えてくれる希望です。その希望が減ってしまう、こんな寂しいことはありません。本市の合計特殊出生率は1.41です。これを将来人口が安定する人口置換水準の2.1にすることがベストですが、まずは国民希望出生率の1.8に近づけることが急務となります。そこで、出生率1.8に近づける対策について、次に入学前児童の保育の拡大と、育児費用の直接的軽減の現状と、新たな対策についてお聞きします。  2つ目は、3次総の前期実施計画の中に、総人口70万人の維持に向け、現時点で予定している事業が示されていましたが、そのほとんどが「静岡暮らし」にかかわるものです。これも大切な事業だとは思いますが、社会減対策として、雇用の維持と増加対策も重要な取り組みであり、市内企業は絶対に守らなければなりません。そこで、市内企業へのUターン、Iターン、Jターン就職を促すための施策についてお聞きします。  3つ目は、まず本市の出生率1.41をふやす自然減対策、次に静岡市の雇用を守り、静岡暮らしを促す社会減対策について質問しました。この2点は積極戦略となりますが、人口減少の取り組みには、もう1つの視点である、効果的、効率的な行政やまちづくりをしていくという調整戦略、適応策を同時に進めていかなければなりません。そこで、適応策の1つとして広域連携の推進を挙げていますが、本市の姿勢についてお聞きします。  以上2回目です。 10 ◯子ども未来局長(平松以津子君) 自然減対策の少子化対策についての2点の質問にお答えします。  まず、国民希望出生率1.8に近づける対策についてですが、平成26年12月に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生長期ビジョンでは、我が国において、若い世代の就労、結婚、子育ての希望が実現すれば、合計特殊出生率は1.8程度の水準まで向上することを見込んでおります。  本市が平成25年に実施した子ども・子育て支援に関するニーズ調査においても、理想とする子供の数と実際の子供の数の間には乖離があり、これを解消する必要があります。  合計特殊出生率の目標については、人口減少対策として策定中の静岡市総合戦略の中でも検討すると承知しておりますが、静岡市子ども・子育て支援プランでは、平成42年の合計特殊出生率1.8の実現を見据えて、31年度末の合計特殊出生率1.57を設定し、結婚、妊娠、出産、子育ての各段階に応じた支援を充実させることとしております。  具体的には、幼児期の教育・保育や学童期の放課後子ども対策はもとより、地域の子育て支援の充実やしずおかエンジェルプロジェクトによる結婚を応援する機運の醸成に取り組んでいきます。  また、平成27年度から子育て世代包括支援センター事業を開始し、妊娠期から子育て期にわたり相談しやすいワンストップ窓口で専門の職員がきめ細やかな支援を行ってまいります。  プランに基づき、こうした施策を総合的に実施することにより、喜びと安心感を持って子供を産み育てることができる環境づくりを進め、出生率の向上に努めてまいります。  次に、入学前児童の保育の拡大と、育児費用の直接的軽減の現状と、新たな対策についてですが、本市におきましては、就学前の保育の量的拡大のため、平成25、26年度に待機児童解消加速化計画に基づき保育量を確保した結果、本年4月の待機児童数は、前年に比べ実質半減しました。これは、子ども・子育て支援新制度移行により保育ニーズが増加している中での大幅な改善であり、認定こども園への移行など、本市の積極的な取り組みの成果であると考えております。
     今後につきましては、静岡市子ども・子育て支援プランに基づき、潜在的な保育ニーズにまで対応できるよう、認定こども園、小規模保育事業の新設、幼稚園の認定こども園への移行などの整備を平成29年度までの3カ年で集中的に進め、3,000人分を超える教育、保育の受け皿の拡大を行い、年間を通じての待機児童解消を実現してまいります。  育児費用の軽減につきましては、これまでにも子ども医療費助成や保育料における多子軽減などの施策を講じてきました。  今後につきましても、こうした取り組みを継続するほか、放課後児童クラブの利用者負担について、同時に入会している兄弟の数や、世帯の所得の状況に応じて軽減措置を講ずるなど、支援策の充実に努めてまいります。 11 ◯経済局長(築地伸幸君) 人口70万人の維持に向けた社会減対策としての市内企業への就職を促すための施策についてですが、第2次静岡市産業振興プランでは、市内就業者34万人余の維持を掲げており、そのためには、Uターン、Iターンなど、首都圏から市内企業への就職を促すことが特に重要であると考えております。  また、本市では、20歳から24歳の若い世代、とりわけ女性の市外転出が目立つことから、若者や女性を対象に、市内企業への就職を促す取り組みに近年力を入れております。具体的には、若者就活応援サイトしずまっちに市内企業の情報を集約、発信するとともに、経営者と学生の交流会リクルートカフェを市内や首都圏等で開催し、本市の特色ある企業を学生に紹介する取り組みを行っております。  平成27年度は、新たに市内企業のよさを伝える3つの事業を実施いたします。1つ目は、市内企業のインターンシップ説明会を首都圏で開催します。2つ目は、首都圏での説明会を受けて、市内企業のインターンシップに参加する学生の交通費や宿泊費を助成します。3つ目として、特に市内で学ぶ女子学生を対象に、市内企業で活躍する女性経営者等との交流会を実施します。  こうした事業を通して、本市の特色ある企業のよさを紹介するとともに、10月末までの策定を予定している静岡市総合戦略において、女子学生向け交流会の首都圏での開催、それから、市内の大学、高校等との連携による卒業生への就職情報の発信、東京駅前に立地する地方移住促進拠点、移住・交流情報ガーデンを活用した市内への転職セミナーの開催など、若者のU、I、Jターン就職に向けた各種事業の拡充を検討してまいります。 12 ◯企画局長(山本高匡君) 総合戦略における広域連携の本市の姿勢についてお答えいたします。  人口減少、少子高齢化が進む我が国において、人々の生活圏や経済圏は、1つの自治体の区域内で完結するものではございません。静岡県中部地域においても例外ではなく、人口約120万人を擁するこの圏域全体の活力の向上が、本市の発展につながるものと考えております。  そうした考えに基づき、本市はこれまで静岡県中部5市市長会議の事務局を担い、他の4市とともに広域連携の推進に向けた議論を行ってまいりました。  さらに、平成26年度には、この枠組みを中部地域の5市2町に拡大し、本年4月には、副市長副町長会議を初めて開催するなど、広域連携の推進体制を整え、圏域の活性化につながる広域的な取り組みについて、積極的に提案してまいりました。  その結果、今後において一歩進んだ取り組みが見込めることとなったため、本市は4市2町の首長の方々の合意を得て、総務省の新たな広域連携促進事業に応募し、このたび選定を受けたところでございます。  今後、本年4月、本市が東京有楽町に設置した移住支援センターを活用した移住セミナーの共同開催や、広域観光ルートの作成等、人口維持と地域の活性化につながる取り組みを実施し、この圏域の広域連携の推進につなげてまいりたいと考えております。   〔6番鈴木直明君登壇〕 13 ◯6番(鈴木直明君) それでは、3回目は意見・要望です。  今回は、まず静岡市まちみがき戦略推進プランの「平成26年度進化版(最終進化)」の総括として、私が今まで6回の総括質問で共通テーマとしています静岡プレゼンスの強化、特に観光交流人口の増加についてお伺いしました。これは、人口が減り、税収も減る。であるならば、静岡に来てお金を使ってもらい、静岡っていいねって体感してもらう。そして、その先の選択肢に「静岡暮らし」を入れてもらうという、つながる観光を考えているからです。  2回目の質問で、3次総の最大のミッション、2025年総人口70万人の維持についてお伺いしました。これはどこの地方都市も抱えている大きな課題です。この課題を打ち破るため、オール静岡として、同じ認識、同じ方向に進んでいかなければなりません。  この総人口70万人を維持するというミッションは、とてつもなく高いハードルになります。それを実現するため、静岡市まちみがき戦略推進プランでは成果目標だったものを3次総では指標に変えています。  一見、余り差のない同じ意味にとられがちですが、目標とは、そこに行き着くように、また、そこから外れないように目印とするもので、指標とは、物事を判断したり評価したりするための目印となるものとなります。簡単に言えば、大きくずれなければオーケーという考え方から、いい悪いを評価、判断するに進化させました。そして、指標は全て数値化しています。  この先10年、総人口70万人を維持していくことは、現状の人口減少シミュレーションからは夢物語のようなミッションに思えますが、市民と行政が心を1つにし、オール静岡で立ち向かっていくんだという、攻めの姿勢を指標という形でしっかり示したこと、大いに評価すべきであると思います。  新しい静岡丸のすばらしい船出になると思いますが、この攻めの姿勢を結果に結びつけるためには、職員が丹精込めてつくり上げた政策、施策を、市民の皆さんに丁寧にわかりやすく伝えていくこと、よく理解してもらうことが必要不可欠となります。  本市がこの指標を達成するためには、現状分析を十分に行いながら、課題を細かく数値化していく。そして、その数字が示すものを読み取り、最も適した施策で成果を上げていくことが重要です。  例えれば、人間ドックで体の隅々までチェックし、体のよしあしを数値で判断する。その数値を範囲内におさめるため、投薬などの治療を行って元気になっていくということではないでしょうか。これが素早くできなければ、治るものも治りません。すなわち、ここに住む私たち、特に子供たちの未来が決まってしまうと思えば、責任は重大です。  本市も、東京有楽町に移住支援センターの設置や、移住者に本市での暮らしの魅力を聞いたプロモーション動画を投稿サイトで公開するなど、攻めの姿勢を見せていますが、移住・定住促進事業は、どの自治体も危機感を持って展開しています。いかに静岡らしさを伝え、興味を持ってもらえるかが大切であり、そこにはインパクトのあるアプローチも必要となります。  本市は、総人口70万人の維持に向け、中山間地域への移住・定住を促進することにより、地域コミュニティの維持と地域の活性化を図るため、中山間地域空き家情報バンクの運用をスタートしました。  また、同じような人口減少対策で、静岡県は移住・定住情報サイト「ゆとりすと静岡」、浜松市も中山間地域の支援制度、「浜松山里いきいき応援隊」などをスタートしております。  本市の中山間地域空き家情報バンク、ごく普通の名称で、情報発信という意味では、インパクトが足りないと思います。わかりやすさはありますが、インパクトがありません。  そこで、このようなプロジェクトに対しての名称への提案です。何よりもこの施策によって移住・定住した人たちに感謝されよう、また、感謝しようという気持ちを込めてみました。その名称は、AKB39プロジェクト。その意味は、笑いが起きると思っていましたが、真剣に考えました。その意味は、空き家活用バンクの頭文字をとってAKB、そこに感謝の気持ちをストレートにあらわす、ありがとうのサンキューを数字の39であらわしたプロジェクト名、AKB39プロジェクト。  ここで私が何を伝えたかったのかというと、同じ空き家をテーマにしても、発信方法をほんのちょっと変えるだけで何か違う雰囲気になり、興味が湧いたり興味を持ってもらえる。そして、行動を起こすきっかけにつながってくれれば、さらにオーケーと考えています。それも、何より行政からの発信に、流行、はやりというもの、ごく身近に感じるものをプラスした提案になれば、人を引きつける魅力あふれる提案になってくるはずです。  ここで、皆さんも御存じだと思いますが、ダーウィンの法則としてよく知られている言葉を伝えたいと思います。生き残り栄えるものは、大きいとか強いとか頭がいいことではない。時代を超えて生き残り栄えるものは、時代を予測し、適応し、変革することができるかにある。  最後になりますが、田辺市長も2期目のスタートを切り、市政運営の1丁目1番地となる3次総も既にスタートしています。この3次総は、市民の皆さんとの大切な約束です。この約束を必ず守り抜き、「世界に輝く静岡」を実現するため、オール静岡で時代を予測し、適応し、変革しながら、時代を超えて生き残り、栄えていきましょう。皆さん、ともに歩みましょう。    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 14 ◯議長(繁田和三君) 次に、尾崎剛司君。   〔12番尾崎剛司君登壇〕 15 ◯12番(尾崎剛司君) これより通告に従いまして質問させていただきます。  質問内容は2点、市長の政治姿勢と、大阪都構想から考える今後の自治のあり方についてです。  今回、抽選で質問の順番が早くなったものですから、この後、同じ項目で質問される方もおりますので、再質問はせず、聞きたいことを一気に聞く形で進めたいと思っております。よろしくお願いします。  まず、大項目1、市長の政治姿勢の中項目1、市長選挙を受けてです。  改めて田辺市長、4月の市長選での勝利、おめでとうございました。  公約として掲げられた3次総を議決した一員として、その推進のため、微力ですが、私も力を尽くしていきたいと考えております。  18万票を超える票を獲得し、ほかの候補者を寄せつけない圧倒的な勝利となったわけですが、当確後のインタビューの開口一番に、実るほどこうべを垂れる稲穂かなとおっしゃったのが印象的でした。  そんな謙虚な姿勢をお持ちの田辺市長だからこそ、あえてお聞きしたいと思うのは、厳しい声に対する受けとめです。  選挙戦を通じて、市民の中には、決断力や、より強いリーダーシップを求める声や、この後の質問でも触れますが、東静岡の市有地の活用など、よりスピード感を求める声などを聞くことがありました。田辺市長に投票した市民の中に、1期目は土台づくりだった。2期目はシフトチェンジしていくという訴えに改めて期待した、いま一度託した、そんな方も少なからずいたのかなと感じております。  選挙戦を通じ、特に市民からの厳しい声についてはどのように受けとめられたか、今後そのような声にどのようにこたえていきたいか、お聞きしたいと思います。  次に、東静岡の市有地についてです。  今回の市長選挙でも、東静岡の市有地の活用は争点の1つとなり、市民の関心の高まりを感じております。選挙戦において市長は、2段階の整備をしていく。1段階目は、市民がイベントなどで主体的に活用できる広場として、ヒアリングを通じて芝生広場ではないと確認しましたが、そのような整備を考えているとのことでした。1段階目の検討状況、どういう活用を想定しているのか、お聞きしたいと思います。  平成25年に実施しましたオープンハウスの成果として、市民の意識としては、中密度の利用、ホールとかスタジアムとかアリーナとか、そういった整備を希望する声が多かったと承知しております。しかし、2年たって、この選挙戦を通じても、広場や公園としての利用を望む声が強くなってきているのかなという感じを持っております。こうした低密度の利用を希望する声をどう捉えているのか。  また、今後広場として整備した場合、2段階目の施設整備に入る際には、広場のままを希望する声が少なからず出てくるのではないかと考えますが、御見解をお聞きしたいと思います。  2月の総務委員会におきまして、施設整備を3次総の後期に回した理由として、東京五輪で人件費、資材費が高騰している時期に投資するべきではないという理由とあわせ、県が新設するこのはなアリーナの利用状況を参考にしたい旨が示されました。  4月5日の大相撲富士山静岡場所を皮切りに運用が始まりましたが、大規模なイベントは非常に少ないのかなと感じているところです。競合する施設となり得る県のこのはなアリーナの利用状況をどう見ているのか、お聞きしたいと思います。  東静岡の市有地について、ここ5年ほどを簡単に振り返りますと、県が学園の土地に体育館をつくると決めたのが22年でした。23年から田辺市長が就任し、24年に文化、にぎわい、防災をテーマにコンペを行い、25年にその結果を市民に見てもらおうと、オープンハウスを行いました。当初は、25年度中に整備方針を決めるはずでした。ここで決まっていれば、非常にスムーズだったと思いますが、その後は検討状況が見えにくくなり、総合計画策定までに決めるという話から、現在は総合計画の前期4年間で方針を決めるということになったと理解しているところです。  こうしたこれまでの経緯を考えますと、今後まずすべきことは、決め方を決めることではないかと思っております。どういうプロセスを経て方針を決めるのか、ロードマップをまずつくるべきだということです。  その上で、今回の市長選を通じて市民の関心がより高まる中、検討過程をオープンにしていく。アリーナにしろ、スタジアムにしろ、建設費だとか維持費だとか、他都市の事例や民間活力をどう使うかの手法など、検討の過程をオープンにして、課題も共有できる形で議論を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  中項目の3つ目、新幹線についてです。  静岡の人にとって新幹線というのは、1時間に1本ひかりがあって、こだまは2本あると。ひかりを乗り過ごすと、1時間待たなければならないので大変だと、大体そんな意識が定着しているのではないかと思っております。  ただ、実際は新幹線はもっと通っております。釈迦に説法だと承知で言いますが、東京駅発の新幹線、日によって違うので、例えばきょう、6月19日の午前10時から11時の時間に新幹線が何本発車しているか。これ、尾崎調べで数えたところ、11本発車しています。2本がこだま、2本がひかり、11本中7本はのぞみです。夜の7時から8時の時間帯が一番多いのですけれども、1時間に15本もの新幹線が発車しています。そのうち、こだまが3本、うち1本は三島どまりです。そうすると、静岡駅を通る新幹線でいいますと、1時間に14本も通っていて、そのうち10本は素通りしてしまうのぞみだということになります。  今まで、静岡には高速道路もある、新幹線もあって、インフラには恵まれていると思っていたわけですが、事新幹線に関して言えば、スタンダードは完全にのぞみなわけで、考えを変えなければならないと感じております。  御承知のとおり、素通りするこの10本ののぞみは、静岡駅だけではなく、静岡県内のどこの駅にもとまりません。この状況を放置していいのかという問題提起です。  そうは言っても、当然相手のある話ですから、JRとすれば、飛行機との競争が念頭にあるのはわかりますし、採算を重視する中で、のぞみ重視のダイヤ編成でしょうし、静岡にとまることは大都市間輸送の障害になるのだということは、企業の理屈としては自分もわかります。ただ、だからといって、静岡市としてこの状況を放置していいのかと言えば、それは違うだろうと思うわけです。自分としては、少しでも状況を好転させるべく力を尽くすべきだろうと思うわけです。  2027年にリニアが開通すれば、状況が変わるだろうという話を聞くこともありますが、今後10年以上もこの状況を放置しておくという感覚は、2025年の時点で人口70万人維持を掲げ、人口減少を喫緊の課題として取り組む静岡市として、いかがなものかと思うわけです。  一昨年、この新幹線の話を観光・交流事業調査特別委員会で初めて問題提起させてもらって、昨年は産業振興策調査特別委員会でも同じ発言をさせていただきました。観光客誘致にしても、企業の経済活動を考えても、当然静岡市民の利便性を考えても、のぞみの停車が本市にもたらす効果は非常に大きいだろうと考えます。  そこで、3点お聞きしますが、これまでの市としてのJRへの働きかけの経緯について、どのような活動をしてきたのか、整理して教えていただきたいと思います。  2点目として、のぞみの停車やひかりの停車増について、市は何が課題だと承知しているのか。例えば、乗降客数が足りないのか、ホームを改修すれば実現できるのか、どんな課題があるのでしょうか。  3点目として、のぞみの停車、ひかりの停車増の本市への効果、必要性をどのように考えているのか。また、それに向けた取り組みをすべきだと考えますが、当局の見解をお聞きしたいと思います。  次に、大項目の2、大阪都構想から考える今後の自治のあり方です。  大阪市を廃止して5つの特別区を置くことで、二重行政の解消を初め、府市合わせと言われた府と市の関係から、役割分担を明確にし、広域行政を一本化し、住民自治の拡充といった効果が見込まれるのが大阪都構想です。  5月17日に行われた賛否を問う住民投票では、有権者210万人、投票率は66.83%、賛否が拮抗し、予測が全くつかない中、反対が賛成を僅差で上回る結果になりました。  投票結果の分析では、南北の地域差が鮮明だったことや、世代別の分析で、20代から60代までは賛成のほうが多かったことも話題になりました。橋下市長の政治手法の好き嫌いも争点だったという見方もあるようですが、いずれにしても、大阪市民に自治のあり方を問うただけでなく、日本中の関心を集めた住民投票だったと思います。  特に、本市も、規模は違いますけれども、同じ政令市という中で、改めて自治のあり方を考える契機となったのではないかと感じております。  今回の経緯や住民投票の結果をどのように受けとめたのか、本市への影響についてもお聞きしたいと思います。  この大阪都構想では、府と市の二重行政の解消が大きなテーマとなっていたわけですが、本市と静岡県の間における二重行政の問題をどのように捉えているか、お聞きします。  資料としてお配りしました新聞記事では、市長は二重行政の問題はないとお答えになられていますが、その真意をお聞きしたいと思います。  また、県からの権限移譲、財源移譲の現状についてもお聞きしたいと思います。  この大阪都構想の根深さについて、ちょっとだけ聞きかじった話をしたいのですけれども、大阪市が発足したのが今から126年前の1889年です。このときの大阪市には、市長や独立した市役所は置かれなかったそうです。明治政府が、国内の重要拠点ということで、ほかの市では市議会が推薦した候補者から内務大臣が市長を選任していたのに対し、東京、大阪、京都の3市は、内務大臣が選任した府知事が市長を兼ねるという市制特例が適用されていたそうです。  大阪市には4つの区役所が設けられましたが、市の行政組織は府庁舎の中に置かれていて、市役所庁舎はなかったそうです。その後、自治を求める住民の運動があって、9年後に市制特例が廃止されたそうです。  戦後、1947年に府や県と並ぶ権限を付与する特別市制度を盛り込んだ地方自治法が施行されると、大阪市は法が施行されたわずか2カ月後に特別市移行を目指した対策本部をつくったとのことです。  歴史的な府と市のこの対立の根深さを感じるわけですけれども、その後は御承知のとおりで、特別市というのは、府や県の反発が強い中で実現されることがなく、1956年の法改正で、一般市より権限は強いけれども、あくまでも府や県の一都市としての代替策、政令指定都市制度が創設されることになります。まさに妥協の産物だというのがよく言われるところです。  話を少しずつ中項目の県都構想へ移したいと思います。  本市は、地方分権改革や市町村合併が推進される中で、先陣を切る形で府や県並みの権限を持つ政令指定都市になったわけですが、この政令指定都市制度は、言いかえれば、府や県の中に府や県をもう1つつくるようなもので、二重行政を初めとした弊害が出てくることが当然の制度なのだろうと感じております。  こうした不完全とも言える制度を克服し、より自立的な都市経営を目指す方向として、本市は特別自治市を目指していたと思います。私もその方向性に賛同していたところです。  しかし、新聞記事にあるとおり、特別自治市を声高に求めるより、むしろ政令市の自力、実力をつけることが今は大切だ。政令市としての権能を全て生かし切れているという段階には至っていないという市長の御発言からも、浜松市の特別自治市として独立できる体制は整っているという発言と比べますと、大きな差を感じるところです。  そこで、本市の何が問題で、政令市の権能のどのような点を生かし切れていないと感じているのか、お聞きしたいと思います。  あわせて、G3の場で協議されてきた静岡型特別自治市についてですが、本市としては、近い将来の実現を目指すことをやめたということでいいのか、お聞きしておきたいと思います。  大阪都構想の住民投票が行われた翌日に、県知事から静岡型県都構想というものが提唱されました。県と静岡市を一体的に運営して、二重行政の解消を目指す。市役所業務に県職員がかかわり、市と県の一体化を県主導で実現させる。行政のトップは知事で、静岡市長は市担当の副知事にする。簡単にまとめると、こんな趣旨だと思います。  市長とすれば、選挙を経たばかりで、冗談じゃないという気持ちは察しますし、手続論、やり方論の批判は理解できるところです。  ただ、知事は、昨年12月に既に静岡市を県直轄の都市にという発言もしておりましたし、今回は県内を5つの圏域に分けて、県の財源、権限、人材をおろしていく。ベースは石川県知事時代の政令県構想だということまで示されますと、最初は思いつきの発言だったかもしれませんが、半年たつ中で、本気度は増してきているように感じております。  東静岡のアリーナの件では、初めは思いつきだろうと思っていた話が、現実となってしまったという苦い経験もあり、実現には法的な問題もあることは承知しておりますが、かといって、ただ受け流すだけでは済まない気がしております。  知事は、秋に行われるG3の場でこの問題を提案するとまで言っており、静岡市とすれば、県都構想を上回るような主張をしていく必要があるのではないかと感じているところです。県都構想について、G3の場でどのような主張をしていくつもりか、お聞きしたいと思います。  この県都構想に対して、一つの違った方向性となるのかなと考えるのが、今議会でも上程されている連携中枢都市圏構想です。  国レベルで進む人口減少の中で、東京一極集中をやめると、地方創生だという流れの中での取り組みだと理解しております。  中枢都市については、26年の施政方針で強く触れられていて、静岡市という一自治体の枠組みではなく、周辺6市2町の商圏人口158万人を視野に入れて、圏域の人口活力の維持という新たな視点に立って取り組んでいきたいと。その中核を担うべく、周辺市町との連携をさらに深め、地域の活力を高めていくという考えが示されておりました。私は、こうした考え方に強く共感していたところであります。  今回の議案では、中部4市2町との間での連携中枢都市圏構想が示されましたが、この構想で目指す本市の方向性、あり方についてお聞きしたいと思います。  次に、道州制についてです。  知事が県都構想が本気なのかなと感じる理由の1つとして、余りマスコミで報道されていませんが、県の人材を市に入れるのは、今後の道州制へのプロセスだと発言している点です。なかなか一気に道州制へ移行するのは難しいでしょうし、平成25年ごろまでは、各党が推進法なり基本法を制定すると議論は盛り上がっておりましたけれども、町村議長会が反対姿勢を示したりする中で、最近は議論も下火なのかなと感じております。  ただ、市長は、道州制推進知事・指定都市市長連合にも名前を連ねているということで、道州制について、将来の静岡市のありようも含めて、どのようなお考えか、お聞きしたいと思います。  最後に、中項目3の目指す県市の関係についてです。  市長選挙では、知事はどの候補も支援しないというスタンスでしたが、候補者の一人は知事との関係の深さをアピールし、県との関係を争点の1つとして掲げている様子がうかがえました。  私は、市長は県に対して主張すべきは主張していくという姿勢は当然だし、頼もしいと感じていると同時に、市としても、それだけの力をつけなければならないとも感じております。  例えば、東静岡の有識者会議ですが、お手元の資料の2)を見ていただけばわかるとおり、静岡市内のまちづくり、2)といっても、多分番号振ってないですね。裏面というか、出ていると思います。見ていただければわかるとおり、静岡市内のまちづくり、都市計画にかかわる重要な議論の場となっており、この場で市の方針なりビジョンを明確に示せたのかどうか。その上で、県にはこういう施策を期待したいと、県とこういう連携をしていきたいと、そうした前向きな提案がどれだけしっかりできたのかと言えば、議事録を読む限り、十分ではなかったと感じております。  今後は、県を上回るような力をつけて、その上で良好な関係を築いていただきたいと思っております。
     トップの関係も含めて、今後県とどのような関係を目指していきたいかをお聞きしまして、1回目の質問を終わります。 16 ◯市長(田辺信宏君) 私からは、大項目、市長の政治姿勢のうち、市長選挙を通じて得た市民の声をどのように受けとめたのかという質問にお答えしたいと思います。  まずもって、今回の選挙、ここにいらっしゃる多くの議員各位のおかげで、もちろん尾崎議員を含めてでございますけれども、当選ができたということを、この場をかりて御礼を申し上げたいと思います。  先ほど申し上げましたとおり、私は4年間、着実に戦略推進プランを実行してきました。その過程の中では幾つも決断をしましたし、幾つも成果を見せてきました。防災対策、子育て支援、そして、行財政改革等々でございます。しかし、選挙戦を通じて、それが市民に伝わっていないんだなということを大変強く感じました。反省材料であります。  その点から、大きな選挙でありますので、私の全然知らない方々が議員の皆さんとともに支援の輪を広げてくださって、声をかけてくださって、そして、伝えてくださった。また、何十カ所もの個人演説会で、私にこの4年間の成果を、どちらかというと着実な、堅実な取り組みでありましたので、そういう成果を直接伝える機会をいただいた、これが大変ありがたかったというふうに思っております。  おかげさまで、18万4,856人の方々が私の名前を書いてくださったという結果でありますので、これは反省と同時に、謙虚にこれからも感謝の気持ちを持ってやっていかなければいけないというふうに思っております。  一方で、この数を得たというのは、大変な私のエネルギーでもあります。今後は、シフトチェンジして加速していく、3次総の力強い取り組みをしていかなければいけない、これが期待の大きさだと思っております。  この4年間の反省点、これはちゃんと市民にわかりやすく成果を見せるという4年間にしていかなければいけないということでもあります。  伝えることの大切さ、情報発信力の強化ということを念頭に置いていきたいと思っております。先ほどのAKBではありませんが、話題性があるということも大事なのであります。  まじめにきちっと政策を立案し、決断し、実行していくということは、これからもしていきますが、その情報発信を静岡市として、田辺市政として、どうアピールしていくのか。そして、4年間たって、市内の隅々に、行政に余り関心のない市民の皆さんにも、あっ、田辺はやっているではないか、静岡市は変わってきたのではないか、そういう成果を見せていきたい。その推進力を今回の得票によって与えられたと感謝しております。  今回の選挙結果に甘んじることなく、これまでまいてきた希望の種が花を開き、大きな実を結ぶよう、シフトチェンジして、加速して、市政を前に進めていきたいと思います。  次に、大項目、大阪都構想から考える今後の自治のあり方のうち、県都構想、私が取材等で今は政令市の実力をつけていくことが大事だと発言していることに対して、その何が問題で、本市の課題をどう捉えているのかという質問にお答えいたします。  議員も御指摘のとおり、この政令指定都市制度というのは、妥協の産物の制度であります。大阪市を初め、名古屋市も横浜市も、この政令市発足当時から名を連ねている5大市という指定市は、総じて人口が密集しています。このような大都市にどう対処するかということで、府県では賄い切れないだろうということから、政令指定都市制度が発足したわけです。ですから、その制度のもとで、集中的なインフラ投資ができましたし、効率的な基礎自治体行政ができた、施策展開が可能であったと思っております。これまでの60年間の制度の中で、そのような人口が密集した大都市は、この政令指定都市の中で実質的な行政運営をしてきたということでありましょう。  しかし、静岡市は、そのような5大市とは違った出自から、この政令指定都市になっております。自治体を合併して政令市になった初めての自治体がこの静岡市であります。人口密集地域ではありません。中山間地域を含む広大な市域と多大な社会基盤等の投資需要を抱える中で、産業的にも、農林水産業からサービス業まで幅広い産業が市内各地域によって営まれる、国土縮図型の政令指定都市の新しいタイプのフロントランナーであります。  そのフロントランナーとして、これまで10年間、悪戦苦闘ではありましたけれども、この指定都市制度を何とか使いこなそうとして頑張ってきたのが私たちだというふうに思います。  静岡市は、こうした環境の中、まずは指定都市として新たに構築した国とダイレクトに交渉ができる。だからこそ国連の軍縮会議もできましたし、こども園を一挙に72園もふやすこともできた。これは直接国と当局が交渉できる政令指定都市だからこその施策の成果でありますが、このような国との直接的な関係、あるいは日本の代表的な20都市、政令指定都市間のネットワークを生かして、独自性のある施策に取り組むことができました。これは最大の成果であります。  しかし、新しいタイプの国土縮図型の中山間地域を抱えているこの政令指定都市として、いまだ発展途上にあり、引き続きこの指定都市の権能を生かすように取り組んでいく必要があるというのが私の認識であります。  一方、1つ指摘しておかなければいけないのは、これまで県庁所在地と政令指定都市ゆえの中枢性や支社経済の恩恵を図らずも受けてこれた、こういう恵まれた都市でもあります。こうしたことに頼ってきた面もあることから、あわせてここも改善を図り、何事にも積極果敢に取り組んでいく新しい市役所の確立、地方創生のフロントランナーたる政令指定都市に取り組んでいくということが、私に課せられたこれからの4年間の使命だと認識をしております。  以下は副市長及び局長に答弁させます。 17 ◯副市長(小長谷重之君) 私からは、初めに、新幹線ののぞみ号の停車、ひかり号の停車増の本市への効果とその取り組みについてどのように考えているかにつきまして、お答えさせていただきます。  のぞみ号の停車やひかり号の停車増は、地域住民の利便性の向上や観光交流などの交流人口の増加に資するとともに、企業立地や雇用の増大、本市への移住・定住が促進されるなど、本市の発展に効果があるものと考えております。  本市は、2025年に総人口70万人維持の目標を掲げ、本年度、人口減少対策に向けた静岡市総合戦略の策定に取り組んでおります。  新幹線の停車本数の増加は、首都圏への通勤通学の利便性を高めることや、本市への本社機能の移転も加速させる可能性もあります。そのため、この後答弁するこれまでの経緯や課題を改めて検証した上で、周辺市町や経済界など、関係先とも連携を図りながら、のぞみ号の停車、ひかり号の停車増に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 18 ◯企画局長(山本高匡君) 初めに、東静岡の御質問にお答えいたします。  東静岡市有地の段階を追った整備についてでございますが、まず第1段階では、にぎわいづくりとして、ことしから文化・芸術やスポーツなどのさまざまなイベントが行えるオープンスペースづくりに取り組んでまいります。例えば、大道芸やダンス、音楽活動などの文化芸術活動が行える空間を創出することで、その空間を活用する市民や民間団体の活動を積極的に支援していくことなどを考えております。  第2段階に向けては、地域間競争を勝ち抜くため、文化、スポーツの施設も含め、本市の魅力づくりに資する施設の設置について、市議会を初め、市民の皆さんからの御意見を伺いながら、整備方針を決定してまいります。  なお、整備方針の決定までの過程については、積極的に情報発信するなど、広く市民の皆さんに周知を図るよう努めてまいります。  次に、県のこのはなアリーナの運営状況についてでございますが、本年4月にこけら落とし事業となりました大相撲静岡富士山場所が開催されて以降は、主に県民、アマチュア向けのスポーツ施設として使用されております。また、年内にはバレーボールのVリーグ、バスケットボールのbjリーグジュニア全国大会などのスポーツイベントが予定されるなど、主にスポーツ施設としての利用が中心となっております。  その運営状況については、今後も引き続き把握に努めてまいります。  続きまして、大阪都構想の御質問にお答えいたします。  大阪都構想の経緯と住民投票の結果をどう受けとめているかなどについてですが、橋下大阪市長が平成20年1月、大阪府知事に当選されて以来、8年間という年月と労力をかけ大阪都構想の実現に向けた住民投票に至るまでの過程は、今後の地方自治制度のあり方を再考する機会になったものと考えております。  次に、本市への影響ですが、本市と静岡県の間では、施策や公共投資の実施に当たり、十分な調整を行っており、今回の結果による直接の影響はないものと受けとめております。  次に、県と市の二重行政の問題についてでございますが、二重行政とは、その言葉にございますように、同じ対象に対し、市と県が同じ施策を行うことでありまして、本市と静岡県との間には、問題となっているような二重行政の事例はないものと認識しております。  県、市の各種事務は、法令により役割分担が明確化されていますほか、指定都市移行時には県、市で協議し、事務分担を整理いたしました。  また、現在、県知事、浜松市長、静岡市長の3人の首長による意見交換の場を設けておりますほか、県と本市の間では、県市地域政策会議を開催するなど、事務レベルにおいても調整を図っております。  今後も、二重行政が起こらないようにするためには、やみくもに制度を改編しようとするものではなく、現在同様、現行制度のもとで県、市の円滑な連携を図ることが重要であると考えております。  次に、県からの権限、財源移譲の現状についてですが、権限の移譲につきましては、本年4月1日現在で本市には145法令、1,563事務が移譲されております。財源移譲につきましては、平成27年度には権限移譲事務交付金として、6,560万円の交付を受けることとなっております。  参考までに申し上げますと、浜松市には147法令、1,616事務が移譲されている状況にございます。  続きまして、県都構想の御質問にお答えいたします。  まず、「しずおか型特別自治市」についてでございますけれども、「しずおか型特別自治市」は、本市が目指しております地方自治の姿、すなわち住民に近い基礎自治体に事務権限と財源を集中し、行政機能を強化する考え方と同じでありますことから、現在も「しずおか型特別自治市」は、あるべき方向の1つであることに何ら変わりはなく、本市はその理念に向かっての取り組みの途上にあると言えます。  また、今般の分権改革一括法制定により、平成29年度には、県から指定都市に県費負担教職員関係の事務権限と税源の移譲がされるほか、来年4月には、指定都市と都道府県の事務の処理について、必要な協議を行う指定都市都道府県調整会議を設置することになるなど、国においても基礎自治体の行政機能強化の取り組みが進められているものと受けとめております。  今後も、特別自治市や国の制度改革の動きを注視してまいります。まずは、国の制度改革に沿って権能の強化に対応していくとともに、人口減少、少子高齢化が進行する中で、喫緊の課題である地方創生や広域連携に全力で取り組み、指定都市としての基盤確立と都市の魅力向上に邁進してまいります。  次に、県都構想に対する本市の主張についてですが、本市といたしましては、現行の二層制の地方自治制度のもと、市民ニーズに最も近い基礎自治体が直接行政サービスを提供し、広域自治体は広域的視点に立ち、基礎自治体を下支えしていくべきであるとの考えから、県と指定都市を一体運営するという県知事の県都構想とは異なる立場に立っております。  しかしながら、今後、県においてこの県都構想を制度として整理し、提案されてくるのであれば、本市といたしましては、その内容をしっかりと見きわめた上で、先ほど申し上げました本市の考え方を踏まえつつ、対応してまいりたいと考えております。  次に、連携中枢都市圏構想の中での本市の取り組みについてでございます。  本市は今回、静岡県中部4市2町と広域連携に向けた取り組みの調査研究などを進める総務省のモデル事業を実施し、当地域における広域連携の推進方策について調査研究してまいります。  連携中枢都市圏は、地方自治法の改正により創設された制度であり、既存の地方公共団体の枠組みのまま、広域連合や一部事務組合などの別組織をつくることなく、連携市町の議会の議決のもと、連携協約を結んで、複数の市町間で共同で行政事務を執行していくものでございます。  したがいまして、本市といたしましては、人口減少、少子高齢化が進む中、各市町の御意向も十分に踏まえながら、約120万人に及ぶ人口を擁する静岡県中部地域の牽引役として、さらに厳しさを増すであろう地域間競争での生き残りをかけ、本地域の活性化に取り組んでまいります。  次に、道州制に対する考え方についてですが、議員の御質問にありましたとおり、市町は道州制推進知事・指定都市市長連合に参加する15首長の一人として名前を連ねております。ここでは国と地方の役割分担を見直し、地方が権限と財源を得て、地方みずからの責任のもと、各地方の持つ力を発揮できる地方分権型の道州制の導入を目指すこととされております。  一方、道州制につきましては、立場や考え方の違いによりさまざまな意見があることも事実であり、本市につきましても、現在の県庁所在地としての優位性が損なわれ、道州制の外縁部、一番端っこの地域になることも危惧されております。そのため、本市といたしましては、道州制推進ありきではなく、こうした集まりに参加することで、幅広く情報収集を進め、本市の今後のありようにどのような変化が生じるのか、また、影響があるのかをしっかりと見きわめ、本市の立場を発言していくことが重要であると考えております。  最後に、目指す県市の関係の御質問についてお答えいたします。  市と県の理想の関係についてですが、先ほども申し上げましたが、現行の地方自治制度のもと、基礎自治体である市は、主に市民に身近な行政サービスを担い、広域自治体である県は、主に広域行政を担うことで、それぞれの役割分担をしております。こうした役割分担に加え、県は市町村では担うことの困難な専門性の高いサービス等を補完する役割もあわせ持つものと認識しておりおます。  こうした役割を踏まえ、県と市が十分に連携、調整を図り、必要に応じて県が市をサポートしながら、市民が充実した行政サービスを享受できる体制を構築することが、県と市の理想的な関係であると考えております。  さらに、県と市のトップ同士の関係についても、十分に連携、調整を図り、双方の現場レベルの連携、調整が円滑に行われる環境を整える役割を期待しているところでございます。 19 ◯経済局長(築地伸幸君) 新幹線に係る2点の御質問にお答えします。  最初に、新幹線の静岡駅停車本数増加に向けたJRへの働きかけの件についてですが、昭和43年度から運輸省、国鉄本社へひかり停車の陳情を行い、58年度には中部地区の市町及び議会、商工会議所、業界団体で構成する新幹線静岡駅停車本数増加推進会議を設立いたしました。そして、中部地区が一丸となって、国鉄、JRに対して、各市の市長や商工会議所会頭らが東京の新幹線鉄道事業本部に出向き、要望書を提出したり、市民の皆さんからいただいた署名を届けたり、また、啓発セミナーを開催するなど、要望活動を繰り返し実施してまいりました。  これらの要望活動が功を奏し、当初はこだまのみの停車でしたが、昭和51年度からひかりが上下1本ずつ、1日に2本停車するようになり、59年度にはひかりが1時間に1本、1日に21本停車、そして、平成19年度にはひかりの1日の停車本数が35本に拡大されるなど、大きな成果が得られました。  このような長年にわたる地道な要望活動の成果をもって、平成20年度に新幹線静岡駅停車本数増加推進会議は解散したところでございます。  次に、のぞみの停車、ひかりの停車増についての課題でございますが、JRへの要望活動や意見交換などを通じて、課題は次の2つであると承知しております。  1つ目として、のぞみは首都圏、中部圏、関西圏の大都市間の輸送を速く大量に行うことが使命であるとJRは考えており、静岡駅に停車することを想定していないこと。2つ目として、JRが収益の柱としているのぞみ重視のダイヤ編成の中では、1時間に走行できる列車本数に限度があることから、ひかりの本数をこれ以上ふやせないことでございます。  一方、ホームの形状等ハード的な課題については、意見交換等においても特に議論に至りませんでした。   〔12番尾崎剛司君登壇〕 20 ◯12番(尾崎剛司君) 御答弁拝聴しました。2回目は意見・要望とします。  まず、東静岡の市有地についてです。  市長選挙の際に、もし民間企業が一等地であれだけの広大な土地を保有していた場合、活用方法が決まらないと言って放置することは、税金がかかるし、とてもできないという御意見をいただきました。  仮にあの市有地が民間の土地であった場合、固定資産税と都市計画税で年間で幾ら納税しなければならないのか。あくまでも概算ですが、土地の固定資産税で6,174万円、都市計画税で1,323万円となり、合計で年間7,497万円程度だと試算できます。民間の経営感覚からすれば、検討を重ね続けるだけで、毎年7,500万円もの税金を払い続けることは、到底考えられないことです。  実は、ことしの2月の総務委員会で、1段階目の広場としての活用について、当初予算としては計上していないが、必要であれば6月の補正で整備費を上げていきたいと、委員会ですが、局長から答弁をいただいておりました。今議会での提案を目指していたようですが、間に合わずに見送られたようです。  質問の中でも申し上げたとおり、東静岡市有地については、市長選でも争点化され、市民の関心も増しており、シフトチェンジを示すよい機会であったのではないかと思います。  広場整備をする際に検討していただきたいこととして、その一角に第2段階の整備に向けた取り組みの状況を市民に伝える場を設けられないかということです。今、こういった検討をしていると広場を使う市民に伝える手段を検討していただきたいと思います。  次に、新幹線についてです。  副市長から前向きに取り組んでいく旨の答弁がありました。課題を共有できてよかったと率直に思っております。  今回の質問を通じて、のぞみを静岡駅に停車することをJRは想定してないと。ハード等の条件以前の問題なのだとわかりました。  一方で、鉄道マニアの方によりますと、新幹線の急加速、急減速といった性能はかなり向上しているという話もあり、地方創生元年と言われる中、県中部地域の牽引役として、JRともできる限りウイン・ウインの関係を模索する中で、のぞみの停車、ひかりの停車増に向けた力強い取り組みを期待したいと思います。  先ほどの答弁で、周辺市町と民間企業と言ったのかな。そことの連携という話でしたけれども、県内には一切のぞみがとまっていないので、県とも連携する中でやっていただければと思います。  最後に、自治のあり方についてです。  県都構想について、本市としては、基礎自治体と広域自治体という現行制度のもとでの役割分担を主張していきたいのだと理解しました。  また、知事が課題として設定している二重行政については、それはないという認識が示されました。  私は、制度的に二重行政が生じてしまうのは当然だろうという考えなので、ないと言い切るのはどうかと感じますが、どのレベルで二重行政だと判断するかという認識の違いなのだろうと思います。  特別自治市についてですが、一時に比べトーンダウンを感じている中で質問させていただきました。  ヒアリングの段階では、近い将来の実現を目指すことはやめたということで承知していたわけですが、なかなかやめたとまでは言えないのかなという感じを察します。  県都構想に対する市の答えとして、私が最もわかりやすく理解できるのは、浜松市のように特別自治市を目指していくということをはっきりと主張することです。静岡市にもそうした主張をしてほしいという気持ちが強いということはお伝えさせていただきたいと思います。  考えてみますと、この特別自治市の構想そのものが現行制度の枠を超えたものであるわけで、県との協議においては、現行の枠にとらわれることなく、課題も整理された上で、市の主張のほうが、静岡市のためにも、静岡県にとっても有益であると、市民益、県民益にかなっているのだと、そうした主張をしていただきたいと思います。  最後に、県が示す県都構想が正式にどのような提案になるのか、私も強い関心を持って注視していきたいということを述べさせていただきまして、私の総括質問を終了させていただきます。ありがとうございました。    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 21 ◯議長(繁田和三君) 次に、丹沢卓久君。   〔21番丹沢卓久君登壇〕 22 ◯21番(丹沢卓久君) 市長はめがねを新調されたんですね。とてもお似合いだと思います。  通告に従いまして質問いたします。  田辺市長におかれましては、4月の市長選挙で見事に当選され、2期目の最初の議会を迎えられたところであります。前段の尾崎議員からは、非常に礼儀正しく、おめでとうございますというお祝いの言葉がありました。私からもお祝いの言葉を申し上げたいとは存じますが、誰よりも市長がよく御承知のように、選挙というものは、候補者のためのものでなく、あくまでも市民、有権者のために行われるものであります。その意味では、おめでとうございますという言葉も、市長に対してではなく、市民に対して向けられるべきものでなければなりません。  私が言うまでもなく、現在の静岡市が直面している状況は、決して楽観的なものではありません。これから先、一人一人の市民におめでとうございますと言えるような施策や事業をどれだけ達成できるのか、それがここにいる私たちが背負っている責任だと思います。  ですので、田辺市長にはおめでとうございますではなく、この困難な時期にある静岡市政をどうかよい方向にかじ取りしてくださいますようにと改めてお願い申し上げたいと思います。  さて、選挙戦の中、田辺市長は繰り返し次のように訴えておられました。1期目の4年間で行財政改革を進め、万全の土台づくりを果たしてきた。2期目は、その土台に立って、第3次総合計画を確実に実行していく。迷いなくシフトチェンジして、一気に加速をしていくという内容の強いメッセージでありました。  今、多くの市民がその言葉の行方を注視しているところであります。ちゅうちょなく実行へのシフトチェンジをしていただかなければなりません。  そこでまず、改めてお伺いいたします。田辺市長が渾身の思いで策定された第3次総合計画、この実施に当たっての決意をお聞かせください。  続いて、第3次総合計画と田辺市長のマニフェストとの関係についてお伺いいたします。  全国的に見ますと、行政の総合計画と首長マニフェストとの関係については、さまざまな議論があるようです。つまり、議会の議決を経た総合計画と直近の選挙で有権者の判断を経たマニフェストとを、どのように整合させていくのかという問題であります。  田辺市政の1期目においては、市長マニフェストをベースにまちみがき戦略推進プランが策定され、総合計画との整合が図られました。一方、今回の田辺市長の2期目のマニフェストをひもときますと、その基本理念と政策体系は第3次総合計画と一致しておりますから、全体としては特に矛盾なく両立し得るようにも思われます。しかし、市長マニフェストに掲げられた個別の政策を見ると、3次総には詳細な記載のなかったものがマニフェストの中にははっきりと示されているというケースが幾つか散見されております。  そこで、お伺いいたします。第3次総合計画と市長マニフェストとの関係については、市長はどのようにお考えか、お聞かせください。  市長の政治姿勢についての質問を続けます。行政の広域連携についてであります。  今回の定例会には、一般会計で22億6,400万円余の補正予算案が上程されています。6月補正としては、かつてないほどの大規模なものとなりました。これは、田辺市長による2期目の市政への強い意気込みが反映されたものと期待しているところであります。
     特に、今回の補正予算に含まれている広域連携推進モデル事業1,500万円は、今後の静岡市にとっては、新しい地方自治の枠組みを模索する上でも、非常に注目すべき事業だと思っております。  私が言うまでもなく、基礎自治体は決して単独で成り立つものではありません。論語には「徳は孤ならず必ず隣あり」とあります。突然独善的で一方的な提案をするのではなく、近隣自治体との信頼関係のもとで自治の効果を上げていこうとする方向性は、まさに田辺市政の真骨頂だとも評価できそうです。  実際に、旧清水市、旧静岡市が合併協議を通じて政令市を目指していた当時、私たちが願っていたことは、単にひとり勝ちをすることではなく、近隣の市町とともに県中部エリアの豊かさを築き上げていくことであったはずです。  さらに、蒲原町や由比町との合併を果たしたことの背景にも、県中部エリアの活力を牽引していこうという使命感のようなものがあったものと私は記憶しております。  個別の自治体ごとのデータを一覧表にして、ここがふえたとか、ここが減ったとか言って、一方的な評価をしようとするのは、誰も幸福にしないナンセンスな感覚でしかないと思います。  静岡市の人口70万人の維持は、3次総にイメージされた最大の命題ではありますが、私は、それと同等に大切であるのは、県中部5市2町の120万人圏域の生活圏、経済圏を守っていくことだと考えます。  田辺市長は、これまで粘り強く近隣5市2町との連携強化に努められ、相互の信頼関係を築いてこられました。消防広域化の実現も、その成果の1つであると言えますし、今回の5市2町の広域行政推進事業も、そういった考え方によるものと思います。  そこで、伺います。5市2町の広域連携が進みつつある中、今後の静岡市にはどのような役割が期待されるとお考えか、お聞かせください。  また、先ほど尾崎議員が大都市問題について質問され、さまざまな議論がされたところではありますが、私たちは決してとっぴな提案に振り回されることなく、静岡市民のために地に足のついた自治を進めていかなければなりません。大阪市の例に見るまでもなく、机上の議論に振り回されたあげく、結果的にその迷惑をこうむるのは市民にほかなりません。ナンセンスな提案には、柳に風と受け流すとしても、静岡市は静岡市として、あるべき自治の姿を広く市民と共有していく必要があります。  そこで、お伺いいたします。市長が理想とする地方自治制度とはどういったものか。市民に安心していただくためにも、そのお考えをお聞かせください。  さて、続いて第3次総合計画の中身についての質問をいたします。  まずは、歴史文化施設の設置についてお伺いいたします。  かねてより歴史博物館の設置というものは、静岡市に残された大きな課題の1つでありました。みずからのまちの歴史文化を集約、研究し、その価値を内外に発信するための拠点施設は、例えば文化ホールや図書館と同様に欠かすことのできない都市機能の1つとも言われております。  田辺市長は、こういった声を受けとめ、さらにこれを単なる文化施設にとどめるのではなく、観光や交流に活用していくという方針のもと、第3次総合計画の中では、歴史文化都市を都市ビジョンの筆頭に明示されているところであります。  そして、2期目を迎えられるや否や、直ちにこの歴史文化施設についての第1回目の検討委員会を開催されたと伺っております。  検討はスタートしたばかりでありますが、市長にはこの機会に、まずはどこに設置するのか。そして、いつまでに着手されるお考えなのか。まず、その点について明確なお答えをいただきたいと思っております。  そこで、伺います。現在検討されている歴史文化施設についてのコンセプトと整備の考え方はどのようなものでしょうか。また、現在の検討状況や整備の手順はどのようになっているでしょうか。お答えください。  続いて、東静岡駅北口の市有地についての質問をいたします。  私は、一昨年の6月議会、昨年度の6月議会と、6月議会のたびに繰り返し東静岡についての質問を続けてきました。これで3回目となります。そのせいでしょうか、梅雨どきのぐずついた空模様を見上げるたびに、反射的に東静岡のことが頭に浮かぶようになってしまいました。こちらについても、そろそろ明快な方向性を示していただきたいと心から願っております。  一昨年の6月議会では、私はアセットマネジメントの視点から、民間資本導入による高度利用が最も適切だろうという提案をいたしました。一定条件のもとでの民間への用地貸与または売却、例えば土地の無償貸与条件に、私立大学の医学部を誘致することなども1つの考え方ではないかとも申し上げました。  また、昨年の6月議会では、民間資本導入のためのPFIと、日本政策投資銀行が提唱するスマートベニューという複合化施設整備の考え方を御紹介いたしました。  そして、その上で、今後どのような整備構想が示されるにせよ、実際に何らかの施設が稼働するようになるまでには、少なくとも数年の期間が必要と思われるため、それまでは市民主体の暫定利用をしてはどうかという提案もいたしました。  市としては、これまで何度かにわたる調査検討を踏まえ、第3次総合計画の中では、将来的に文化、スポーツの殿堂としていくという方針が示されたところであります。  また、田辺市長は、市長選挙に先立つ、ことし2月の定例会で、我が会派の望月俊明議員の代表質問にお答えになり、東静岡駅北口は段階的に整備していくという考え方を明らかにされました。つまり、将来的には大型のハード整備を見据えながらも、第1段階としては、余りコストをかけずに、新たなにぎわいを生み出すことができる広場として整備活用していくという方針が示されたわけであります。  さらに、市長マニフェストでは、この答弁を背景に、東静岡駅北口の市有地については、文化やスポーツを楽しめる広場をつくるという内容が記載されております。  私も、東静岡の整備は、大型施設の二者択一にとらわれる必要はないと思います。そして、さきの市長選挙では、静岡市民は必ずしも東静岡への性急な大型投資を望んではいないという結果が示されたものと、私はそう受けとめております。  実際に、どなたの意向を酌んだものかは知りませんが、4月の市長選挙において、東静岡にはサッカースタジアムを建設するべきだと訴えていた候補がありましたが、市民が示した判断は、これを支持するものではなく、御承知のとおりの結果となっております。  改めて伺います。まずは、東静岡駅北口の市有地についての検討の経過と段階的な整備という考え方について、御説明ください。  続いて、市長が東静岡に新たに整備するという広場の中身について伺います。  先日、東静岡市有地の活用方法を自由な発想で考えようという趣旨の地方創生カフェと題する勉強会が開催されました。その会場には市長も見えておられましたので、きっと市長も実感されたことと思いますが、現在の若者たちが求めているのは、自分たちの自由な発想を主体的に表現できる機会や空間であります。  そして、私たちがつくり出そうとしているにぎわいというものについても、その仕掛けや手法は近年実に多様化しております。  ここにおられる皆さんは、先月に千葉市幕張海浜公園で開催されたエアレースのことを御存じのことだと思います。文字どおり、空のF1とも呼ばれる、航空機による空中のレースであります。第1戦はUAEのアブダビ、第2戦が千葉市、第3戦がロシアのソチ、最終戦となる第8戦はラスベガスといったように、例年、1年間をかけて世界各地を転戦するワールドチャンピオンシップが開催されています。千葉市は、その大会の日本で最初の開催地に選ばれたというわけです。  千葉市でのレースでは、観客動員は開催2日間で延べ12万人。これは航空機のレースですから、スタジアムなどはもともと必要ありません。会場に建てられた幾つかのパイロンの間を時速370キロで飛行するパイロットたちのテクニックを、ビーチに仮設されたシートから観戦するという新しいスタイルの大規模イベントであります。  ちなみに、開催2日間のチケットは、手ごろなものでは1万円、最も高いチケットは30万円だったそうです。もちろん完売したということであります。  私がここでエアレースの話を持ち出したのは、私たちがつくろうとしているにぎわいというものについての既成概念を、いま一度取り払ってみるべきではないかと思ったからであります。  まさかエアレースが東静岡で開催できるはずはありませんが、私は、例えば三保折戸湾であったなら可能だったのではないかとも思っております。もしも富士山をバックにした三保折戸湾でのエアレースであったなら、世界への発信力は絶大なものがあるに違いありません。都合よく三保には小型飛行機の滑走路も既に用意されております。  ですが、後になって、もしかしたらこれは静岡市でもできたのではないかというのと、実際に主催者であるレッドブル社の目にとまり、そのオファーを戸惑うことなく受けとめて地元開催を成功させた千葉市との違いは、文字どおりゼロか100かの違いであります。  正直なところ、そうした世界大会が千葉で開催されると聞くまで、エアレースのことなど全く頭に思い浮かばなかったというのが、私を含め、今ここにいる私たち全員の本音ではないでしょうか。  御紹介したエアレースは1つの例にすぎませんが、私たちがもっとアンテナを伸ばし、若い世代のニーズやアイデアを柔軟に受けとめることができなければ、このまちからの若者たちの流出は、この先もずっととめられないような気がしてなりません。  そこで、私は、東静岡駅北口については、以下に述べるような要素を含んだものとなるよう望んでおります。  1つには、これまでの静岡市にはなかった新しいにぎわいを生み出し、内外に静岡の魅力を発信する拠点の1つとなるものにすること。  1つには、若者たちが静岡に来たい、住み続けたいというインセンティブとなるような、交流のベースとなるものにすること。  1つには、運営や管理について、市民や利用者が自由な発想で主体的に参画していける新しいコミュニティの核とすること。  若者たちは、プログラムではなくチャンスを与えてほしいと願っているのだと思います。千葉市がエアレースであるなら、静岡市には何ができるのか、そして、どれだけ若い世代のパワーをうまく引き出すことができるのか、それが私たちに突きつけられている問いであります。  そこで、伺います。東静岡駅北口の市有地の第1段階としての広場整備の構想とはどういったものなのか、当局のお考えをお聞かせください。  1回目の質問は以上であります。 23 ◯市長(田辺信宏君) 私からは、大項目、市長の政治姿勢のうち、第3次総合計画実施への決意、市長マニフェストとの関係について、お答えいたします。  議員御指摘のとおり、私自身の決意は、市民の皆さん、田辺が市長になってよかったねと思っていただけるような4年間にするということに尽きます。市民の皆さんに対しておめでとうと、田辺が市長でよかったというふうに言ってもらえるように、そんな任期にしていきたいと思っております。  3次総とマニフェストとの関係についてでありますけれども、3次総というのは、行政的な視点で策定してきたのに対して、マニフェストというのは、市民の実感重視で文章表現をしたもので、内容は同じであり、表裏一体のものであります。  例えば、この3次総、MICEの推進という立場で観光交流文化局を新設したと。そのところの基本計画、48ページをあけてみると、政策として、来訪者が再び訪れたくなる受け入れ態勢づくりを推進しますとか、まちなかの魅力向上によりにぎわい創出を推進しますと記載しています。そのとおりなのでありますけれども、そういう政策よりも、マニフェストでこの面を表現すると、お手元に資料が配布されているようですので、お目通しをいただきたいんでありますけれども、26ページに書いてあるように、「きれいなトイレを作ります!」と、このほうがわかりやすいのであります。市民の実感重視であります。  おもてなしの基本はまずトイレから。静岡市の公共施設のトイレのリフレッシュを始めますと。トイレが自慢の静岡市にしていきたいというふうにマニフェストには掲げてあるわけでありますけれども、これは来訪者が再び訪れたくなる受け入れ態勢づくりを推進しますという、この3次総と同じ意味であります。そんな解釈をしていただければと思います。  なお、個々の事業レベルの整合については、後ほど企画局長から答弁いたします。  次に、5市2町広域連携についてのうち、私が理想とする地方自治制度とはどういったものかというお尋ねについてお答えいたしますが、理想の地方自治制度と言われたところで、大変難しいと言わざるを得ません。  ただ、あえて言うならば、効率性と公平性が高い次元で均衡がとれている地方自治制度を、私は模索したいということであります。  効率性という観点は、もう御承知のとおり、新しい公共経営、この大同団結した政令指定都市のスケールメリットを生かして、費用対効果が高い、そして、世界に輝く静岡市という理念に向かって、世界水準の国際都市づくりをするということであります。  ヨーロッパの文化都市やアメリカの歴史都市にも負けないくらいの都市間競争に打ち勝つような、そんなダイナミックな施策を、世界レベルで、スケールメリットを生かしてアピールしていきたいという一方で、公平性、民主性というものも大事であります。  私は、14日間の選挙戦を戦って、時間が許す限り遊説車からおりて、握手をして、全員の方々と話をして、1対1の有権者とのコミュニケーションを大切にしてきました。そうすると、本当に静岡市は広いし、地域、地域に市に対する要望というか、期待というものがあるということを知ったわけであります。  入江地区には入江地区の、庵原地区には庵原地区の、小島地区には小島地区の、そして、駿河区にも葵区にも、それぞれのやはり市に対する要望、こうしてほしいという希望があるわけであります。ですから、この水平性といいますか、この78地区、あるいは3つの区、それぞれのきめ細かいところへの公共サービスというものを満足度の高いものにしていかなければいけないということが、この公平性です。効率性と公平性、大変難しい。  その公平性を担保する取り組みの1つは、区役所の機能強化であります。政令指定都市になって10年たったので、制度の面からも、人材の面からも、ここの強化に乗り出して、区役所の満足度を高める取り組みを、議会の御理解もいただきながらやっております。  本当に行政マンとして政策立案能力、調整力、そして突破力のある3人が、この4月からそれぞれの区長となっております。それも、区役所がもっと信頼度が高い組織として、公平性を担保しながらこれから発展をしていくという私の思いであります。  ニア・イズ・ベストという言葉は、地方分権のスローガンの1つでありますけれども、住民に近いところで公共サービスをしていく。それは住民の生活の息遣いを知っているところ、そこでちゃんとダイレクトに公共サービスをしていくというのが、一方の私の地方制度の理想であります。  市政もそういうふうにやっていきますので、御指摘の国から今回採択を受けた中部5市2町の連携中枢都市圏も、この考え方でこれから呼びかけしていきたいというふうに思っております。  つまり、5市2町、これも焼津市には焼津市の、藤枝市には藤枝市の、そして、島田市には島田市の、それぞれの考え方があります。その基礎自治体の水平的な連携、多極的な考え方のもとでの中枢都市圏づくりを大事にしていこうと思っています。  人口約120万人を擁する静岡県中部地域は、静岡市を中心に、複数の拠点を有する多極型の構造で成り立っており、静岡市だけではなく、5市2町それぞれの個性が輝くような、そして、重層的に、水平的に連携することによって、県域全体の活力の維持向上、そして、この地域の120万人の人口、活力を維持する、そんな連携中枢都市圏に挑戦をしていきたいと考えております。  以下は局長から答弁させます。 24 ◯企画局長(山本高匡君) 私からは、3次総と市長マニフェストの関係の御質問についてお答えいたします。  3次総と市長マニフェスト2015との関係についてですが、今、市長のお話にもありましたように、田辺市長を中心に2年間をかけてつくり上げました3次総の基本理念や推進の考え方、これは市長の新しいマニフェストである飛躍の第2章、マニフェスト2015と一致するものであると考えております。  また、マニフェストに記載のあります、3次総には掲載のない個々の事業レベルの整合につきましては、早期に調整し取り組むもののほか、3次総におけるPDCAサイクルの一環として行う前期実施計画の見直しの過程において、今後対応してまいります。  次に、5市2町の広域連携の御質問でございます。  広域連携に係る本市の役割についてですが、近隣自治体との関係を見ますと、藤枝市在住の就業者のうち、14.2%が本市へ通勤しており、また、同じく焼津市にあっては13.8%の方々が通っていらっしゃいます。本市の経済は、周辺自治体との密接な関係のもとに成り立っております。  一方、少子高齢化、人口減少社会が進行する中で、全国との厳しい地域間競争を勝ち抜いていくためには、本市単独よりも、同じ経済生活圏にある5市2町が一体となって知恵を絞り、各市町が持ち得る特性や魅力を磨き高め、広域連携により、効率的で効果的な政策を展開することが重要であると考えております。  こうしたことから、本市が取りまとめ役となって、このたび選定された総務省のモデル事業を活用し、圏域全体のMICEの誘致や観光の促進、起業・創業の支援のほか、東京に設置いたしました本市移住支援センターを活用した、移住やU・I・Jターンの推進などの政策に積極的に取り組んでまいります。  次に、東静岡市有地の2段階整備の検討経過とその考え方、並びに第1段階としての広場構想の2点の御質問について、一括して御答弁いたします。  まず、2段階整備の考え方についてですが、これは2月議会においても申し上げておりますように、東静岡の市有地に関しましては、これまで市民、団体などから要望の寄せられているアリーナ、サッカースタジアム、また、それらの複合化の実現性などについて検討を行ってまいりました。  しかしながら、それぞれの施設に関しては、いずれも本市のにぎわい創出に有効な施設であると考えられるものの、実際の整備に当たっては、非常に多額の経費を要すること、また、複合化した場合でも、経費がより増額することなどから、さらなる検討を進めることといたしました。  また、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今後も資材、労務単価の上昇が見込まれることなども考慮して、判断いたしました。  以上のことから、今後は3次総前期計画の期間内に具体的な施設整備の方針を決定してまいります。  次に、第1段階整備についてでございますが、第1段階といたしましては、現在、十分に利活用されていないこの市有地を、にぎわいの広場として活用していきたいと考えております。  活用に当たっては、実際の利用者となる市民の皆さんや企業、団体の皆さんの協力を得ながら、より多くの方に訪れていただけるような場になることを念頭に進めていきたいと考えております。  また、若者によるにぎわいを創出するためには、市政への関心が高くないと言われがちな若者の皆さんの声を積極的に拾い上げていくことが必要です。このため、先ほど議員のお話にもありましたとおりですが、今月初旬に民間企業や団体の皆さんと市の若手職員の意見交換の場、地方創生カフェを開催したところですが、その中では、大学生の合同文化祭の開催ですとか、巨大迷路、ダンス、スケートボード、自転車などのスポーツ広場の整備など、若者ならではのアイデアが多数提案されておりました。  この市有地は、田辺市長の新しいマニフェストの「「まちは劇場」プロジェクト」におけるにぎわい広場の実験場にもなり得ることから、参考になる意見等については、積極的に取り入れていきたいと考えております。 25 ◯観光交流文化局長(木村精次君) 私からは、歴史文化施設に関する御質問に一括してお答えいたします。  まず、歴史文化施設の整備方針についてですが、平成22年度に基本構想を策定し、翌年度から建設検討委員会を設置し、機能や規模等について、学術的及び専門的見地から検討を進めてきました。  本年3月に策定しました3次総では、目指す都市像の1つとして、「歴史文化のまち」を掲げ、これを具現化するための重点プロジェクトとして、歴史文化施設の整備を位置づけております。  歴史文化施設は、歴史文化から静岡の未来をつくる、静岡の過去を学び今を知る、そして未来を考えるを基本理念とし、市民の皆さんが郷土に対する誇りや愛着を醸成する地域学習機能と、集客力のあるビジターセンター機能をあわせ持つ施設をコンセプトとしております。  次に、整備の考え方ですが、駿府城公園エリアと一体的に整備していくことで、静岡の歴史的な名所の核とし、市内各所の歴史資源をめぐる回遊の拠点とすることにより、市域全体の活性化に寄与することを目指します。  建設地は、今川氏や徳川家康公にゆかりが深い駿府城公園や静岡浅間神社などに近く、歴史散策の利便性が高いことなどから、旧青葉小学校跡地を予定地として整備していきます。  このように、歴史文化施設を拠点とし、市内各所に点在する多くの歴史的、文化的資源を磨き上げることで、市民一人一人が本市の歴史的価値に気づき、静岡市民としての誇りを増すことにつながると考えております。  次に、現在の検討状況についてですが、3次総にある歴史文化のまちの実現に向けた第一歩である歴史文化施設建設基本計画の策定に着手し、スピード感を持って建設に向けスタートを切りました。  5月22日には有識者から幅広く意見を伺うため、建設検討委員会を立ち上げました。これまで課題となっていた建設、運営に係る民間活力の導入や観光、教育、商業分野との連携に対応するため、歴史に関する学識経験者のほか、観光、広報メディア、学校教育、商業などの分野から、積極的に御意見を伺える委員を選任しております。  第1回の検討委員会では、この施設にかける市の思いを伝えるとともに、ビジターセンター機能のあり方について、さまざまな観点から委員の御意見をいただきました。  今後は、本市の特徴である今川氏や徳川家康公を中心に、テーマ性を持った展示の方法や通史の取り上げ方、施設内の諸室の構成などについて検討を加えていきます。  これらの検討を踏まえ、徳川家康公顕彰四百年記念事業の結実となるよう素案をまとめ、秋には市民の皆さんから意見を伺う予定です。  この基本計画に基づき、28年度以降、建設の基本、実施設計及び展示設計を進めていき、3次総の前記計画期間内に建設に着手したいと考えております。 26 ◯議長(繁田和三君) この際、暫時休憩いたします。         午後0時5分休憩    ───────────────────         午後1時10分再開 27 ◯副議長(遠藤裕孝君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  総括質問を続行します。
     丹沢卓久君。   〔21番丹沢卓久君登壇〕 28 ◯21番(丹沢卓久君) 午後のスタートですけど、皆さん、お昼御飯をたくさん召し上がりましたでしょうか。山本局長、たくさん食べられましたか。ぜひ午後は力いっぱい元気のある答弁をお願いしたいと思います。  前段に引き続き質問いたします。  まずは、御答弁をありがとうございました。  市長からは、3次総実現に当たっての力強い決意が伺えました。  また、地方自治体のあるべき姿として、基礎自治体としての責任感が明確に示されたものと受けとめました。  歴史文化施設については、この4年のうちに青葉小学校跡地に建設着手するという明快な御答弁がありました。  さらに、東静岡については、若い皆さんの声を積極的に拾い上げていくことが必要だという趣旨の答弁をいただきました。  答弁の中にもありましたスケートボードや自転車、このうち特にBMX、そしてインラインスケートなどの新しいスポーツには、エアレースにも負けない国際的な発信力があると聞いておりますので、ぜひ御検討いただけたらと思っております。  質問を続けます。  前段で市長マニフェストについて質問させていただきましたが、ここではその具体論についての質問となります。  田辺市長のマニフェストの中には、子供・教育の政策群の中に、「教育施設での太陽光発電をモデル実施」するという政策が明記されています。この政策にはとても重要なポイントが幾つか含まれていると思います。1つ目には、児童生徒に地球環境について学んでもらうための教育施策としての意味合い、2つ目は、積極的な自然エネルギー利用という環境政策としての意味合い、3つ目は、地震などの大災害の際、避難場所に自立的な電力源を確保するという災害対策としての意味合い、これにさらに加えるのなら、自家発電によって電気料金の費用を抑えるといった経済的な側面も含まれるかと思います。  こういったさまざまな意義が期待される事業ですが、事業の目的が広範囲にわたるだけに、これまでは余計に事業化しにくいという側面もあったようであります。  しかし、今回、この事業が田辺市長のマニフェストに明記されたことによって、この2カ月の間に事業構想は一気に加速し、このたびの6月補正予算案の中に市内の小中学校5校において、太陽光発電と蓄電池を導入するための予算として、3億1,400万円が計上される運びとなりました。市長が選挙戦のさなかに訴えておられたシフトチェンジとは、まさにこういったスピード感のある事業展開のことを言うのだろうと思います。  ここでは2点伺います。  小中学校における太陽光発電の設置について、まずは事業の概要についてお聞かせください。  また、この事業によってどのような効果が期待されるのかについても御説明ください。  学校施設の改善について、もう1点伺います。これも田辺市長のマニフェストに記載のある事業についての質問となります。  市長は、マニフェストの中で、実感を重視した身近な政策特集というページを設けられております。お手元の資料の26ページです。その中には、「きれいなトイレを作ります!」という見出しのもと、市内の公共施設のトイレをリフレッシュしていくという施策が示されています。  また、そこには、「老朽化が激しい小中学校のトイレを全面的に改修します」とも明記されています。これまでの各学校や担当課は、精いっぱいの努力をされてきたのだと思いますが、財政的な問題なのでしょうか、いまだに静岡市の小中学校には男女のトイレの仕切りすら十分でない学校が複数残っているとも聞いております。また、排水管そのものの老朽化によって、幾ら清掃しても、廊下や教室にまでにおいが漂ってくるようなトイレがあるとも聞いております。  そこで、伺います。学校施設におけるトイレリフレッシュ事業についてはどのようにお考えか、お聞かせください。  学校施設に関する質問、もう1点あります。  つい先々週のことでありますが、私の地元である横内小学校で校舎の外壁の一部が剥離し、コンクリート片が校庭に落下するという事故がありました。金曜日の夜から土曜日の朝にかけてのことであったため、児童へのけがなどはなかったことは不幸中の幸いというものであります。  後日、その詳細な報告をいただきましたが、校舎3階のコンクリート製のひさしが雨水などの侵食によって劣化したことが原因であるようです。  この事故について、教育施設課は迅速に対応され、剥離箇所はもちろん、周辺の外壁の打診調査をされ、今後剥離してしまう懸念のある箇所については、表面のコンクリートを人為的に剥がして補修を加えるという対応がなされました。  この対応は適切なものでありましたが、ただ、少しタイミングが悪かったのは、その事故について取材に来ていたテレビ局が、予防のために人為的に外壁を剥がした箇所を撮影し、それがそのままニュースに放映されてしまったために、それを見た多くの保護者の方たちが、相当にひどい剥離があったものと誤解されてしまったという点であります。  しかし、報道の正確さはともかく、多くの児童が通う学校施設の外壁が剥離し、校庭にコンクリート片が落下したことは事実であります。  また、横内小学校に限らず、同様な心配をされている市民は多くおられると思います。  そこで、伺います。この件についての対応について、当局の御説明をお願いいたします。  続いて、質問大項目の5、最後の大項目となります。「「まちは劇場」プロジェクト」について質問いたします。  「「まちは劇場」プロジェクト」、多くの方々にはまだ耳なれないタイトルかと思いますが、これも田辺市長のマニフェストの特集ページに記載されている政策の1つであります。静岡になじみのある大道芸を初め、ダンスや音楽などのストリートパフォーマンスやオープンカフェなどの開催を進めていくことで、まち全体に楽しいにぎわいを生み出していこうとする構想であるようです。  この事業の先駆的な成功例としては、東京都で開催されているヘブンアーティスト事業が挙げられると思います。東京都は事前に登録を受けたユニークなアーティストと連携し、さまざまな公共空間を一定のルールのもとに活用して、まち行く人たちに質の高いパフォーマンスを披露する機会を提供しています。  東京都での活動場所は、上野や新宿、丸の内、お台場などの公園や広場など54施設、69カ所。そしてパフォーマンス系が335組、音楽系が83組のアーティストがオーディションによって選考され、日々各所で活躍されているとのことであります。  静岡市にも才能豊かでユニークな表現のできる市民はたくさんおられるはずですが、公共施設で勝手にパフォーマンスをするわけにはいかず、表現したい意欲をもてあましているというような市民は意外に多いのではないでしょうか。そういった方々が、気兼ねなくそれぞれの才能を発揮して、まち行く市民に驚きや楽しみや感動を提供するという仕組みをするということが、この事業の内容だと推測できそうです。  ぜひ早急に取りかかっていただきたいと願いますが、現段階では、まだこの事業構想についての情報は市民の手元には届けられておりません。  そこで、お伺いをいたします。市長マニフェストにある「「まちは劇場」プロジェクト」についての基本的な考え方をお聞かせください。  続いて、もう1点、この「「まちは劇場」プロジェクト」は、大がかりなハード整備を伴わないソフト事業が中心となるものとイメージできます。実際に、少し手を加えれば、さまざまなパフォーマンスやカフェやマルシェが開催できそうな場所は、静岡、清水の中心市街地のみならず、蒲原にも、由比にも、草薙にも、安倍川駅周辺にも、用宗にも期待できそうな気がします。  また、先ほどの御答弁にもあったように、東静岡も大きな可能性を含んでいるということは言うまでもありません。  そこで、質問いたします。「「まちは劇場」プロジェクト」についての空間づくりについては、どのようにお考えか、お答えください。  2回目の質問は以上でございます。 29 ◯教育局長(池谷眞樹君) 小中学校施設についての4点の質問にお答えいたします。  まず、太陽光発電の設置については、教育政策、環境政策、防災政策のいずれにおいても非常に大切な政策と捉えており、市長の姿勢を受け、教育委員会としても早急に対応いたしました。  事業の概要についてですが、この事業は環境省の委託を受けた一般財団法人環境イノベーション情報機構の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金を活用し、静岡市地域防災計画において避難所と位置づけられている小中学校に再生可能エネルギーの太陽光を利用した発電設備を設置するものでございます。  学校の選定に当たっては、災害時に帰宅困難者の受け入れが予想されるJR駅周辺、東名高速道路インターチェンジ付近において学校校舎の耐震性等の条件を勘案いたしました。その結果、清水辻小学校、清水飯田東小学校、東源台小学校の小学校3校、城内中学校、大里中学校の中学校2校、計5校を選定いたしました。  設置する太陽光パネルは、15キロワットの発電が可能であり、その5校合計の発電量は、一般家庭23世帯分の電気使用量に相当すると試算しております。  あわせて、20キロワットアワーの蓄電池を設置し、蓄えた電力は災害発生直後の2日から3日間、避難所となる体育館に供給し、必要最低限の電源を確保する計画となっており、余剰電力は常時学校内で利用する予定です。  また、体育館の見やすい位置に発電状況がわかるモニターを設置いたします。  次に、太陽光発電の設置による事業の効果でございますが、これまで環境教育を目的に太陽光発電設備を13校において設置してまいりました。それぞれの発電能力に違いはありますが、平成26年度の集計では、各学校での使用電力量のおおむね10から20%程度を賄っており、使用電力量の削減、二酸化炭素排出量の削減に効果を上げております。  今回、太陽光発電設備を設置する5校において、教育面では、太陽光発電設備の発電状況を常にモニターで見ることができ、児童生徒の再生可能エネルギーについての理解や環境教育にも役立つものと期待しております。  次に、環境面では、再生可能エネルギーの太陽光による発電電力を利用することにより、二酸化炭素排出量の削減が見込まれます。  そして、防災面では、蓄電池を設置することで、災害時における非常用の電源として、災害発生直後の2日から3日間の必要最低限の電力が確保できます。  今後も、環境に配慮した学校施設の整備に積極的に取り組んでいきたいと考えております。  次に、トイレリフレッシュ事業の考え方についてですが、小中学校のトイレの多くは、設置後20年以上が経過し、老朽化が進んでいるものが多く、男女間の間仕切りが不十分なトイレも残っており、重点的に取り組まなければならない喫緊の課題と考えております。  特に、設備面では、配管の詰まりやこれに伴う臭気など、衛生環境が問題になっております。また、生活様式の変化により、小学校入学時点で和式便器を使用できない児童がふえていることから、便器の洋式化が強く要望されております。  そこで、平成22年度から洋式便器への取りかえや給排水管の取りかえ、トイレ内部の乾式化に伴う改修など、トイレリフレッシュ事業として実施してまいりました。  昨年度までに16校のトイレを改修し、本年度はさらに清水有度第一小学校、清水小学校、清水第二中学校の3校の改修を予定しております。  今後も、男女間の間仕切りが不十分なトイレの改修を最優先に、この事業を継続し、清潔で使いやすく快適なトイレの整備を加速してまいります。  最後に、横内小学校校舎からのコンクリート片落下事故への対応についてですが、事故は本年6月5日に発生いたしました。状況は、西校舎の3階のひさし裏側から5センチから9センチ程度のコンクリート片3個が落下したもので、幸い人的被害はありませんでした。  西校舎は、昭和54年度に鉄筋コンクリートづくりで建築され、35年が経過しております。今回の事故は、老朽化によりコンクリート内部へ雨水が侵入したことが原因で剥離を招いたと考えております。  事故発生後の対応ですが、事故の一報を受け、直ちに立入禁止の措置を行った上で、西校舎の全面調査及び危険箇所を除去し、補修を行い、安全を確保いたしました。  また、全ての小中学校について、学校職員が外壁の目視による緊急点検を行い、現在、教育施設課の技術職員による点検も実施しております。  これらの点検結果を踏まえ、必要に応じて専門業者による調査や危険箇所の修繕を実施していきたいと考えております。  今後も、児童生徒に危険が及ぶことがないよう、安心・安全な学校施設を目指し、施設の維持管理に努めてまいります。 30 ◯企画局長(山本高匡君) 「「まちは劇場」プロジェクト」の2点の御質問にお答えいたします。  「「まちは劇場」プロジェクト」の基本的な考え方についてですが、これは、まちを歩けば身近にエンターテインメントに親しめる、いつも楽しいことが起こる、わくわくドキドキするまちづくりを目指すものであります。  本市には、大道芸や静岡交響楽団のオーケストラ、世界的に活動するSPAC、シズオカ×カンヌウイーク、サンバカーニバル、静岡コレクション、ホビー産業などの多くの芸術文化の資源や多彩なエンターテインメントの素地が存在します。これらを生かして、市内のあちらこちらで大道芸や音楽、ダンスといったパフォーミングアーツや、オープンカフェ、マルシェなどがいつでも楽しめる環境をつくり、本市への求心力を高め、にぎわいの創出を図ろうとするものでございます。  そして、このプロジェクトを一過性のイベントとせず、継続していくことで、プレーヤーとなる人材や団体を育成し、最終的にはこれらのエンターテインメントを、第2次産業振興プランの戦略産業として掲げた文化・クリエイティブ産業へ位置づけ、本市独自の産業へと育てていきたいと考えております。  プロジェクトの実施に当たっては、豊かな感性を持つ若者やCCCなどのクリエーター、静岡交響楽団、SPACなどのアーティスト、商店街、I Love しずおか協議会等の団体と密接に連携しながら、取り組んでまいります。  次に、「まちは劇場」の空間づくりについてですが、本市は、商業、行政、交通などの都市機能の多くがJRの主要駅の周辺に集積し、既にコンパクトシティが形成されたまちでございます。この都心集積の利点を生かし、静岡、清水の都心、東静岡副都心における公共スペース、歩行者天国、商店街、街角のカフェ等、さまざまな場所で「まちは劇場」の空間として活用できるものと考えています。  さらに、市街地から郊外、オクシズに至る市内の全域にこのプロジェクトを広げ、地域の活性化イベントなどでのにぎわいづくりへと活用を図ってまいります。  今後、庁内連携、官民連携のもと、創意工夫したソフトの取り組みにより、「「まちは劇場」プロジェクト」の実現を目指してまいります。   〔21番丹沢卓久君登壇〕 31 ◯21番(丹沢卓久君) 御答弁ありがとうございました。  3回目は意見・要望となります。  まず、東静岡の広場の整備について申し上げます。  東静岡の広場は、低コストで、なおかつ若者たちの発想を生かした空間づくりを進めていただきたいと願います。  そのための提案でありますが、今後、若者たちのアイデアが形となり、それが幅広く市民に共感されるものにしていくためにも、まずは年度内にも若者の声を生かした形でのプレイベントを実施するべきではないでしょうか。ぜひ御検討いただきたいと思います。  もう1点、「「まちは劇場」プロジェクト」の空間づくりについて要望いたします。  私は、昨年11月議会で、このときは道路行政について質問させていただいた中で、1つの提案をさせていただきました。その内容とは、セノバ前の教育会館から城代橋に至る外堀沿いの市道を歩行者専用道路として、広場としても活用できる空間に整備してはどうだろうかというものでありました。間もなく江川町交差点の平面横断化が実現されますし、今後、青葉小学校跡地には歴史文化施設が建設されていきます。都市を築いていくということは、つまり点を線につなぎ、線を面にしていくことではないでしょうか。  そもそもこの「「まちは劇場」プロジェクト」のねらいは、単に市民への娯楽を提供するということではなく、こういった事業を官民が連携して運営していく中で、さまざまなサービスや商品などのビジネスを派生させていくこと、これは御答弁にもありました。  さらには、新しい場所に新しいにぎわいを生み出し、市街地の動線をより豊かなものにしていくことにあるはずだと思っております。  そして、市長のマニフェストには、「「まちは劇場」プロジェクト」の説明の中に、これにあわせてデザイン性あふれる新しい広場も整備するとも明記されております。  私からの提案は、市長のマニフェストにあります「「まちは劇場」プロジェクト」の方向性と一致するものと思いますので、ぜひ積極的に御検討いただきたいとお願いいたします。  最後に、歴史文化施設について意見・要望を申し上げます。  前段での議論の中で、歴史文化施設を建設する場所と着手するべき時期については明確な答弁をいただきました。しかし、この事業は、決して簡単な、容易なものではないと私は心配もしております。  この歴史文化施設の建設を含む一連の施策の目標値は、3次総では平成30年度までに関連施設やイベントへの入り込み客数を現状値の211万6,000人から233万人にまで拡大すると設定されております。つまり、歴史文化施設の建設などの施策によって、駿府城周辺への入り込み客数を約1割拡大し、22万4,000人の増加を目標としているというわけであります。これは、客観的に見る限り、かなりハードルの高い目標値と思っております。  文部科学省の統計によれば、平成19年度現在で学芸員の配置義務のある歴史博物館は全国で436館、これら全体の入館者総数は1,996万人。つまり、1館当たりの平均では、年間約4万6,000人となります。つまり、どこにでもあるような施設をつくるのならば、年間の来館者はせいぜい5万人というのがいいところではないか。これが全国的な統計から推計される見通しであります。  しかし、私たちは、文化学術的な意味でも、そして観光集客上の意味でも、この歴史文化施設を必ず成功させなければなりません。そのためには、まずはどこからどんな来館者を呼び込むのか。歴史文化施設を訪れる来館者たちは、そもそも何を求めて来館してくれるのか。そして年間に何万人の来館者を呼び込むものと設定するのか。また、どういったコンテンツや手法によってそれを実現させるのか。まずは、来館者に焦点を当てた現実的なマーケティングを行うことが、全ての前提となると思います。  問われているのは、どんなものなら建設できそうかどうかということではなく、入り込み客数22万4,000人を確保するためには、どんな施設をつくるべきかという、そうした視点から物を考えていく必要があるのではないでしょうか。  ぜひ目標値を上回るような施設づくりについて、戦略的な計画を策定していただけるよう要望をいたします。 32 ◯副議長(遠藤裕孝君) あと1分で終了してください。 33 ◯21番(丹沢卓久君)(続) はい。  以上、意見・要望を申し上げまして、私からの質問は終了いたします。ありがとうございました。    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 34 ◯副議長(遠藤裕孝君) 次に、山梨 渉君。   〔5番山梨 渉君登壇〕 35 ◯5番(山梨 渉君) 本年度から政策、施策を強力に推進するために庁内組織が再編され、観光交流文化局が新設、危機管理体制の強化のために危機管理総室が設置されました。4月に新しいスタートを切られたこの2つの組織に、大項目1、歴史文化のまちづくりについて、大項目2、津波防災対策について、通告に従いまして順に伺ってまいります。  初めに、東海道歴史街道二峠六宿まち歩き観光の推進についてであります。  徳川家康公により東海道が整備され、今日まで残る市内の二峠六宿は重要な観光資源であります。宇津ノ谷峠は、国指定史跡として当時の面影を色濃く残し、他の宿場も、面影を求め来訪される方を、土日を中心に多く見かけます。また、各宿場町の地元地域が中心となったイベントも、大変にぎわいを見せております。
     第3次総合計画にも重要施策として位置づけられ、2月議会の施政方針からも、二峠六宿東海道歴史街道整備については、特に具体的に語られていたことから、重要な施策としての市長の強い思いがあるのだと、認識を改めて持ちました。  これからまち歩きの交流人口をさらに増加させるため、ハード、ソフト両面からの整備を進めていくとのことでありました。  しかし、市民からは、最終的にどこまで整備していくのか、具体像が見えないといった声もあります。本事業の推進には、各地域の協力、理解が不可欠であり、官民一体となった目指す東海道二峠六宿像、これを明確にしていく必要があります。  第3次総合計画において、歴史都市を目指すために、東海道歴史街道二峠六宿まち歩き観光を推進する目的は何か、伺います。  東海道のまち並みは、日本の発展とともに、明治、大正、昭和と大きく変化してまいりました。約40キロにわたる本市の東海道は、江戸期の面影はごく一部に限られ、街道自体が市民の生活の場でもあることから、事業を進める上で多くの課題があります。  これまで2次総期間内においても、本事業は進めてこられました。行財政改革推進の観点から、2次総の政策施策評価の内部評価が示されました。平成25年度時点での事業内容ではありますが、これによると、東海道歴史街道をテーマとしたまち歩き観光の推進の事業評価の内容について、まず費用対効果は、費用と効果が均衡しているとして評価B。達成度については、期待を下回るとして評価C。将来の評価については、必要度B、優先順位に至っては、15施策中14番目でありました。課における内部評価は低いものであったとの結果になります。  また、静岡県は25年度の県観光交流の動向を昨年11月に公表しました。これによると、分類別観光レクリエーション客数の統計から、まち並み、旧街道、これを訪れた人数は、ともに年間3万人ほど、全分類に対する構成比も0.02、0.03%と、極めて低い数字となっております。本市内部評価、県の観光交流動向、どちらもその後の施策の変化や調査方法、対象に変動があるものの、課題を投げかけるものとも言えます。  まち歩きやウオーキングを行う人の現況や、まち歩き観光を推進する上での課題は何か。これらを踏まえた具体的な解決策について伺います。  次に、興津地域の別荘群について伺います。  東海道の興津宿周辺、東西約3キロの狭い地域には、明治中期から昭和戦前期にかけて、政界や財界有力者の別荘が次々と建てられました。お手元の資料になります。  明治22年、東海道本線が開通し、興津駅が開設された後、皇太子、後の大正天皇が清見潟へ海水浴にたびたび訪れたことに端を発し、明治29年、井上 馨侯が別邸長者荘を構えると、その後、次々と別荘が築かれていきます。代表的なものを建築年順に挙げると、元福山藩主、阿部正桓別邸、川崎造船創業者、川崎正蔵別邸、日本陶器社長、大倉和親別邸、伊藤博文公養嗣子、伊藤博邦別邸独楽荘、そして元総理大臣、西園寺公望別邸坐漁荘などであります。  別荘とともに水口屋旅館、東海ホテルなどを初め、数多くの宿泊施設が立ち並び、避寒地、静養地として多くの著名人が訪れました。  西園寺公は、大正8年から昭和15年まで、晩年の約21年間、坐漁荘で生活しました。明治、大正で2度首相を務め、最後の元老であった西園寺公のもとには、当時多くの政府要人などがひっきりなしに訪問し、激動の時代、重要政策の決定に大きな影響力を及ぼしました。興津詣でと言われるゆえんであります。  この地が当時、別荘地となった理由について、幾つか考えられます。主に、温暖な地で、過ごしやすく、眼前に広がる美しい清見潟の浜辺、その先に三保半島、伊豆の山々を遠景する、大変風光明媚な地であったということが挙げられ、古くは万葉集にもうたわれております。  明治43年7月22日の東京朝日新聞には、興津について、「東海の不老郷」と題した記事が掲載されたそうであります。  「風光の明媚を以て聞ゆる興津は人生の壽命に至大の関係ありと見え戸數僅に千を以て數ふる町内に七十歳以上の高齢者男子のみにて百六十七名の多きに達し世に珍しき長生郷」とあり、景観が養生と関係してくるという大変興味深いもので、隠棲生活に向いているとの一定の認識があったと考えられます。  ほかに、興津は東京から適度な距離に位置し、小さなまちゆえに警備上の利点があった点、また、別荘所有者同士が親戚、同郷など、プライベートなつながりを持っていたという点も重要な理由であります。  別荘の多くは現存はしておりませんが、まち歩き観光への活用として、まだまだ磨き上げるだけの大きなポテンシャルがあります。  また、蒲原地区にも、青山荘と呼ばれる宮内大臣、田中光顕別邸、旧宝珠荘もあり、東海道歴史街道の歴史の層の厚さもかいま見ます。  明治から昭和期の興津地域を中心とした別荘群を、まち歩き観光においてどのように活用していくのか、伺います。  先ほど述べましたように、明治29年に井上 馨侯が、現在で言うところの横砂東町から興津清見寺町にわたる波多打川両岸、5万坪という広大な敷地に長者荘を築いたのが興津の別荘の始まりでした。  井上侯は長州藩に生まれ、幕末志士として、高杉晋作らとともに尊王攘夷運動で活躍。いわゆる長州ファイブとして伊藤博文らとイギリスへ留学。維新後は、参与、大蔵大輔、参議兼工部卿、外務卿などを歴任。第1次伊藤内閣にて初代外相に就任。鹿鳴館を建設し、不平等条約改正に尽力。第一国立銀行設立や三井物産創業など、近代化を進め、鉄道事業などにも関与いたしました。その後、農商務相、内相、蔵相等を歴任。引退後も元老として重きをなしました。長者荘へ移り住んだ後、興津園芸試験場の誘致、ミカンや茶の地元産業振興、地元の教育振興にも力を注ぎました。そして、大正4年9月1日、長者荘にて79年の生涯を閉じました。本年は井上侯が亡くなられてから100年目の年であります。  現在、長者荘跡地は、静岡市埋蔵文化財センターとして、発掘調査により出土した遺物の整理、保管に活用されております。しかし、庭の一部に碑がある程度で、井上侯をしのぶものや、後世に功績を伝えていくものは少なく、顕彰の必要性を強く感じます。まち歩き観光の観点からも、整備が求められます。  近代日本の発展に多大なる貢献をし、郷土の発展にも尽くされた井上侯について、静岡市はどのように捉えているのか。  また、今後埋蔵文化財センターについて、長者荘跡地としての立地性から活用の検討が求められます。そうした意味で、井上 馨侯の顕彰と静岡市埋蔵文化財センターの現況について伺います。  次に、日本遺産への登録推進についてであります。  日本遺産とは、文化庁が進める事業で、地域の歴史的魅力や特色を通じて、日本の文化・伝統を語るストーリーを日本遺産(Japan Heritage)として認定。有形・無形の文化財群を地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内外へ戦略的に発信することにより、地域の活性化を図ろうとするものであります。  また、地域に点在する遺産を面として活用し、当該地域の認知度を高め、地域住民のアイデンティティーの再確認、ブランド化、ひいては地方創生に資するものになると効果を示しております。  4月24日、文化庁は日本遺産の認定第1弾として、「「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜」や「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」、また、「四国遍路」など、24府県、18件を認定したと発表いたしました。静岡市が提案しました「駿府は家康公の理想郷」、これは残念ながら選出されませんでした。  文化庁は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに100件の認定を目指し、今後も年1回のペースで認定していく予定で、今回選ばれなかった自治体も、再提案できるようになっております。  県内で登録されたところはなく、登録を目指す自治体もほかになかったのですけれども、先週金曜日、浜松市が遠州、東三河、南信州から成る三遠南信地域で盛んな民俗芸能について、日本遺産への登録を目指し、関係自治体に賛同を得ていく意向を明らかにいたしました。  今後、競争が激化することも予想されます。また、登録されれば、文化芸術振興費補助金の交付による国の積極的な支援もあることから、登録に向けた今後の本市の取り組みが期待されます。  本市が日本遺産への申請を行った目的、理由はどのようなものか、また、今後の方針について伺います。  以上、1回目の質問です。 36 ◯市長(田辺信宏君) 私からは、大項目、歴史文化のまちづくりについてのうち、3次総において、歴史都市を目指すために、東海道歴史街道二峠六宿まち歩き観光を推進する理由は何かというお尋ねにお答えいたします。  御承知のとおり、3次総では、歴史文化のまちという都市ビジョンを目指していくということでありますので、その中での重点プロジェクトの1つであります。グローバルに発想して、ローカルに実行していきたいと思っております。  現在、国においては、成長戦略の柱の1つとして、太田国土交通大臣の旗振りのもとで、観光立国の実現に向けて、2020年の訪日外国人旅行者数2,000万人を目標として掲げ、インバウンド新時代に向けた戦略的な取り組みを推進しようとしております。その大きな流れに静岡市も乗っていこうという取り組みであります。  国では、その1丁目1番地に、広域観光周遊ルートの形成を位置づけ、いわば従来、東京、京都、大阪というゴールデンルートに集中している訪日外国人旅行者を、地方へ誘客していくという目的意識を持っております。先日、国土交通大臣が認定した5ルートのうち、静岡県を含めた東海、北陸、信州にまたがる「昇龍道」、これもその1つであります。  一方、経済的な側面から統計をひもときます。平成26年の訪日外国人による旅行消費額は、前年度比、何と43.1%増の2兆278億円に達して、過去最高額を記録しております。交通、飲食、宿泊はもとより、流通、小売、製造、出版などの幅広い地域産業全体がインバウンド需要を力強く取り組んでいく、まさにMICEの推進をすることによって、地方創生の喫緊の課題に応えることがこれから期待されます。  このような状況の中、本市においても、外国人観光客のみならず、日本人も含め、国内外から多くの人々に静岡市に訪れていただく仕掛けづくりが重要となっており、まさに3次総に掲げる東海道歴史街道は、その1つとして磨いていこうとするものであります。  近年の観光客のニーズ、これは国内でも海外旅行でも同じでありますけれども、いわゆる旅行初心者の方々は、まず団体で名所旧跡を見学をする物見遊山型の観光スタイルをとりますが、だんだん旅行になれてくるに従って、個人で体験するとか、学ぶとか、感動するといった体験型観光スタイルへと転換していきます。  外国人観光客の訪日動機も、リピーターの方々を中心に、日本人の生活の見聞・体験をしたいという項目が上位を占めるようになっております。そこが本市の着眼点、目のつけどころであります。  本市では、古くから東海道を通じた政治、経済、文化等のさまざまな交流が繰り返され、多彩な歴史が刻まれたところであり、街道を往来する人々とそこに住む人との交流によって育まれた文化は、本市の現在の食文化や生活スタイル、伝統芸能、そして伝統産業などに息づいております。  近年、新しい観光のスタイルとして、街道観光が注目されております。これは、古来より交流の場であった街道において、そこに住む地元の人々と、そこを訪れる観光客とが同じ目線に立ち、街道の景観や人々の暮らしに直接触れ合い、街道に形成されたさまざまな文化を、それぞれのテーマごとに体験するスタイルの観光であります。  大きく海外に目を転じれば、長い間寂れたままだった歴史資源を再生して、今日、一大観光名所となったドイツのロマンチック街道やメルヘン街道などが、その成功例と言うことができると私は考えています。  私は、二峠六宿を擁する静岡市こそ、この街道観光の推進にふさわしい都市であり、東海道歴史街道の推進により、将来的には、国が進める広域周遊観光ルートの形成の一翼を担っていくことを目指していくべきであると考えるところであります。  5年前も、三保松原は私たちにとっては当たり前のところでありました。寂れたところとは言えませんけれども、当たり前のところでありました。それが、世界文化遺産という印がついただけで、観光客が3倍になったという事実があります。  二峠六宿は、清水、由比、蒲原、そして静岡の4つの自治体の合併により1つの行政区域となったことから、各宿場単位でのまち歩きを、議員の御指摘のとおり、井上 馨侯を初めとした歴史上の人物や建造物、まち並みなどは言うまでもなく、食文化や道路・トンネル、芸能、祭り、産業、イベントなど、さまざまなテーマごとに横ぐしを刺した街道観光へと発展させることができるものと考えます。  各宿場町で育まれてきたこれらの地域資源を一体としてとらえ、新たな視点やグローバルな観点から掘り起こし、それぞれのテーマに基づき、ローカルに、これは議員の興津地区のみならず、由比地区や蒲原地区、そして丸子地区等々のこういった宿場町、これをわくわくドキドキするような物語に磨き上げていく。このことで、街道としては日本屈指の歴史資源である東海道を有する本市を、街道観光の聖地として、メッカとして国内外に発信し、「世界に輝く静岡」の実現、これは午前中も申し上げましたが、世界水準の国際都市をつくっていこうという志であります。ですから、例えばアメリカの歴史都市にも負けないぐらいの静岡市をつくっていかなければいけないという大きな目標を持って、4つの自治体が一緒になったスケールメリットも生かして、これから「世界に輝く静岡」の実現を目指していく重要政策の1つとして、この東海道歴史街道を推進する、これが私の理由であります。  以下は局長から答弁させます。 37 ◯観光交流文化局長(木村精次君) まず、二峠六宿まち歩き観光の推進についてお答えいたします。  まち歩きを行う人の現況と事業推進の課題についてですが、平成25年度に本市が実施した六宿ガイドつきまち歩きツアーの参加者アンケートによりますと、建物や遺跡が残っていない場所であっても、ガイドの歴史解説を聞くことで、その土地に刻まれた歴史に思いをはせることができるため、ほとんどの方に「また参加したい」との回答をいただいたところでございます。  本市には、江戸時代に徳川家康公が礎を築いた駿府城下町や、清水湊町を初め、時の歴史に名を刻んだ名所旧跡が多数存在していますが、その当時を示す建造物は、空襲により焼失したり、老朽化により取り壊しされているため、これらの地域に眠る歴史を、どのように魅力的な歴史の物語として観光客に伝えるかが、最大の課題であると考えております。  そこで、本市の歴史を刻み、育み、語り継いできた地域住民の方が主体となり、地域の言葉で地域の歴史を伝えるとともに、みずからが住むまちの歴史を生かした観光地づくりに取り組んでいくことが重要であると考えております。  27年度は、各宿場でのワークショップや、まちづくり団体、キーパーソンとのヒアリングを通じて、地域資源や歴史の体系的な整理を行い、住民みずからが地域の歴史を語る土壌を育むとともに、ボランティアガイドを初めとするガイド人材の養成に努めてまいります。  次に、興津地域の別荘群の活用についてですが、歴史上の偉人たちが興津地域に別荘を建築し、保養地として過ごした歴史は、本市の魅力ある資源の1つと考えております。  例えば、最後の元老となった西園寺公望公の坐漁荘は、興津地域の別荘の歴史を今に伝えるものとして復元建築し、まち歩き観光の拠点となっています。  また、明治維新の立役者の一人であった井上 馨侯の長者荘は、跡地に静岡市埋蔵文化財センターが建設され、その展示ホールには、歴史的価値のある貴重な資料が展示されております。  街道観光を推進する観光メニューの1つとして、これらの歴史資源を活用するためには、魅力的なテーマ設定と物語、そしてその物語を語る観光ガイドが必要であると考えております。  そこで、26年度末に制作したしずおかまち歩きガイドブックでは、興津地域の物語を、偉人たちを癒やした興津街道と設定し、これを案内する観光ガイドの情報とともに掲載したところです。  27年度についても、本市にあふれる歴史を磨き上げ、魅力ある物語へと仕立て上げるとともに、地域住民や観光ガイドの皆さんがその物語を語る主人公となるよう、街道観光の舞台としての意識やおもてなしの機運の醸成に努めてまいります。  次に、井上 馨侯の顕彰と静岡市埋蔵文化財センターの現況についてですが、明治時代の元老であった井上侯は、現在の清水区横砂東町に別邸長者荘を構え、亡くなるまでの19年間にわたり居住しておりました。  井上侯が晩年を過ごされた長者荘跡地の土地を旧清水市が井上侯の遺族から購入し、埋蔵文化財センターを建設し、平成16年に開館いたしました。これを機に、井上侯の遺族から遺品656点が本市に寄贈されました。寄贈された遺品は、書画、工芸品、硬貨、勲章、書簡類などです。  その中には、先日、NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で紹介され、新聞でも取り上げられた、高杉晋作や久坂玄瑞、井上 馨侯など、長州藩士が尊王攘夷のための結束とその実行を約束する血判を押した、文久2年御楯組血盟書のような、幕末史にとって貴重な資料も含まれております。  また、埋蔵文化財センターは、埋蔵文化財の整理と保管を目的として建設されましたが、展示機能を持つため、事務所の開館時間と第1、第3日曜日に、収蔵する埋蔵文化財を公開しております。この血盟書を公開した3週間で、延べ522名の方の来館がありました。  なお、本年は、井上侯没後100年に当たるため、8月の命日に遺族が主催する法要に遺品を貸し出したり、地元有志の皆さんとともに講演会を開催するなど、広く顕彰してまいります。  次に、日本遺産についてですが、議員からも御紹介がありましたように、日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて、我が国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもので、魅力あふれる有形・無形の文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内外へ戦略的に情報発信することにより、地域活性化へつなげていこうとする事業です。  本市としては、3次総の歴史文化のまちづくりの中で掲げている地域資源の磨き上げによるにぎわい創出を目指していく上で、日本遺産の認定は、有効な手段であると判断したところであります。  具体的には、26年度、「駿府は家康公の理想郷」というタイトルで、国宝久能山東照宮を初めとした本市の魅力的な文化財群を有機的に結びつけるためのストーリーを考案し、認定申請をいたしました。26年度の第1次認定では、全国で86件の申請中、18件が採択されましたが、本市は残念ながら採択には至りませんでした。  27年度も引き続き第2次認定を目指してまいりますが、例えば、浜松市など徳川家康公にゆかりの都市と連携したストーリーの検討を含め、申請に向けた準備を進めてまいります。   〔5番山梨 渉君登壇〕 38 ◯5番(山梨 渉君) 御答弁ありがとうございました。質問を続けます。  次に、津波防災対策について伺ってまいります。  かけがえのない多くの命が失われ、未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発生から4年の歳月が流れました。復興への道のりはいまだ半ば。住みなれた土地から離れ、依然多くの被災者の方が苦労されております。  本年度も、静岡市を代表して、岩手県、岩手県山田町、宮城県気仙沼市、及び石巻市への職員派遣がなされており、この場をおかりして、改めて感謝を申し上げます。  本市においても、必要な支援を続けるとともに、震災から得られた貴重な教訓を、決して無駄にしない取り組みを進めなければなりません。  津波防災対策は、市民の重要な関心事の1つであります。これまで本市は、津波避難タワーの建設を初め、津波避難ビルの指定、標識の設置などを進めております。  津波避難タワー建設についても、21基建設していく計画でありますが、いまだ全ての整備が終わっておらず、県の緊急地震・津波対策交付金は、今年度までが期限のはずですので、スピード感を持って整備を進めていただきたいと思います。  津波避難ビル指定につきましては、民間ビル所有者の御理解、御協力もあり、これまで進んできたところであります。しかし、強固な鉄筋コンクリート造の建築物が津波によってくいごと引き抜かれ、横倒しになったあの東日本大震災の被災状況から、本市の津波避難ビルの津波に対する耐久力、耐浪性が担保されているのか、危惧されます。  本市の津波浸水深は、想定では最大3、4メートルになるとされています。国交省が発表した「津波に対し構造耐力上安全な建築物の設計法等に係る追加的知見について」によれば、津波避難ビル等を整備する場合、ガイドライン及び指針を参考に、当該津波に対する構造耐力上の安全性を確認することとあります。この中には、津波による洗掘への配慮、漂流物の衝突による損傷への考慮も求められております。  本市の津波避難ビルの耐浪性は確保されているのか、伺います。  昨年度より本市では、津波などの災害発生時の避難路整備に対する補助金事業が開始されました。地域住民の自主的な避難ルートの策定を加速させ、高台などへの避難が迅速、安全にできる環境づくりを目指したもので、私有地での路面整備や階段、手すりの設置、避難所の方向を示す看板設置などを対象とし、材料費、工事費の半額、最高30万円を自主防災組織に対し補助する内容です。  県の交付金を活用した本事業でありますけれども、当局は初年度、昨年度でありますが、10カ所程度の補助金交付実施を想定されていたようであります。  実際の活用状況は複数の自主防災組織の方から伺ったところ、特に山の斜面が近接する沿岸部については、避難路が未整備な地域も多く、大変ありがたいとの声がある一方で、30万円の補助金では十分な設備ができないという声もあります。  また、既存の山道を整備するつもりであったが、実際は赤道であったため、補助対象にならず、所管する部署に相談したものの、通行利用者が少ないため、どうしても優先順位が低くなってしまい、整備が進まないという現象が起こっております。  自主防災組織避難路等整備事業費補助金の事前相談数、補助金交付数はどうであったか。また、今後、この補助制度が有効に活用されるための方策を伺います。  以上、2回目の質問です。 39 ◯危機管理統括監(中野達也君) 津波避難ビルの耐浪性と避難路整備に関します2点の御質問にお答えいたします。  まず、津波避難ビルの耐浪性、津波に耐えられるのかという御質問についてであります。  独立行政法人建築研究所の津波避難ビルの構造設計法によりますと、10メートル未満の津波に対しては、耐震性が備わっている建物であれば、耐浪性は確保されているとの見解が示されております。  本市は、耐浪性を確認するため、津波到達時の波の高さが2メートルに満たない建物につきましては、建物の高さと奥行きで判定する簡易診断を、2メートルを超える建物については、立地状況や構造計算を含めた詳細調査を、平成26年度に実施いたしました。  診断・調査は、津波避難ビルに指定している139施設から約7割に当たる94施設を抽出し、国土交通省が定めた診断指針や技術的助言に基づき実施したもので、その結果、調査した全ての建物について耐浪性を有することを確認いたしました。このことから、他の45施設につきましても、耐浪性は確保されているものと考えております。  2点目の御質問であります。自主防災組織に取り組んでいただいております、避難路整備に対する補助制度の利用状況と活用を促す方策についての御質問でございます。  本市は、地域の皆さんに協働して取り組んでいただく避難路整備の活動を支援するため、平成26年度、新たに自主防災組織避難路等整備事業費補助金制度を創設いたしました。  本市といたしましては、全ての自主防災組織にこの制度について周知させていただき、利用を促してはきましたが、26年度の利用実績につきましては、事前の相談が5件で、補助金交付件数は1件でした。  今後、より多くの自主防災組織の皆さんにこの制度を活用して避難路整備に取り組んでいただくため、制度のさらなる周知とあわせまして、事前相談の際には、避難路整備の具体的な進め方について提案、助言を行うなど、自主防災組織の取り組みを支援してまいります。   〔5番山梨 渉君登壇〕 40 ◯5番(山梨 渉君) 御答弁ありがとうございました。  3回目は意見、要望になります。  東海道歴史街道二峠六宿まち歩き観光、これから着実に進めていかれるということでありました。市長のイメージの中には、ロマンチック街道やメルヘン街道があるという認識も確認することができました。
     いろいろ課題もあるのかとは思いますが、ここで1つ提案であります。スマートフォンやタブレット端末対応の東海道歴史街道アプリを構築してみてはどうかと考えます。歴史街道、この街道各地の一つ一つの歴史、また、飲食店などを紹介する、単に情報発信をするだけではなく、当時を実感してもらうアプリです。スマートフォンをかざすことで、実際の背景上に当時の建築物や東海道を往来する人々の様子などが映し出され、動き出し、臨場感を伝えるものです。AR、オーグメンテッド・リアリティーという技術、拡張現実とも言いますが、リニューアルオープンされた姫路城などでも既に活用されており、好評のようであります。現在、観光への利用がこのように広がりつつある技術であります。  Wi-Fiスポットの整備等、一定程度必要かと思いますが、比較的コストをかけずに来訪者への満足度を上げる効果が得られ、当時の面影が少ない市内二峠六宿の課題対応策になろうかと思います。  また、看板や印刷物と異なり、新しいお店やイベント情報をリアルタイムで伝えることもできるという大きなメリットもあります。こういったことで、一定の経済効果も期待できます。こうした新しい技術も活用し、明確な結果を出していただきたいと思います。  そのためにも、具体的なまち歩き交流客数の目標数を明示し、各地のコンテンツの磨き上げを進めていただきたい。このたびの組織編成でシティプロモーション課、観光交流課、歴史文化課などが1つの局となり、調査研究の成果を観光へ生かすことが加速されることを期待しております。  興津地区の別荘群についても、地元地域と連携を図りながら、さらなる調査を行い、まち歩きに活用できるよう進めていただきたいと思います。  特に、井上 馨侯については、井上家、地元地域と連携を十分にとりながら、広く顕彰していただきたいと思います。  井上家から大変貴重な遺品を、656点でしょうか、本市は託されているわけであります。その意を十分酌んで、埋蔵文化財センター館内には展示スペースが既にあることから、人物と功績を伝える常設展示コーナーを設置し、土、日、祝の開館、長者荘の案内看板の設置を行い、別荘群エリアとして磨き上げ、まち歩き観光へ活用すべきです。  そして、埋蔵文化財センターの名称を、別名「井上 馨記念館」との併記も検討していただきたいと思います。  日本遺産についてですが、これは本市の魅力を広く伝え、観光交流客数を拡大する大きな力になります。前回落選の分析を十分に行い、テーマの設定、ストーリーの構築を行い、捲土重来を期し、登録に向けて邁進していただきたい。  そして、津波防災対策についてでありますが、津波避難ビルの耐浪性調査を、公共施設だけでなく、民間施設も行政の責任で行い、国のガイドラインに沿った安全性の確保を進めていただきたい。  自主防災組織避難路等整備事業費補助金の増額、補助率の拡充を図り、自主防災組織の活用しやすい内容に改定するとともに、赤道などの公道部分についても、整備から漏れない対応をお願いいたします。  県緊急地震・津波対策交付金について、当初の計画どおりに着実に進め、残りの津波避難タワー整備もスピーディーにお願いいたします。  けさの朝刊でありましたが、昨日、県はマグニチュード8クラス、いわゆるレベル1地震について、新たな研究成果に基づく津波高、浸水域の新想定を公表いたしました。これによると、津波高が駿河区、清水区ともに、県の第4次想定に比べ1メートルずつ高いと想定されました。県と連携をとり合いながら、新しい想定に基づいた津波防災対策を早急に進めていただきたいと思います。  終わりに、井上 馨侯が最晩年、みずからの思いと漢詩をあわせ、人生訓とも言うべき絶筆の書を執事へ書き残しました。「人世新進只奇を争い 超然自信は吾が志を逸す 成功は毎に苦心の日に存し 敗事は多く得意の時に因る」。  これは、当時日本の政治、民主主義が成長する一過程において、議会の意思を尊重しなかった政治に対し、憂う意味が込められたものであります。  人の世に新しくあらわれ、活躍している人は、ただその珍しさを争っている。超然とした自信は私の志を逸している。成功は苦心の中にあり、失敗は多くが得意になっていることが原因であるとの意味です。  2期目のスタートを切られた田辺市政、これまでも議会と車の両輪のごとく歩まれてこられ、第3次総合計画の実現に向けて、いよいよ加速度を上げられるとのことであります。これまで以上に市民の声に耳を傾け、議会の意見を尊重し、そして大きな成果を上げられることを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 41 ◯副議長(遠藤裕孝君) 次に、牧田博之君。   〔22番牧田博之君登壇〕 42 ◯22番(牧田博之君) それでは、通告に従いまして総括質問を行います。  さて、先般行われました市長選の結果や市長の政治姿勢につきましては、午前中から多くの質問が出されました。市長は、選挙戦を通じて市民から大きな期待を感じ取ったということであります。これからの4年間、市長みずから手がけました第3次総合計画の推進役として、そして第2次産業振興プランの庁内戦略会議のリーダーとして、先頭に立って旗を振っていただくことになります。  さらには、国から求められている地方創生に向けた静岡市版人口ビジョンと総合戦略策定も、早急にまとめる運びとなっています。  これらの課題に対して、市長はどのようにリーダーシップを発揮しようとしていますでしょうか。まずはその決意のほどをお伺いいたします。  さて、本題に入ります。  1つ目は、地方創生についてであります。  資料1をごらんください。これは、昨年発表されました国の長期ビジョンと総合戦略の概要をあらわしたもので、今年度、地方自治体が策定する地方人口ビジョンと地方版総合戦略の推進に対して、国が情報支援、財政支援、人的支援を行うことを示したものであります。まだまだ何かとわかりにくいことが多いわけでありますけれども、まず、全国の地方自治体には、国からどのような指示が出て策定されるものなのでしょうか。  また、策定前には、県の内容と市の内容は十分整合性を持たせなければならないと考えるわけでありますが、それぞれ勝手に出していいものなのか、この辺の市と県のかかわり方はどのようになっていますでしょうか。  また、総合戦略は2015年から2019年の5カ年となっています。財政支援においては、既に昨年度の補正予算で3,275億円、今年度予算で7,225億円プラス、下側にありますグリーンの地方財政措置で1兆円が計上され、今年度末までに合わせて2兆円余りが用意されているようですが、右下の地図にありますように、4月末までに、高知県を初め、既に6つの地方自治体が総合戦略を発表するなど、早い者勝ちの状態となっております。  そして、来年度以降は新たな交付金の本格的な運用が始まることになっています。その具体的な姿はまだ見えていませんけれども、我が静岡市は、この人口ビジョンと総合計画をいつまでに策定し、どのように国の財政支援を活用しようとしているのか、お示しください。  次に、人口ビジョンについてです。  資料1の2ページ目に国の長期的な見通しが示されています。将来の中位推計である黒の破線に対して、赤の実線は、合計特殊出生率が2030年に1.8、40年に2.07程度を実現した場合に、2060年以降、日本の人口が1億人から9,000万人を維持できることを示しています。  地方の一都市について論じるとなりますと、これに社会的な人口動態を加味しなければいけません。第3次総合計画において、2025年に70万人の人口を維持しようという目標を掲げた静岡市は、目標達成に向けて、移住人口と合計特殊出生率のねらいをそれぞれどのように考えていますでしょうか、お示しください。  続いて、その実現に向けた総合戦略についてであります。  資料1の3ページ目をごらんください。  きょうの質問は、赤丸をつけました中央部分、農林水産業の成長産業化、企業の地方拠点の強化、地方大学の活性化など、産業振興にかかわる内容を取り上げて行うわけでありますけれども、最終的には、左端にあります、市における人口減少問題の克服に結びつけようとするものであります。  2年続けて活動させていただきました産業振興策調査特別委員会では、4月の臨時議会で中間報告をさせていただきましたように、市が取り組むべき施策の幾つかを市長に提言しました。  その内容は、国の地方創生の方向性とまさに同じくするものであり、この取り組みこそ、静岡市の今後を左右する最重要テーマであると私は認識しております。  ことし、全国の地方自治体が競って総合戦略の策定に取りかかっています。今後、ますます企業誘致や移住人口のとり合いが激しくなる中で、静岡市版総合戦略は、オール静岡で、総力を挙げて取り組まなければならないわけでして、その策定に当たっては、他の自治体にない静岡市独自の強みをいかに生かし、いかにして他都市との差別化を図るかが勝負となります。  市は、どのような市の特長を前面に出していこうとしているのでしょうか、お聞かせください。  次に、第2次産業振興プランについてであります。  資料2をごらんください。ここに示されましたプラットフォーム、これがどうもよくわかりません。産業振興策調査特別委員会の提言では、きめ細かなプラットフォームを展開するよう提言したわけですが、イメージがどうも合っていません。中央にある破線の中だけをプラットフォームと言うのか、あるいはこのフロー全体を言うのか、会議体なのか、連絡網なのか、組織体なのか、まずはその目指す姿がどのようなものなのか、お示しください。  そして、その取り組み状況はどのようになっているのでしょうか。今後の展開も含めてお願いいたします。  続いて、企業誘致・留置の推進についてですが、立地用地確保の考え方につきましては、今までもしつこいくらい問題提起してきたわけでありますが、きょうは、さらに念を押して書面にしてきました。  資料2の3ページ目をごらんください。一般的に、学校で教わる市場原理は、1)のように、原価に利益を加えて売価にするというものでありますけれども、実際の市場では、2)のように、売価は市場価格で決まってしまうために、いかに原価を下げて利益を出すかという原理となっております。  立地用地の売買につきましても、これも何度も例に出してきたわけですが、例えば尾羽畑総のFAZで開発公社が造成した用地が、例えば坪15万円かかったとして、経費や利益を上乗せして、坪20万円ほどで買ってもらったとします。結果、余剰金約5億円が市の一般会計に繰り入れされたというやりとりが過去にあったわけであります。  当時は、買ってくれた事業所があったからよかったわけですけれども、現在は、周辺市町の単価は10万円前後と聞いております。交通の便のよさなどで多少高くして、12万円で買ってもらうとしても、造成費を差し引くと、Aのように利益は出ません。  従来の考え方でいきますと、経済局判断でここでとまってしまうわけであります。実際、市は、平成20年に、立地用地の確保は民間がみずから確保する活動を支援するという指針をつくり、市は直接手を出さないということを決めてしまったわけです。  あれから7年。気がつけば、経済産業の低迷と急激な人口減少が顕在化し、今のままではいけないということになってきました。下のほうに書いてあります、雇用の創出、税収の増加、人口の増加、その他の附帯効果などをトータル的に評価する必要があるわけでありますけれども、市は、このように長期的な観点で効果をとらえ、立地用地確保の施策を推進すべきであると考えますが、いかがでしょうか。  その際のゴー、ストップの判断は、左ページに載っています、市長がリーダーの産業振興戦略会議の場で、しっかりと審議、評価を行い、市長みずから旗を振ってもらうべきものと考えますが、いかがでしょうか。  次に、1次産業の活性化についてであります。  国は総合戦略の中で、農林水産業の6次化により、2019年度までに10兆円市場の創出と、5万人の雇用創出を目指しています。  急峻な山肌を、お茶やミカンなどの農地として開拓してきた静岡市の農業は、高齢化の進展とともに耕作放棄地がふえ、収穫量や年収の減少、後継者不足などが進んできました。  このような中で、市内で昭和63年から着工してきました畑地帯総合整備事業は、県主体の県営事業として進められ、現在までに新間ほたる地区や茂畑地区、新丹谷地区など、10を超える地区で着工もしくは完成に至っています。  事業費の負担は国が50%、県が30%、市が12%、残りの8%が地元ということで、市もそれなりの負担を負いながら整備してきたわけでありますが、若い担い手の増加や収穫量、年収の増加、品質の向上など、多くの成果が上がっていると聞いております。市は、その成果と評価をどのように見ていますでしょうか。  また、本事業の現在までの実施状況と今後どのようなスタンスで対応するのか、お聞かせください。  また、畑総が集中して展開していますインターチェンジ周辺においては、ミカンのオーナー制度や、アンテナショップ「きらり」の開設など、都市・農村交流の推進に向けた新たな取り組みが始まっています。  資料1の4ページ目をごらんください。この広い地域を一体的に交流拠点として整備するために、畑総間を周遊できるアグリロードという構想があります。太いオレンジは既存の道路でありますけれども、2カ所の太い赤色は、新設もしくは改修路線となります。市は、中部横断道路完成後の北からの玄関口にこのような交流拠点を整備する考えはないでしょうか。  以上、1回目の質問であります。 43 ◯市長(田辺信宏君) 私からは、大項目1、2期目に向けた市長の政治姿勢についてのうち、今回の選挙を振り返って、市民の期待をどのように感じ取ったか、そしてこの秋にまとめる地方創生総合戦略の策定に向けての決意のほどはどうか、この2点にお答えいたします。  市民の期待についてですが、午前中も申し上げたとおり、本当におかげさまで、ありがたい選挙結果をいただきました。ただし、残念だったのは、投票率が50%を切ったことでありました。これも、成果を見せるということで、2期目に向けての反省材料であります。  しかしながら、4年前の選挙に比べて、約2万票、投票が減ったにもかかわらず、およそ5万票が田辺と書いてくださり票が伸びた。そして、18万4,856票いただいたのは、3次総に向けての力強い推進力をいただいたと思っております。  この市民からいただいた期待を、地方創生総合戦略の策定にもぶつけていこうと思っています。  そこで、70万人の経済活力を維持するということでありますので、雇用の維持・拡大が中心の議論であります。統計上、今の静岡市は、約34万人の雇用吸収力がございます。手をこまねいていると、これが31万人を切ってしまいます。この約34万人の雇用吸収力を守っていくためには、総合戦略において、雇用の拡大、維持をどうしていくかということが課題であります。そのために、従来の産業、行政、大学、いわゆる産官学に加えて、金融機関、労働組合、マスコミ・言論界の産官学金労言の英知を集めた静岡市創生会議を立ち上げました。オール静岡市が連携し、静岡市総合戦略を策定してまいります。  この総合戦略の中心課題は、言うまでもなく人口減少対策であります。静岡市で生活する市民が、静岡市の外に転出しないための重要テーマでありますが、ここでも雇用が大事な要素であります。特に、農業をいかにするかに私は注力をしていきたいと思っています。  議員御指摘のとおり、1次産業を6次産業化していくことで、雇用の維持・拡大、農産物の高付加価値化による農業収入の増加や、新たな担い手の育成が見込めることから、これが中心の課題だと認識しております。  議員の資料の中にございましたとおり、農林水産業の成長産業化、これは国の総合戦略のテーマでもあります。静岡市もここに果敢に挑戦していきたいと思っています。  その観点で、牧田議員が最後におっしゃった、アグリロード構想は、大変夢のあるすばらしい構想です。これはお住まいの庵原地域で、JAの皆さんや地元の皆さんと一緒に議論して策定をしたものでしょうから、いわば庵原アグリロード構想でありましょう。このアグリロード構想を、私はこれから前向きに検討していきたいと受けとめましたし、皆さんとともにこの総合戦略の中で議論を深めていきたいと思っております。  この資料にあります、1次産業の活性化に向けた拠点施設と畑総間道路の整備構想は、点で施策をやっていくのではなくて、線、そして面でこれをとらえていく。この地域は、今後、中部横断自動車道が開通いたしますし、首都圏からも中京圏からも大変交通アクセスがいい、手軽に自然を楽しめる、そして新鮮な農産物を購入できる、そういうすばらしい空間になっていくと思います。この線で結んだ庵原アグリロード構想で、これから皆さんとともに夢を追っていきたいと思っています。  また、これらの重要な事業を進めるに当たりまして、私の政治姿勢は初志貫徹しており、変わりはございません。それは、現地現場主義であります。  今後とも、市民目線を継続しつつ、さらにスピード感を持って加速していく。市民に成果を見せる4年間にしてみせる決意であります。  以下は局長に答弁させます。 44 ◯企画局長(山本高匡君) 地方創生、地方人口ビジョンと総合戦略の御質問についてお答えいたします。  まず初めに、人口ビジョン、総合戦略の策定に関する国からの指示についてでございますが、平成26年12月に施行されましたまち・ひと・しごと創生法第10条の規定により、市町村のこれらのビジョン、総合戦略の策定は努力義務とされております。  本市においては、3次総の目指す2025年総人口70万人に向けて、人口動向や将来推計人口の分析を行い、中長期の将来展望を人口ビジョンで示し、実効性のある人口減少対策として、静岡市総合戦略を策定していきたいと考えております。  また、県との関係についてでございますが、本市においては、今、市長も申し上げましたが、産学官に加えて、金融、労働、マスコミの各界から意見を聞く場として設置いたしました静岡市創生会議を、県の総合戦略策定の中部地域会議に位置づけていただくことにより、県の総合戦略との整合を図っております。  次に、総合戦略の策定時期と財政支援の活用でございます。まず総合戦略の策定時期でございますが、本年10月末までの策定を予定しております。  次に、国の財政支援の活用についてですが、国は本年度の財政支援として、地方創生先行型交付金として、基礎交付分1,400億円、上乗せ交付分300億円、合わせて1,700億円を計上したほか、まち・ひと・しごと創生事業費1兆円、総合戦略等を踏まえた各省の個別施策約7,000億円などを計上しております。  地方創生先行型交付金の基礎交付分、今言いました1,400億円の部分でございますが、これにつきましては、既に平成27年2月補正予算により、人口ビジョン、総合戦略策定のための基礎調査のほか、インバウンド推進のための外国人旅行者向け消費税免税環境整備・出店促進事業等に取り組んでおります。  そのほか、先駆性を有する事業や適切な成果指標を掲げた総合戦略を交付対象といたします、先ほど申し上げました上乗せ交付分300億円分がございますけれども、こちらにつきましても、今年度の獲得を目指してまいります。  今後は、まち・ひと・しごと創生事業費や各省の個別施策の活用を図るとともに、国が来年度以降創設を検討している、新型交付金の情報収集に努め、総合戦略推進のための財源確保に取り組んでまいります。  次に、人口ビジョンについての移住人口のターゲットでございますが、進学、就職といった居住地の変更を伴う進路選択がある20歳前後、それから、転勤や転職、住宅購入など、生活を見直す機会を迎える40歳前後、定年退職でついの住みかを探す60歳前後の、この3つの階層を主なターゲットとして、現在、想定しております。  ターゲットごとのニーズに合った施策を打ち出し、主に首都圏からの移住の促進と地元人材の流出防止に取り組みたいと考えております。  次に、出生率向上のねらいについてですが、結婚、妊娠、出産、子育ての希望をかなえるために、地域ぐるみで結婚を応援するしずおかエンジェルプロジェクト、不妊治療の助成、認定こども園の普及、放課後子ども対策の推進など、各段階に応じて切れ目のない支援を充実させていく必要があると考えます。  また、結婚、妊娠、出産、子育てそれぞれに対する若者の理解やイメージの向上を進めるとともに、男女ともに仕事と家庭が両立でき、子育てに取り組めるよう、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでまいります。  最後に、総合戦略が唱えるべき、本市の特長についてでございますが、本市は温暖な気候や豊かな自然、お茶などのおいしい食材に育まれた、健康で長生きできる健康長寿のまちという特長と、登呂遺跡の農耕集落が栄えた弥生時代や、今川文化が花開いた室町・戦国時代、家康公の大御所政権時代など、悠久の歴史の中で多彩な文化を育んできた歴史文化のまちという特長を有しています。  移住者の呼び込みに当たっては、このような特長を生かしつつ、静岡県中部圏域約120万人の中心商業都市での都会暮らしと、豊かな自然が残る中山間地域での田舎暮らしが、東京から新幹線で1時間という立地で選べる点をアピールしてまいります。  また、新東名高速道路、中部横断自動車道といった高速道路や清水港など大規模社会資本の活用などにより、企業誘致・留置の推進や、産業振興に取り組み、移住促進と地元人材の流出を防止する雇用の創出を図りたいと考えております。 45 ◯経済局長(築地伸幸君) 私から、4点の御質問にお答えします。  最初に、目指すプラットフォームの姿はどのようなものになるのかについてですけれども、市内の企業において大多数を占める中小企業は、資金計画や人材の確保など、日々の活動におきまして、さまざまな課題を抱えております。このため、中小企業は、新しい商品開発や販路開拓などの新たな取り組みに踏み出しにくく、蓄積された技術やノウハウなどを有効に活用できていない状況となっております。  プラットフォームとは、このような企業の持つ事業の芽を発掘し、新たな事業の展開に向けた支援を行う仕組みでございます。  具体的な進め方といたしましては、まず産学交流センターや清水産業・情報プラザといった本市の産業支援機関、商工会議所や中小企業団体中央会といった経済団体、また、市内金融機関に寄せられる、事業の芽を持つ企業の情報を収集いたします。その中から、新商品開発や新事業展開など、事業化の可能性が高いものに対し、支援を開始いたします。  支援における主なメンバーは、例えば、デザインやマーケティングの専門家、それから、高度な技術や知識を持つ大学の研究者、金融支援を行う金融機関職員などであります。市の職員は、各メンバー間の調整を図るとともに、事業を牽引するなど、中心的な役割を果たします。  実際の支援に当たりましては、メンバー全員が知恵を絞り、顧客の手元に届くまでのいわゆるゴールを見据え、初期の商品開発段階からさまざまな視点でアドバイスや協力を行ってまいります。  プラットフォームの最も重要なポイントは、この活動を通して、中小企業の皆さんが、自社の持つ特徴、強みを再認識し、新たな取り組みに挑戦しようという意欲が高まることであると考えております。  次に、戦略産業振興プラットフォームの現在の状況についてですが、現在、産業支援機関や経済団体、行政などの持つ企業情報、金融機関から市へ寄せられる相談案件などに基づき、事業化の計画を持つ企業への訪問を実施しております。これまでの訪問活動を通じて収集した企業情報の中には、新商品の開発、それから、海外への進出、6次産業化への展開などにつながる可能性が期待される事業の芽が見つかっており、随時、技術専門家の紹介や連携できる企業とのマッチングなどを行っています。  次に、今後の展開についてですが、事業の芽の一例として、和のティーセットを開発し、それを海外へ販売することを目的としたプロジェクトが動き始めております。これは、本市伝統工芸の駿河竹千筋細工や駿河漆器等の技術を取り入れ、イギリス紅茶文化に欠かせないアフタヌーンティーで使用する、ティースタンドなどを開発しようとするもので、本市伝統産業とイギリス文化の融合による、海外向け新商品の開発につながるものと期待しております。  次の段階として、伝統工芸に詳しいアドバイザーを仲介役とし、事業発案者と伝統工芸職人とのマッチングを進めてまいります、そして、このようなサイクルを繰り返し繰り返し行うことで、第2次産業振興プランが目指す、本市産業の育成を推進してまいりたいと考えています。  また、こうした活動と並行して、市の特定部署に限らず、市全体でこのプラットフォームの機能が担えるような庁内の組織づくりを進めてまいります。  次に、企業立地用地の確保に向けた施策検討の考え方と、産業振興戦略会議における検討についてでございますが、用地確保に当たっては、価格などのいわゆる企業ニーズを踏まえ、行政が企業立地の効果を長期的、多面的にとらえながら検討し、将来的なメリットが確実に見込めるような場合は、機を逃さず、大胆な施策を行うことも必要であると考えています。
     その際の企業立地の効果としては、雇用の創出や設備投資に係る税収入の増といった直接的なもののほかに、長期的には、市内取引企業の生産額の増大や雇用の誘発など、2次的、3次的な波及効果が考えられます。  現在、このような観点も踏まえ、企業立地用地の確保に向けた検討を行っているところです。  ただし、効果があればどのような投資も可能ということではなくて、効果と事業コストとの整合性、いわゆる費用対効果の検証が不可欠であることは言うまでもありません。  費用と効果とのバランスを慎重に見きわめますとともに、事業手法についても、市の直接投資、または開発者に対する助成など、さまざまな手法を比較検証しながら、より効果的な施策を構築することが必要であります。  なお、これらの検討に当たりまして、政策面及び財政面を含めた庁内一丸となった協議が必要であることから、今後、産業振興に係る各種施策を一体的に検討する場となる産業振興戦略に会議において、多角的に議論してまいりたいと考えております。  最後になりますけれども、市内畑総事業の実施状況の評価と、今後の対応についてでございます。  県営畑地帯総合整備事業、いわゆる畑総事業は、優良農地の創出を主な目的に、農地やかんがい施設、農道などの基盤整備を行うものです。  実施状況につきましては、昭和63年度から清水区原地区を皮切りに、11地区で受益面積で約520ヘクタールが実施され、現在までに6地区、約300ヘクタールが完了し、残る5地区、約220ヘクタールも事業の最終段階に入っております。  次に、畑総事業の評価ですが、傾斜地から平坦な優良農地に生まれかわり、生産性の向上や高品質化などにより格段に収益性が向上したことから、平成25年のJAしみずの調査におきましては、青島温州みかんの10アール当たりの平均収益は約2倍となり、地区内には若手後継者が多く輩出されるなど、大きな効果が生まれています。  さらに、優良農地を活用したミカンオーナー制など、新たな農業への取り組みも始まり、本市農業振興計画が掲げる、農業者が生き生きと輝く産地づくりに貢献しているものと考えております。  今後の対応についてですが、現在実施中の事業完了に向けて、引き続き支援を継続してまいります。  また、新たな事業につきましては、その実現性、それから、地元農業者の意向、地域農業にもたらす効果、さらには既存の事業も含めた面的な整備効果など、幅広い観点からその可能性を検討してまいります。   〔22番牧田博之君登壇〕 46 ◯22番(牧田博之君) それぞれ御答弁ありがとうございました。  市長からは、総合戦略に向けての決意、それから、アグリロードに対しての大変前向きな御答弁をいただきました。  このアグリロードが完成しますと、1周およそ15キロから16キロ、南には駿河湾と三保半島を見おろし、東には富士山を望むという絶景の周遊道路となります。例えば、JRの健康さわやかウオーキングの誘致や、地元で開催しています駅伝大会の拡大開催など、さまざまな交流事業の舞台としても活用できるものとなります。  また、畑総事業そのものについても、優良農地創出事業として、ただいま市からは大変高い評価をしているとの御答弁をいただきました。  特に、かんきつ類におきましては、興津の独立行政法人果樹研究所と茂畑畑総に誘致しました県の柑橘試験場という研究機関と相まって、全国でも有数の拠点地域となります。  今後の高齢化の進展とともに、若手担い手への農地の集積が進むと考えられますが、アグリロードは、複数の畑総で営農する農家のアクセス向上と、作業能率の向上にも寄与するものではないかということであります。  現在でも、営農する農家の3分の1以上が、2つ以上の畑総で仕事をしているということであります。大変喜ばれるものとなるのではないでしょうか。  そこで、昨年度県において、この畑総間道路の可能性調査を行ったと聞いています。その検討状況と、今後に向けた考えはどのようになっているか、お示しください。  また、2年後に開通する中部横断自動車道をにらみ、市内の林業、水産業も含めた1次産業の活性化と、6次産業化に向けて、道の駅的な活性化拠点施設を整備する構想があります。市は昨年度、本件に関して調査を行い、検討を進めてきたと聞いています。その検討状況と今後の整備に向けた考えをお聞かせください。  そして、企業立地用地の確保につきましては、市は本年度、大谷・小鹿地区と清水区のインターチェンジ周辺地区の2カ所について可能性調査を進めております。  民間企業所有の遊休地や既存工業団地の拡張、遊休市有地の利活用など、その他のエリアについても、より多面的でスピーディーな調査を行うべきだと考えていますが、どのようにお考えでしょうか、お示しください。  続いて、「人財」育成についてであります。  実は、この第2次産業振興プランは、3つの視点で欠けているのではないかという点があると私は見ています。  1つは、戦略産業の中に、昨年度の議会答弁で当局から何度も表明がありました、コンタクトセンターなどの都市型産業、また、議会発議で条例化しましたものづくり産業、市内において数少ない成長産業であります医療・福祉、情報・通信産業が含まれていません。戦略産業に入れるべきだということではなくて、これらをどうするかという視点が欠けているのではないかと見ています。  それから、2つ目は、急な対策を要します戦略産業でない中小零細事業に対しての配慮や施策が少ないのではないかということであります。プラットフォームの答弁の中に中小企業の説明もありましたが、例えば鉄鋼業界、金属加工業界、建設業界や小売、卸売業など、中小零細事業所は仕事がありません。少ないです。収入が少ない。したがって、子供たちが継がなくて、結局、後継者がいなくなっていると、同じ状況があるわけであります。  市内にある事業所の約8割が従業員9人以下の、このような事業所であります。きょうの飯をどう食べていくのかという深刻な状況の中で、高齢化も進み、今後ますます急激に事業所数は減っていってしまうのではないかと懸念されるところであります。  昨日の新聞にも、2013年度の県の倒産発生率が全国で断トツのワースト1だったということでありました。ここに目が行っていないのではないかということであります。  そして、3つ目が、この「人財」育成に関してであります。特に、その中でも、大学の誘致や地域経済を支える実業教育の場の不足に対して踏み込んでいない点であります。  これは経済局の守備範囲を超えているからだと理由づけされているわけですが、複数の有識者からもこの点は指摘されてきているにもかかわらず、局をまたいだ議論ができていなかったのではないでしょうか。  提言の中にも盛り込んだわけですけれども、現在の産業は、従来の農業、工業、商業という枠ではとらえられなくなっています。  農業で言えば、農作物のつくり方、育て方から加工、流通、販売につながる6次産業化へ。工業で言えば、材料、加工、電気、電子などの世界から、ロボットや人工知能──AIと表します、それから、インターネットオブシングス──IoTなど、製造業と情報産業が融合した高度ものづくり産業へ変わっています。また、商業においても、調達、物流、販売を通じた店舗マネジメントと会計事務などから、グローバルなインターネット販売や大規模店の経営、流通マネジメントなどへ、それぞれ大きく変化してきています。  このように、今までとは全く異質のものとなっています産業界から求められる「人財」像も、当然変化して、高度化してきているわけであります。  市の5つの戦略産業を担う「人財」も、また、先ほど触れました中小零細事業所が生き残るために必要な「人財」も、基本的にこのような産業構造の変化と進化に対応できる、高度な知識、技能を持つ「人財」が求められていると考えられます。  従来、産業人の育成は、主に企業が担ってきましたが、今後、このように高度化していく産業界から求められる「人財」は、大学や大学院の中で実学として教育してから社会に送り出す必要があります。  先般の市長提言の中では、学生の流出防止という意味も含めて、高度実業教育機関や大学、大学院を静岡市に誘致したり、既存大学に産業界や企業からの寄附講座や寄附プログラムを設置する施策を求めたのであります。  資料2の4ページ目をごらんください。  先月27日、日経新聞に載った経営共創基盤CEOの冨山和彦氏の記事なのですが、大学で実学重視の職業訓練をという主張は、切り口は多少異なりますが、結論はまさに同じなのであります。  ついでになりますが、実はこの静岡市が実業教育発祥の地であるということを紹介させてもらいます。  その下にあります写真は、明治26年、第2次伊藤内閣における文部大臣、井上 毅が公布しました実業補習学校規定によって、日本初の農業補習学校として認可された杉山青年報徳学舎の現存する校舎であります。  明治23年、先ほど山梨議員が取り上げました興津地区に静養に来ていました井上 毅侯、井上 馨侯とは違いまして、肥後熊本の出であります。長州、井上 馨侯とは血筋はつながっていないようですけれども、この井上 毅侯が当時、20歳以下の若者を農業の担い手に育成しようと、明治2年から取り組んできたこの夜学校を見つけ、実業教育の手本だということで、国の官僚に視察させてつくらせたのがこの規定であり、この学舎の取り組みは、全くそのままの状態で認可第1号となったのであります。  本規定の基本思想は、国家将来の富力を増進させるとされ、引き続いて、商業、工業、水産、商船と校種が広がっていき、明治27年の実業教育費国庫補助法、明治32年の実業学校令、明治36年の専門学校令の公布等により、東京工業大学の前身である東京高等工業学校や、一橋大学の前身である東京高等商業学校、札幌農学校など、時代の要請に応じて次々と認可されていったのであります。  当時は、富国強兵の中、日清戦争から日露戦争へと向かう、まさに坂の上の雲を目指していた時期であり、時の政府も、産業の隆盛を実現するための「人財」をどのように育成し送り出すかが、大きなテーマだったわけであります。  今日、新たな産業への転換期を迎え、このような歴史を持つ静岡市が、改めてその先鞭をつけた実業大学、大学院の誘致や、既存大学と産業界が協働で寄附講座、寄附プログラムを創設することは、戦略産業の育成のためにも、中小零細事業所の生き残りのためにも、また、将来的に市の人口70万人維持を実現するためにも、必須の事業であり、同時に大変意義深い事業にもなるものであります。  市長への提言書に盛り込みました国際的海洋文化・学術拠点の整備は、その具体的な事例の1つであります。  静岡市にちきゅう号の海洋研究開発機構を誘致し、国際的海洋資源研究基地としての先端産業の集積を図ると同時に、その担い手を送り出すために、品川にあります東京海洋大学を誘致したり、東海大学や各種学術研究機関との連携で、海洋科学と実務全般にかかわる「人財」の育成を図ることを提言したのであります。  これはあくまで一例にすぎないのでありますが、市はこのような実学重視の大学、大学院の誘致や、企業、業界からの寄附プログラム設置の誘導などによって、産業振興を推し進め、人口の地域定着や増加に結びつける考えはないでしょうか、お示しください。  最後に、庁内推進体制とキーマンの育成についてであります。  資料2の2ページ目をごらんください。  先ほど市長の決意もお聞かせいただきましたが、この8年間における産業振興の成否は、まさにこの庁内推進体制がしっかりと機能するかどうかにかかっています。記載されていますスケジュール例は、年に1回の予算獲得に向けたものでありますが、産業振興戦略会議の運用は、日ごろの市内の経済情報をもとに、よりタイムリーかつダイナミックに施策展開が行われるように開催される必要があります。  国においてでさえ、3カ月に1度、GDPを集計し、発表することで、政策のチェックとフィードバックを行っているわけでありますけれども、市はその運用をどのように考えていますでしょうか、お示しください。  そして、この戦略会議や分科会には、的確な判断ができるようにするために、職員の中に関連する産業や業界、企業等に熟知したキーマンが必要となります。言いかえれば、そのようなキーマンを育てなければならないということであります。  そこで、伺います。市では、3年前から民間企業との交流研修を行っていますが、そのねらいと実績はどのようなものなのでしょうか。  そして、例えば製造業の実態に詳しいキーマンを育てたいとか、より具体的な目的を持った「人財」をこの人事交流研修で派遣する考えはないのでしょうか、お答えください。  以上、2回目の質問であります。 47 ◯経済局長(築地伸幸君) 4点の質問についてお答えいたします。  まず、畑総間道路の検討状況と、今後に向けた考え方についてですけれども、清水区の庵原地域のインターチェンジ周辺には、畑総事業実施地区が5地区ございまして、これらを結ぶ道路につきましては、地元から整備を求める声が上がっております。  このため、本市では、県と連携いたしまして、平成26年度から2カ年事業で尾羽・茂畑間、茂畑・梅島間の農道整備の可能性につきまして調査を実施しているところでございます。この調査におきましては、農道の位置、事業費、それから、費用対効果など、農道整備の実現性を検討しており、平成26年度の調査では、おおむねのルートと概算事業費が示されたところであります。  次に、今後の考え方についてですが、畑総事業実施地区では、複数の地区で農業を営む農家もあり、畑総間の道路整備により、移動時間の短縮、それに伴う農作業の効率化が見込めます。  また、こうした農業者のメリットだけでなく、見事な景観に引き寄せられて、散策や農業との触れ合い体験など、先ほど市長が申し上げましたような、新たな交流が生まれて、地域活性化につながる効果も期待できるところでございます。  畑総間道路につきましては、県営事業としての採択が前提となりますけれども、現在実施している調査で実現の可能性が高まれば、県と連携して、前向きに検討させていただきたいと考えております。  次に、中部横断自動車道の開通に向けた活性化拠点の検討状況と、整備に向けた考え方についてですが、平成26年度に実施した中部横断自動車道利活用可能性調査では、沿線となる山梨県、長野県の一般消費者や企業等のニーズを把握し、今後の事業展開の可能性を探りました。  調査の結果、観光需要の変化では、中部横断自動車道開通後に本市へ訪れたいとの回答が約8割と、高い割合を示しました。そして、関心のあるレジャーとして、お茶、ミカン、イチゴなどの農産物の収穫体験も挙げられており、本市農業の観光産業としての可能性も示されたところです。  このように、中部横断自動車道の開通は、山梨県や長野県などから多くの観光客を呼び込むことで、優良農地が広がる清水区庵原地区で生産される地元農産物の販売増が見込まれるだけでなく、見事な景観を生かした観光交流と連動した新しい農業の姿が生まれ、1次産業や沿線地域の活性化につながるものと期待されます。  活性化拠点の整備を含めた今後の地域活性化策のあり方につきましては、単に農業というだけの視点ではなく、観光交流など幅広い視点に立ち、官民連携のもと、総合的にとらえていく必要があると考えております。  次に、大谷・小鹿地区及び清水区インターチェンジ周辺以外のエリアについての、企業立地用地の検討についてでございますけれども、平成27年度の調査では、主に大谷・小鹿地区及び清水区インターチェンジ周辺のエリアについて調査検討を行ってまいりますが、その前提として、市域全体をとらえ、まとまった企業立地用地確保の可能性を整理してまいりたいと考えています。  具体的には、法規制や農地政策など、土地利用に係る諸条件、交通インフラなどの整備状況、まとまった広さを持つ未利用地の状況、企業ニーズに照らした立地条件などについて調査し、一体的に整理していくよう考えております。  その中で、大谷・小鹿地区及び清水区インターチェンジ周辺以外のエリアにつきましても、企業立地用地確保の可能性を探ることとしており、候補地が見つかった場合は、今後、さらに踏み込んだ調査を検討してまいりたいと考えております。  最後になりますが、第2次産業振興プランの庁内推進体制についてでございますが、戦略産業の育成や既存産業の支援をしていくには、部局を超えた連携が必要となります。そこで、市長を筆頭に、両副市長及び関係局長で構成する産業振興戦略会議を設置してまいります。  この会議の役割は、市長を初めとする市幹部が、本市の経済動向や各種産業施策の進捗状況等を確認し、企業経営者や有識者で構成する産業活性化懇話会からの助言を参考に、各局が連携して産業振興プランを推進することであります。  この会議は、本市を取り巻く経済環境の変化に対して、各種施策を迅速かつ柔軟に対応させる必要があるため、開催回数は特に定めず、必要に応じて臨機応変に開催すべきものであると考えております。  そして、市長のリーダーシップのもと、この会議を第2次産業振興プラン推進のエンジンとし、プランで掲げた市内経済の活性化と雇用の創出の実現を目指してまいります。 48 ◯企画局長(山本高匡君) 私のほうからは、地元産業界が求める「人財」の育成のため、実学重視の大学を誘致する、または企業、業界の寄附学部の設置誘導などを進める考えはないかということでございます。  まず、本市の実情を申し上げますと、高校の生徒数に比べ、大学、短期大学の受け入れ数が少なく、高校卒業後、進学する若者が市外へ流出してしまい、これが今の人口減少する要因の1つとなっております。  大学の誘致は、一般論でございますけれども、市外の大学等への流出を減少させるとともに、大学生や教職員などが市内に住み、生活することによる人口増や経済効果が期待できるところでございます。  議員からの御提言の、実学重視の大学誘致ですとか、企業・業界の寄附学部設置誘導などによって、産業界が求める「人財」を育成し、地域の企業へ就職する学生が増加することができれば、「人財」の流出防止になるほか、優秀な「人財」が地域の企業で活躍することになり、産業の発展、地域の活性化につながるものと考えております。  これから10月に向けて策定いたします静岡市総合戦略には、中心市街地に立地しようとする私立大学等、特に御提言の実学重視の学部も含めて誘致を図り、なおかつ既存大学での実学のプログラムの開設などについても、あわせて検討をしてまいります。  それから、産学官連携による、学生にとって魅力ある就職先の創出とマッチングなどについても、盛り込んでまいりたいと考えているところございます。 49 ◯総務局長(三宅 衛君) 庁内の推進体制及びキーマン育成に係る御質問のうち、まず民間との人事交流による研修のねらいと成果についてですが、この研修は、本市として初めての制度であり、制度設計や企業との調整など、担当の職員が多くの困難を乗り越え実現したもので、官民連携の基軸として位置づけております。そして、相互の人事交流という形で平成24年度から実施しております。  そのねらいですが、市から民間への派遣では、公務職場では得られない民間の経営手法などを学び、より効果的、効率的な行政運営を行うことのできる職員を育成すること。また、民間から市への派遣では、公共政策に通じた社員を育成し、企業の地域社会への貢献度向上を図ることです。  成果としましては、この4年間で計14の民間団体と交流していますが、派遣した市の職員からは、民間での顧客志向、スピード感覚、コスト意識等について、身をもって学ぶことができたとの報告を受けており、帰庁後に配属された職場においても、その経験を存分に生かして活躍しております。  また、市に派遣された民間の社員からは、公共の利益のために業務を遂行することの難しさを知るとともに、地域のため真剣に業務に取り組んでいることを目の当たりにして、行政に対する理解が深まったとの感想を得ています。  さらに、先日、職員の自主研究グループによる異業種交流イベント、「しずおか地方創生カフェ」が開催され、市、民間双方の派遣職員を中心に、本市の発展に向けた意見交換が行われました。このようなことを通して交流の輪が広がり、官民の枠を超えた人間関係が形成されるなど、将来にわたって本市の大きな財産になっていくものと考えております。  次に、より具体的な目的を持った民間との人事交流についてですが、これまでは、新しい公共経営の観点から、金融、交通、物流、エネルギーなど、さまざまな業種における民間企業との交流を通して、広くその経営感覚や経営手法を学んでまいりました。  一方で、今回御質問いただきました、第2次産業振興プランの推進に当たっては、各種産業の実態など本市を取り巻く経済の状況等を正確に把握し、その課題に対応できる職員の育成も求められております。  こうしたことから、今後、各部局所管の分野に係る複雑かつ高度な課題解決のため、より効果的な施策を構築できる職員の養成が必要と考えます。  そこで、特定の業種における企業との間で人事交流を行うことについても、各部局のニーズを確認した上で、現在の交流の枠組みの中で実施していくことは十分可能であると考えております。   〔22番牧田博之君登壇〕 50 ◯22番(牧田博之君) 3回目は意見・要望です。  まず、きめ細かなプラットフォームについてであります。  資料2を見ますと、産業振興プランのプラットフォームづくりやその運用は、担当課であります産業政策課だけの仕事のように見えてしまいますけれども、そうではないということを確認しておきたいわけであります。  中間報告で紹介しました「Ur」は、地元産材の有効利活用をテーマとして、中山間地振興課の声かけで集まった関係企業、団体の皆さんが協働でアイデアを出し合って、新商品開発を検討した結果、生まれたものであります。このような活動は、資料2のような大きなプラットフォームに載ってくる前段階に位置づけられるものでありまして、提言の中では「きめ細かなプラットフォーム」と呼んだものであります。  このような行政からの仕掛けは、例えば中小零細企業同士や団体同士が1つのテーマ、課題に向かってアイデアを出し合い、商品化を検討する場所を用意したり、オープンデータ、ビッグデータの情報処理関係者と大学、企業関係者、コンサルタントなどが、その利活用に向けた新商品や新サービスのアイデア出しを行う場をつくるなど、さまざまな分野で同じように展開できるものであります。  成果物が徐々に見えてきた段階で、大きなプラットフォームのフローに載せて、審議、評価、熟成されて、市場に出て行くということになるわけであります。  きめ細かなプラットフォームというこのステージづくりは、庁内の各部署が、主体となって、行政みずからが担っていただく活動だということであると思います。ぜひ各部署の担当の皆さんは、決して人ごとのように思わないで、みずからの活動だということを、念を押してお伝えさせていただきます。  2つ目は、実業教育についてです。  新たな教育機関の誘致に時間がかかるのであれば、既存大学、大学院に地元産業界が寄附プログラムを提供して、求める「人財」の育成をみずから手がけてもらう手もあります。  社会人を含めた、若い世代のこのような学びの場を充実させることで、静岡市の産業をよみがえらせ、将来にわたって70万人を維持していく大もとになるものであります。市長をトップとして、真剣に検討していただければと思います。
     3つ目は、民間企業との交流研修事業の活用についてです。  答弁にもありましたように、現在の交流研修事業の枠組みの中でも、各職場のニーズに沿った課題解決に向けた派遣交流が可能であるということでありました。言いかえれば、その間の補充人員を確保してくれるということであると思います。  各職場におきましては、長い目で見た職場としてのスキルアップ、あるいはキーマンの育成のために、また、職員キャリアのステップアップのためにも、これはという職員をぜひ積極的に派遣に出していただくよう、上司の皆さん、ぜひともよろしくお願いいたします。  最後に、庁内の戦略会議についてであります。  本日答弁いただいたとおり、これは第2次産業振興プラン推進のエンジンであります。田辺市長には、ぜひとも強力な旗振り役となっていただき、明るいあしたの静岡市に向かって突き進んでいただきたいと期待をさせていただき、全ての質問を終わります。ありがとうございました。 51 ◯副議長(遠藤裕孝君) この際、暫時休憩といたします。         午後3時16分休憩    ───────────────────         午後3時29分再開 52 ◯議長(繁田和三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  総括質問を続行いたします。  次に、中山道晴君。   〔30番中山道晴君登壇〕 53 ◯30番(中山道晴君) それでは、通告に従いまして総括質問をさせていただきます。  今回は、市長2期目ということで、第3次総合計画における決意を前回は聞きました。市民が田辺を選んでよかったと言われるような3次総をやっていきたいと、こういう話でございました。もちろん結構でございます。私は、覚悟を聞きたいと思うわけですね。  覚悟といいますと、退路を断つということです。あなたの任期は4年しかないのです。8年の総合計画全部をやれるわけではない。4年ですよ。たった4年。たった4年で成果を出さないとだめなわけです。  人口70万人、これは平成37年です。人ごとです、これでは。4年の間にどのように右肩下がりの人口を食いとめるか、そこをびしっと、私の任期の間にはこうしますという覚悟が欲しいと思うのです。  例えば、東静岡の件もそうでございます。4年です。4年の最後には、きっちりとこういう施設をつくりますという覚悟が必要ではないですか。それをもとに、次の4年間の市長選に臨むと、こういうスタンスでなければいけない。まさしく退路を断った覚悟が必要なのです。  歴史文化施設もそうです。4年しかないのです。4年のときには、もうあそこを解体して、着工します。必ずやりますという覚悟が必要ではないかと思うわけでございます。という覚悟を本当は期待しているわけでございます。  まさしく今、結果をコミット、結果に責任を持つ、こういう時代なのですよ。  ということで、第3次総合計画について、覚悟のほどを聞いてまいります。  最初に、人口減少対策ですね。  2008年の11月、由比町が合併された年ですね。この年に人口推計が出ているのです。それは、2005年の国勢調査の72万3,323人ですか。これをもとに、2010年には71万6,000人、そして2015年には70万2,000人になりますと推計されているのです、もうそのときに。2020年には68万1,000人ですと、2008年にもう推計されているのですね。いろいろな状況を見ますと、そうなりますよと。  実際どうだったか。実際、2010年には71万6,197人と、ぴったりですね。2015年には、現在、70万4,000人、2,000人多いですよ。おっ、すごい、2,000人増だ。誤差の範囲か。出生が少なく、それで亡くなられる方が多い。それ以上ふえるはずはないね。自然減が少なくなることはない。となると、社会減、転出入に歯どめがかかったのかなと思うわけじゃないですか。これは田辺市長4年間の成果だと思いたいわけでございますけれども、これには分析が必要ですね。  このままでは、予想どおり70万人は来年、あるいは2016年には切ってしまうのじゃないかと思うわけです。言わざるを得ないです。  実質的効果が上がる施策が打たれているのか、甚だ心もとないと私は思うわけです。  私は、やっぱり一番大事なのは、雇用をふやす、今まで前の議員がたくさん言っておりますが、一番大事だと思っております。  市長も全く同じだと思います。2013年に対談があるのですね。「新卒のかんづめ」です。これは静岡新聞の企画で、ジョブエール代表取締役の松本保美氏と対談している中で、すごい危機感を持って人口減少に対して手を打たなければいけないと考えておりまして、やっぱり大事なのは、雇用をふやすために、静岡市には、非常にすばらしい中小企業が多い。しかし、情報発信力がないのだと。せっかくいい企業が、来てくださいと言っても、なかなか情報発信していないと。  今、就職の場合は、ほとんどがインターネットで情報を集めます。そうすると、ほとんどが大手の企業のところに行ってしまって、中小企業の名前の知らないところは来ない、これが原因だということで、いろいろな手も打っております。私は、もうこうなったらなりふり構わずやってもらいたいなと思うわけでございます。  こういう中で、あるいは選挙戦の中でも言っているのですけれども、若い女性が帰ってこない。行ったきり帰ってこない。こういうことを受けて、それでは、新幹線通勤の助成を出したらどうかとか、そういうアイデアがあるわけです。  あるいは、奨学金の返済猶予です。これは3月から始めているのですが、ホームページを見たら載っていないのですよ。いろいろ聞いてみたら、ことしの3月で終わりで、ホームページに載せてないという話で、しかも教育局だから、なかなか難しいと。本来ならば、地元に戻ってほしいわけですから、その奨学金をもらっている方全部に、4年生、3年生、2年生に助成して、戻ってきてくださいとやったほうが効果がありますね。  4年たって市長の改選するころに少し戻ってきましたという話ではしようがないですね。そういう意味合いでは、もっともっと手があるのじゃないかなという気がするわけですよ。  日本一のインターンシップのまち、あるいは創業しやすいまちをつくりましょうということも言っております。言ってるだけではだめだね、やっぱり。実行しなければ。  創業しやすいまちというのは、従来、僕らが議員になったころから、SOHOしずおかというのがかなり頑張って、創業されてる方が多いですよね。抱っこひもの北極しろくま堂なんかもそう。そういうものをもっともっとやっていれば、SOHOですから、数人の企業ですよ。それが10社あっても、30人、40人ですよ。しかし、ばかにできない。  コンテンツバレーもやりましょう。今あるけれども、いまいちかな。あとは、経営者と出会えるまちにしましょうというのもやっている。あるいは、もう1つは、外国人の留学生にも静岡に住んでもらおうではないかということなども言ってるわけですよ。やったらいいではと思うのです。  そこで、覚悟が要るのですよね。やっぱり予算が足りないとか、やらない理由は幾らでもあるのですよ。幾らでもつくれる。平等ではないね、不公平になるねという話をし始めたら、全てできないのです。そこを、やっぱり覚悟を持ってどんとやってもらいたいと思うわけです。  不公平というのは、ちょっと話がそれますけれど、ふるさと納税は、我々の市では何も出さないでしょう。今検討されてるかもしれないのですけれども、ほかのところはいろいろな特典がつくと。市民で私のようにまじめに税金をしっかり払っている人には何の特典もないのですか、不平等ではないですかと思ってしまうわけですね。それだったら、特典のあるほうに行ってしまう。ぼんと税金がなってしまうわけですよ。だから、平等、不平等は関係ない。その事業にこれが必要だと思ったら、不退転の覚悟でやってもらいたい。  質問になります。若者、女性の人口増、これが大事だと思いますけれども、その対策についてどう考えているのか。  きょう、鈴木直明議員からもかなり事業への質問が出たけれども、それで何人が帰ってくるのか、その数字がやっぱり必要だと思うのですね。  70万人を維持するには、例えば、この奨学金も40人なのですよ。40人に行って、それで何人、20人帰ってきましたと。20人だけ。そういうのを積み重ねる必要はあるから、で何人欲しいのか。  自然減で1,000人ぐらいですよ。社会減で1,000人ぐらいです。2,000人ぐらいが毎年減っているのだから、やっぱり1,000人ぐらい帰るようにすれば、何とかツーペイでずっと行くわけですよ。だから、そこの数字をきちんと捉えてやってほしいと、こういうことでございます。  次に、商工、物流について進めさせてください。  牧田議員からも大分言われておりました。私も、産業振興プランを一生懸命読ませてもらった。こういう第1次のプランもあるんですけれど、まさしく私が議員になったころから、産業については一生懸命思い入れを持って言ってきました。載っているのが、本当に美辞麗句ばかり。現実に結果が出ていない、これが一番残念。  この第1次産業振興プランは、結果が出ているのは観光ですよ。観光はすばらしい。1000%ね。ほかの数字は全て下がっている。事業所総生産額。  だから、この産業振興プランは、前から言えば、ものづくり産業プランもあるのですけれど、プランプランになっちゃって、本当に見る気もしないなと。だけど、観光のところだけはすばらしいですよ、観光のところは。だから、ここをもっと強くしたほうがいいかなと。それに派生させていろいろな事業を組んだほうが、得意分野、不得意分野があるから、いいかなと私は思うのです。  余り不満ばかり言ってもしようがないのですけれども、例えばここは、県がフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトということに入ったころからやっているのですよね。浜松はフォトンバレー、そして富士山麓はファルマバレーということで一生懸命やっていて、二重行政ではないよと。しっかりとここの県の事業にも助成金を出してやっていますよ。  結果が出たのかなというと、少し出ているのですよ。出ているのだけれども、PRもちょっといまいちかなという思いがあって、お土産というと、大体「うなぎパイ」とか、お茶はもちろんそうですけれども、「こっこ」というのがあるんだね。「こっこ」って静岡でつくっているのです。フーズ・サイエンスプロジェクトだから、こういうのがもっとふえてもいいじゃないかなと。10何年たっても、余り新しいやつが目に見えない。  「勝男クン」なんかは焼津市だし、そういうのがね、「しずまえ」とか、そういうのをやっているので。もっともっとやってもらいたいというふうに思うのだけれども、県との二重行政の関係か、市が独自にということが何かできていないみたいな雰囲気がある。だけど、それはもう県にお願いして、フーズ・サイエンスは中部地区で全部、市で頑張りますよみたいな、そういう方向をやってもらいたいし、駿河湾地域循環社会の推進と新事業創出、これも同じように載っているのですけれど、結果が余り見えていないなということでございます。  ばんとくるのは近大マグロだね。近大マグロにウナギ味のナマズ。それから、キンダイという魚があるのですよ。近畿大学のタイ。安いやつをかけ合わせておいしい。そういうやつがばんばんマスコミに載ってきてしまうのですね。  東海大だってやっているではないかって思うわけですよ、あれは三保の深層水のところを使って、マグロではなくて、あれは養殖のアワビかな。アワビをやって、マグロもちょっといまいちなのです。だけど、こういうものをもう既に10年ぐらい前からやっているのに、事業化されないというのは、ちょっと残念で、もう少し頑張ってもらいたいと思うわけでございます。  牧田議員からいろいろ聞いていただきましたので、まず私としては、第1次産業振興プラン、こういうのを今までずっとやってきたので、その結果を検証して、この第2次にどう反映したのか、まず聞きたい。  それから、もう1つは、食品ヘルスケア産業を戦略産業とすること、これは私もいいなと思うわけですね。フードで特化できるからね。あるいは県大があるしということで、それを戦略産業にした理由と、今後の支援方法ということでございます。  特に、食品・ヘルスケア、従業員の数が半端じゃない。一番多いのかな。いろいろな産業があるけど、やっぱりここの食品・ヘルスケアの企業が8万人ぐらいかな、すごい従業員が多いです。ここをやはり特化してやるのはいいと思います。その辺の支援方法についてお聞きいたしまして、1回目の質問を終わります。 54 ◯市長(田辺信宏君) 私からは、大項目、市長の2期目に当たり覚悟はとのお尋ねですが、覚悟はもちろんあります。  さすが副議長を御経験されて、格段とパワーアップされたその存在感に、たじたじとした思いでございます。市行政に対する温かな叱咤激励と受けとめて、質問されたかどうかはわからないのでありますけれども、論点である、若者や女性の人口増が大事だということから、その対策をどのように捉えているのかということについてお答えいたします。  若者や女性の人口をふやす対策がこれから肝になるということは、認識が同じでございます。人口はまちの活力の源泉であり、各種の統計から、20歳前後の若者、あるいは女性をどう確保していくかということは、喫緊の課題であります。その確保条件は、4つの方向性にまとめられると私は考えております。  第1は、大学や専門学校など高等教育機関の拡充、誘致によって、若者や女性が静岡市内で学ぶ機会の増加を図ることであります。  第2は、学んだことを生かした就職先の確保であります。議員御指摘の、産業振興プランにもこれからの取り組みが盛り込まれているとおり、戦略産業の振興や企業立地の推進、起業・創業の促進に取り組んでいくことを通じて、地元で働いて役に立つといいますか、楽しく充実した企業とのマッチングを図っていくということをスタートに取り組んでいきたいと思っています。  第3は、子供を産み育てやすい、子育て支援の一層の充実であります。とりわけ、女性にとっては関心のあるテーマでありますので、これも3次総の中で重点プロジェクトとして掲げている認定こども園、放課後児童クラブの定員拡大による待機児童ゼロの実現、そして育てながら働ける環境、いわゆるワーク・ライフ・バランスの推進、これに一生懸命取り組んでまいります。  そして、最後は、4番目に、若者や女性がここのまちに暮らして楽しい、娯楽性に富む、エンターテインメント性の高いまちづくりを目指していくという方向性であります。  そのためには、ファッションの先端を行く商業施設の集積、例えば、今でもパルコと109と丸井が同じ徒歩圏域に立地しているのは、日本中を探しても、渋谷と静岡市だけであります。このような商業施設の集積というものは、大変大きな要素でありますし、午前中から議論になっているように、中心市街地へのクリエーターの集積、ことしは大型のミュージカルが2つ静岡市に参りますけれども、のみならず、劇団、演劇、コンサート、スポーツ観戦を初め、「「まちは劇場」プログラム」、至るところでわくわくドキドキの楽しい仕掛けがあって、若者や女性を飽きさせない娯楽性の高いまち、この実現、いわゆる文化度の高い文化創造都市といいますか、そういうまちをさらに成熟させていくこと、これも彼らを引きつけるまちの条件だと思っています。  この4つの方向性を、現在策定中の静岡市総合戦略に位置づけ、具体的な事業については、今後、市民の皆さんや企業の皆さんの意見も踏まえて構築をし、若者や女性のさらなる人口増を図ってまいります。  以下は局長に答弁させます。 55 ◯経済局長(築地伸幸君) 第1次産業振興プランの検証結果を、第2次産業振興プランにどう反映したかということでございます。さまざまな御意見がございますけれども、第1次産業振興プランの成果といたしましては、例えば創業支援、それから、中小企業支援の分野では、産学交流センター、清水産業・情報プラザやSOHOしずおかによる創業支援や各種相談事業に取り組みまして、新規の事業者が521名、それから、新事業進出が188社、新商品開発が214点に上るなど、創業しやすい環境づくりはできたのではないかなと思います。  反省点といたしましては、次の2点が挙げられると思います。  1つは、集中的な支援ができなかったことから、本市の経済を力強く牽引する産業の育成が十分に図られなかったこと。  もう1つは、企業支援におきまして、研究開発や商品開発支援を中心に行ってまいりましたことから、販路の開拓支援が十分でなかったことと考えております。  以上の検証結果を踏まえまして、本年4月からスタートいたしました第2次産業振興プランにおきましては、5つの戦略産業を選定いたしますとともに、研究・開発から販路の開拓まで、事業ごとに異なる課題に対しまして、集中的、かつきめ細やかに支援を行う、戦略産業振興プラットフォームを構築し、本市経済を牽引する産業を育てていきたいと考えております。  次に、食品・ヘルスケア産業を戦略産業とした理由についてでございますが、以下の3点により選定をいたしました。  1つは、缶詰、レトルト食品のほか、サプリメントや機能性食品などを製造する食品関連企業が集積していること。  2つ目としましては、県立大学の薬学部や食品栄養科学部、静岡大学の農学部など、食品の機能性や加工技術についての研究素地があること。  3点目としましては、県・中部5市が産学官連携のもと、機能性食品の開発や関連産業の振興、集積を図るフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトを推進していることでございます。  今後の支援方法についてですが、選定理由に挙げました本市の優位性を踏まえまして、戦略産業振興プラットフォームを活用して、例えば、健康への効能が期待される食品であるとか、あるいは品質を損なわずに長期保存が可能な食品などの研究開発、それから、事業化、そして国内はもちろんですが、海外も含めた販路開拓支援などを行ってまいります。   〔30番中山道晴君登壇〕 56 ◯30番(中山道晴君) 2回目は、おとなしく進めさせてもらいます。  歴史文化都市の件でございます。  歴史文化都市についても、午前中、あるいは皆さんのほうからも質問されておりました。二峠六宿の整備をするんだというような話がありましたね。  最初に、第3次総合計画の一番上には、歴史文化都市とされていたので、いや、これはすばらしいなと。私は城内小学校出身だものですから、市長もそうなのですけれども、非常に思い入れが深いわけなんですよね。  そうすると、歴史文化都市とはどんな未来像をつくるのかなと、こういうふうに思うわけですね。  京都や奈良のようにはちょっといかないだろうな。熊本城のように、あんなに立派なものは、まだまだちょっと無理かなと。  未来像について、具体的に駿府城、それから、今度、歴史文化施設ができる。それで、浅間神社も整備するのですね。そうすると、お客様が結構来るなと。久能山東照宮もあるなと。あるいは、清水にはいっぱいありますよね。たくさんある。龍華寺も、清見寺もそうだし、いっぱいある。この3次総の中に、それぞれの資源を、地域資源ととらえて、磨き上げるんだと。だけど、こんなに多くあって、それぞれ磨き上げていったら、いつになるかと思うわけですよね。いつになっちゃうのかな。  そうすると、やっぱりある程度どこかを特化したり、ロードマップみたいにね、やっぱり必要だと。今回、二峠六宿で、真ん中が府中だから、それは駿府城公園だろうと。この辺になるわけですね。  話を聞いてみました。そうしたら、市長のほうから、街道筋の歴史街道ロマン、こういう話があって、あっ、ひょっとしたら中津川の妻籠や馬籠、あんな雰囲気を想像しているのかなというような思いもあるわけですね。  都市局にも聞いたんですよね。浅間神社の建物もきれいになるし、駿府城公園もやるし、歴史文化施設もやると。じゃあ、観光客がいっぱい来たら、どこへとめて、どのように回遊させて、どういうまちをつくるのですかって聞いたら、まだそこまで全然考えていませんという話で、市長の思いが職員のところまでまだ落ちていないなという中において、将来、静岡市の目指す歴史文化都市の未来像は、いかなるものかを聞かせてもらいたいと思うわけでございます。  静岡市は歴史文化都市ですよ、あるいは静岡型の歴史文化都市です、こうですよというやつが聞かせてもらえたらありがたいと思うわけです。  観光客のおもてなしについては、市長からもさっき何ページかにありましたね。もう1回来てもらいたい数を何%か上げると。今、50%くらいですかね。60%くらいに上げるという話になっているのですけれども、我々民間企業からすると、大体不満足度50%なんていったら、アウトですよね。不満は聞いて、常に製品を直すということですから、80から90%くらいはまた来たいというふうにしてもらいたいのです。それは民間商品とおもてなしとはちょっと違いますから、いいですけれども、おもてなしをもっと強化すべきだと、私は思います。  私は孫と一緒に、駿府城公園を土日のどちらかで大体行っているんです。あそこにおもてなし所があるのですけれども、自動販売機なんですよ。自動販売機で焼きおにぎり、たこ焼きとか、そういうのがあるのです。こうやって買えというわけですよね。いや、ちょっとおもてなしにしてはひどいななんて。  今年度は家康公四百年祭ですから、おもてなし、お休みどころは、駿府ウエイブの方に来てやってもらうのですけれども、いまいちですね。  いろいろな観光地に行けば、見るでしょう。すごく立派なやつがある。蓮華寺池公園の前に、スターバックスができる。2月に公園カフェの話をして、できますよって話をしていたのだけれども、やっぱり覚悟で、やるならやれよということを言いたい。やるならやれと。  そして、歴史文化施設ができるというので、これも集客機能を持つ施設は、非常に期待が持てるのですけれども、やっぱりお茶を飲んだり、お土産ですね、大体。市立美術館とか、あるいは登呂博物館、あの程度は予想できるのだけれども、あれで十分かな、そういうことがありますので、来館者の対応はどういうふうに考えているのか。  あるいは、駿府城公園の桜の名所づくりと天守台跡の発掘調査、これもどのようにするのかなと。  それから、おもてなしについて、今言った駿府城公園の案内所、この辺ももう少し充実してほしいなと。どうなったのかと、こういうのを聞きまして、2回目とさせていただきます。 57 ◯企画局長(山本高匡君) 第3次総合計画の歴史文化のまちの未来像について回答いたします。  3次総の基本構想では、「世界に輝く静岡」の実現のために、目指す都市像として、「歴史文化のまち」と「健康長寿のまち」の2つを掲げております。このうち、「歴史文化のまち」に関しては、本市が持つ輝かしい歴史や文化に改めてスポットライトを当て、ストーリー性を持たせたり、付加価値を高めたりすることで、さらに魅力的な地域資源として磨き上げ、交流人口の拡大により経済的な価値を生み出し、地域活力につなげていくものであります。  抽象的に言うとそういうことですが、議員の御質問にあった、「歴史文化のまち」の未来像の具体的なイメージをできるだけお伝えしたいということで、みんなで議論しました。今、例示でいっぱい日本のいいところを挙げていただいたのですが、何しろ「世界に輝く静岡」なものですから、世界のまちで、あえて挙げさせていただければ、アメリカのボストンのようなまちが、今後目指すべき、また、研究すべき都市ではないかと名前が挙がってまいります。  ボストンは、アメリカ建国ゆかりの地とも言われ、当時をしのぶ名所旧跡が数多く残るとともに、学術、芸術、音楽、スポーツなど、多彩な文化を楽しむことができ、全米はもとより、国外からも毎年大勢の観光客が訪れております。  しかし、その歴史はわずか300年程度であり、弥生時代から2000年以上の歴史を紡ぐ本市のほうが、はるかに多くの地域資源を有しているとも言えます。  本市には、登呂遺跡、古墳時代の遺構、鎌倉時代に聖一国師がもたらした茶文化、今川義元公、徳川家康公など、まだその価値が十分認識されていませんが、世界に誇れる歴史文化資源が数多くあるものと思います。  家康公四百年祭が行われていることし4月には、これまで門外不出と言われた京都市上賀茂神社の斎王代と福岡市の博多祇園山笠に、初めて本市にお越しいただきました。この出来事は、市民ですら気づかずにいた本市の歴史の重みや、その価値に対し、全国の方々が敬意を払ってくださった、静岡市民がまさに誇るべき出来事であり、本市が歴史文化のまちを目指すべき、資格と資質を備えているその証左にほかならないと思います。  今後は、歴史文化のまちの、より具体的な未来像を描きつつ、市民の皆さんが本市の歴史や文化について学び、理解し、そのすばらしさを実感でき、市民のみならず、世界中の人々が本市の歴史や文化に引かれ、集まる、「世界に輝く静岡」と誇れるまちになれるよう、取り組んでまいります。
    58 ◯観光交流文化局長(木村精次君) 駿府城中案内所と、歴史文化施設の質問についてお答えいたします。  まず、駿府城中案内所でのおもてなし施策の状況についてですが、駿府城公園内売店横に、家康公四百年祭への来訪者や公園利用者への、情報発信とおもてなしの強化のため、徳川家康公や駿府城の歴史を案内する駿府城中案内所を本年1月17日に開設いたしました。  当案内所では、ボランティアガイドの駿府ウエイブの皆様が、駿府城公園内のガイドや、浅間神社や久能山東照宮など、家康公ゆかりの歴史を中心に案内し、観光客や公園利用者へのおもてなしを行っております。  とりわけ、先日新聞にも出ましたが、職員の発案による子供用衣装の着つけサービスは、本格的な陣羽織や小袖が無料で手軽に着られるため、親子連れの観光客の皆様に大変御好評をいただいております。  開所時間は、土日祝日の10時から15時までで、開設以来4月末日までの集計で、延べ2,403人、1日当たり平均73人の方に御来所いただきました。  今後も、家康公四百年祭の秋のシンボルイベントであります、駿府天下泰平祭りに向け、歴史ガイドを中心とした観光案内を強化していくとともに、園内ガイドツアーの内容充実や駿府城公園来所記念の楽しみとして、子供用衣装を着た記念撮影の定着化を図り、観光客へのさらなるおもてなしの向上を図ってまいります。  次に、歴史文化施設の来館者への対応についてですが、歴史文化施設の整備については、3次総で目指す、歴史文化のまちを具現化する施設として、平成27年度基本計画の策定に向け取り組んでいるところです。  計画策定に当たり組織した建設検討委員会の第1回を5月22日に開催し、歴史文化施設の果たすべき役割の1つである、ビジターセンター機能の内容について検討を開始いたしました。  委員会では、静岡の歴史の何を見せることで人を集めるのか、静岡の食文化に欠かせない静岡茶が飲める、高級感のあるカフェの設置などの意見が出されました。  集客のためには、ターゲットや魅力的なテーマを示すべきであり、他市ではできない、静岡市ならではのものを追求し、来訪者に満足していただける施設となるよう、次回以降も継続してビジターセンター機能を検討していきます。  また、歴史文化施設は、官民協働でつくり上げていくものであるとの認識から、現在、観光、商業分野の関係団体や文化財保護、歴史を学ぶ団体等から、歴史文化施設に備えるべき機能や、連携して取り組める内容などについて、聞き取りを行っております。  今後は、展示内容や運営方法などについても検討を進め、基本計画に反映させていく予定でございます。 59 ◯都市局長(塚本 孝君) 歴史都市の拠点として、駿府城公園で取り組む2つの事業の内容でございますが、1つ目の桜の名所づくりでは、駿府城公園を東海道随一の桜の名所となるよう、駿府城公園内はもとより、中堀に面した官公庁や学校などにも桜の植栽に御協力をいただき、1,000本の桜が咲き誇る桜の名所づくりに取り組んでまいります。  具体的には、園路沿いの桜の回廊や、花見が楽しめる広場の整備とともに、桜の開花が長く楽しめるよう、ソメイヨシノを初め、カンヒザクラやサトザクラなどの品種も含め植栽してまいります。  2つ目の発掘調査でございますが、駿府城天守台の再建を目指し、本年度は発掘調査の準備作業を行い、平成28年度より本格的な調査に着手いたします。  この調査では、遺構や埋蔵物の調査及び資料などを整理することにより、天守台のあった時代、位置、構造などを検証し、この結果を踏まえ、改めて天守閣を見据えた天守台整備の検討を行います。  さらに、この発掘調査を観光資源としても活用するために、観光客や市民の皆さんに、調査の様子をゆっくり見ていただく場や、駿府城に関係します学習の場にもなるよう、工夫をしてまいりたいと考えております。  今後は、市民の憩いの場である駿府城公園が、静岡の歴史的な名所の核となり、国内外の人々を受け入れる拠点となるよう、一層の磨き上げを行ってまいりたいと考えております。   〔30番中山道晴君登壇〕 60 ◯30番(中山道晴君) 最後は意見・要望になります。  何にも増して、やっぱり4年間で結果を出すというのが一番大事でございます。丹沢議員も言いましたように、20万人ふやすと言うなら、毎年20万人ふやすんだったら、どういう形でふやしていくのかと。観光の方はたくさん来ている。それが、どうして転入のほうにまだ行っていないのか、その辺もやっぱり数字をしっかりとらえて、進めてもらって、4年後にはよくなったという結果が欲しいと思うわけでございます。  覚悟というのはちょっと違うところですけれども、これだけ第3次総合計画は、市だけではできないと。県や、隣の市町村もあわせてやらなきゃいけない。そういう中において、県知事と市長が何かうまくいっていないような雰囲気がちょっとあるので、やっぱりここは覚悟を持って、情報交換の対談などをぜひともやってもらいたい。  我々会派は、県都構想とか言われちゃって、ちょっと嫌なのだけれども、でも、市民のためにやっぱり情報を交換して、意見を交換して、進めなきゃいけない。ここは覚悟を持って、裏でもいいから、県知事と話し合いをして、市政だよりの上にきちっと県市連携していますよみたいな対談の様子を毎月どんどん載せるような、そんな具体的なことを一つ提案しまして、全質問を終わりにいたします。  以上です。    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 61 ◯議長(繁田和三君) 次に、風間重樹君。   〔26番風間重樹君登壇〕 62 ◯26番(風間重樹君) 今回は、県と市の連携について、広報戦略について、また、今後の地域医療について、これにつきましては、新たな局面を迎えました桜ヶ丘総合病院の移転問題について質問をしていきます。  川勝平太静岡県知事が、先ごろ住民投票によって否決された大阪都構想を大きな問題提起と評価し、県と政令市間にある二重行政を解消するため、静岡型県都構想を進めると発言いたしました。  静翔会では、今回の質問に先立ち、構想の中身を直接確認すべく、昨日、川勝県知事と面談をしてまいりました。  構想では、県を5つの圏域、静岡市、志太中東遠、東部、伊豆北部、伊豆南部に分けて県庁の拠点を整備。浜松市はさらに権能を持つ特別自治市として独立。静岡市は将来的に人口の減少が予測されていることから、市税収入等の財政力の面から考えても、県が県都として直轄、行政運営の一元化を進める。静岡市は存続しながらも、県が広域的な政策を担う一方、清水、駿河、葵の3区を総合区と位置づけ、権限を強化、より個性、特色のある住民に密着した施策を行うというのが構想の骨子です。  これからの静岡県と静岡市の関係を考える一つの方法であると、この構想については認識を共有したわけですけれども、知事は、県民、市民のためにどうすることが最もよいのかを考えることは大切だと話していました。  つまりは、知事は相当この構想については本気で、がちでやる気になっているというような印象を、私たちは強くした次第であります。  しかし、この一方では、市民から県と市の関係悪化を懸念する声も聞かれ始めていることも事実であります。  本市としては、二重行政の弊害、県と市の連携に課題があるとすれば何か。その課題は、現在直面する課題か、将来的に発生するであろう課題か。そして、その課題は現状の枠組みでも、協議を重ねれば解決できるのか、あるいは根本的に県、市のシステムを変えなければ解決できない課題なのか、改めて冷静に整理する必要があると考えています。  まず、現在の県市連携の状況について質問してまいります。  平成26年度、県市連携を担当する企画局は、局の使命として、都市の発展の源である人口、活力の維持による地域経済の活性化を実現するため、市民はもとより、経済界や有識者など、あらゆる衆知を結集し、政策を企画立案、実行するとともに、各局が所管する重要政策の総合化を図る、これを掲げております。  その中で挙げられた課題は2つ。  1つ目は、厳しい財政状況を打破し、都市の発展を実現するため、官民連携、県市連携をさらに進めること。  2つ目は、静岡県中部圏域の発展を牽引する政令指定都市静岡という自覚、視点から政策を進行すること。この成果目標には、県市連携の深化により、双方の事業成果の拡大を掲げ、本市における、県の発展を牽引する重要事業について、県市が連携して推進するとし、具体的事業には、日本平周辺、東静岡、清水港周辺、南アルプス、麻機遊水地等の整備が挙げられていました。まずは、これらの行政課題が県と本市の間で適切に処理されてきたかどうか、そこが気になるわけであります。  そこで、県市連携について、4点質問いたします。  1点目は、これまでの経緯と具体的成果についてどう考えるのか。  2点目は、本年度予定している県市連携のテーマは何か。  3点目は、本市と県との間に行政運営上の対立はあるか。  また、4点目として、本市と県の間に二重行政の弊害があるかについて質問する予定でおりましたけれども、先ほどの尾崎議員からの質問と重なりますので、割愛させていただきます。  次に、県市連携に関連して、静岡型県都構想について、7点お伺いいたします。  1点目、県が基礎自治体に関与することについて、制度上可能性はあるのか。  2点目は、県が基礎自治体に関与することについて、地域主権の観点からどう受けとめるのか。  3点目、将来的に県との連携が必要な広域的政策にはどのようなものが考えられるのか。  4点目、総合区制度について、改めてどう考えているのか。  5点目は、昨年度の地方自治法の改正により、指定都市都道府県調整会議が設置されることになりましたが、その必要性についてどう考えるのか。  6点目として、知事が独自に提唱している静岡型県都構想をどのように受けとめているのか。  7点目として、県知事から静岡型県都構想の協議の申し入れがあった場合、市長としてどう考えるのか。  以上で1回目の質問を終わります。 63 ◯市長(田辺信宏君) 私からは、大項目1、県市連携について、静岡型県都構想をどのように受けとめているか、協議の申し入れがあった場合、どう応えていくのかという2点についてお答えをいたします。  静岡型県都構想について、私は直接県知事から伺ったことはなく、今のところ報道を通して知る以上に具体的な内容を聞いていないため、本会議でコメントできる段階ではありません。  私の県市連携、あるいは理想の地方自治制度については、午前中、丹沢議員にお答えしたとおりであります。  今後、この県都構想なるものが、まず県庁内において所管課と練り上げられ、制度としてきちんと検討、整理され、静岡市に正式に協議の申し入れがあった際には、適切に対応してまいりたいと考えています。  以下は局長に答弁させます。 64 ◯企画局長(山本高匡君) 県市連携の3点の御質問にお答えいたします。  まず、県市連携の経緯と成果についてでございますが、県、市に共通する行政課題に連携して取り組むことを目的に、平成24年度から副市長、副知事をトップに、県市地域政策会議を立ち上げたところでございます。  この会議においては、先ほど議員からも御説明がありましたとおり、日本平、清水港ウオーターフロント、三保松原周辺、東静岡、麻機遊水地、南アルプスの6つのテーマについて、それぞれワーキンググループを設けて、諸課題の整理や、県市の役割分担の確認・推進方策の検討などを行っております。  また、このほかにも、県市共同でG8サミットの誘致に取り組むなど、具体的な連携も進めております。  こうした連携の成果といたしましては、有度山周辺の県・市施設、民間施設による首都圏への共同プロモーションの実施や、県、市、民間で取り組む客船誘致活動による清水港入港客船数の増加、三保松原の保全と活用に向けた管理基本計画の策定、南アルプスのユネスコエコパークへの登録などが挙げられます。  このように、各事業において県と市の連携は十分に図られており、その効果も着実にあらわれてきているところでございます。  次に、本年度の県市連携のテーマについてでございますが、ただいま御説明申し上げました県市地域政策会議の議題といたしましては、県が推進する日本平山頂シンボル施設構想を含めた、日本平公園整備計画の見直しなどの調整が1点。2点目は、東静岡における市有地と県有地の効果的な利活用に向けた検討。3点目は、清水港ウオーターフロントにおける大型クルーズ船の受け入れ態勢の構築。4点目は、三保松原保全実行委員会を通じた松枯れ対策の共同実施。それから、平成28年2月までにユネスコへの提出が求められております、富士山世界遺産の保全状況報告書の策定等が挙げられます。  これらの解決に当たっては、県との連携、協力が欠かせないものであるため、今後とも県市の一層の連携を図ってまいりたいと考えております。  次に、本市と県との行政運営上の対立についてでございますが、先ほども申し上げましたとおり、県市にかかわる個々の事業においても、諸課題の整理、県市の役割分担の確認などについて、常日ごろから協議、調整を重ねておりますので、行政運営上の対立関係はないものと認識しております。  次に、静岡型県都構想の御質問についてお答えいたします。  県の関与等についてでございますけれども、県と市町村は、基本的には対等、協力の関係にございます。地方自治法では、県は法律またはこれに基づく政令によらなければ、助言または勧告、是正の要求など、市町村に関与することはできないこととされております。  また、地方分権の観点から申しますと、県の関与は、市町村の自主性と自立性に配慮し、その目的を達成するために必要最小限のものであるべきと考えております。  続きまして、将来的に県と連携が必要な広域的政策についてでございますけれども、静岡県は平成26年、住民基本台帳人口移動報告の都道府県別転入超過数において、全国ワースト2でございましたことから、人口減少については、県市共通の喫緊の課題となっており、今後、県市の連携により、地域の魅力の発信、移住・定住の推進等に取り組んでいく必要があると考えております。  地方創生の動きの中では、政府関係機関の地方移転につきまして、県が提案主体となることとなっております。本市の要望の実現に向けては、県と市が連携、協力しながら取り組んでいくことが不可欠であり、一層の連携を強化することが必要であると考えております。  また、これまでも県市連携のもとに取り組んできておりますものとして、広域観光やU、I、Jターンの就労支援などがございますが、こうした取り組みについても、県市連携のもと、これまで以上に広域で取り組んでいくべき政策であると考えております。  最後に、指定都市都道府県調整会議の必要性についてでございます。  この会議は、平成26年6月の地方自治法の改正により、指定都市と都道府県の事務処理に係る連絡調整を行うために必要な協議をすることを目的として、平成28年4月から設置することとなっております。  本市においては、既に、静岡市長、浜松市長、県知事の任意の意見交換の場として、県・政令指定都市サミット、G3を設置しており、これが調整会議に期待される役割もあわせて果たしてまいりました。  今般の法律改正により、首長同士の連絡調整の場が設置されるとともに、必要に応じて市長または知事から総務大臣への勧告要請などが制度化されたことから、一層、県市の連携を図りやすい環境が整ったものと受けとめております。 65 ◯総務局長(三宅 衛君) 県都構想のうち、総合区制度についてですが、総合区制度は、大都市における住民自治を強化するため、第30次地方制度調査会の答申を踏まえ、平成26年5月の地方自治法の改正により創設されたもので、28年4月に施行されます。  この制度では、指定都市におけるこれまでの行政区にかえて総合区を設け、議会の同意を得て選任される特別職の総合区長が、区域におけるまちづくりの推進に係る事務を実施するほか、職員の任免や予算に係る市長への意見具申ができることとしております。  しかし、本市としては、現行の制度の中で、着実に区役所の機能強化を進めており、総合区制度への移行は考えておりません。  具体的には、本年度から新たに予算要求に関する権限を区役所に付与したほか、区民ニーズを踏まえ区が行ってきた魅力づくり事業の拡充に加え、窓口サービス向上のための、区役所の環境整備や職員のスキル・モチベーションアップを図る人材育成に取り組むなど、区役所の機能強化を図りました。  また、これまで区のまちづくりを推進するために、区民懇話会を実施してきましたが、これを見直し、区が主体的に取り組むべき地域課題等について、区長とより多くの区民が意見交換できる場を設けていきます。   〔26番風間重樹君登壇〕 66 ◯26番(風間重樹君) 御答弁ありがとうございました。  私自身、現在、県と市の間にそのシステムを変更しなければならないほど急を要する大きな対立や、二重行政の弊害はないと考えています。  先ほど尾崎議員のほうからも話がありましたけれども、二重行政をどうとらえるかというのは、非常に難しい問題ではありますが、システムを変更しなければならないほどの二重行政があるとは認めていません。  また、知事の考える静岡型県都構想については、制度上からも、早期の実現可能性は低いと見られています。  答弁では、県との間に行政上の対立や二重行政の事例はないとしていますが、今後はさらに、当局の方針を具体化するために、県市連携の進行により、双方の事業成果の拡大、静岡県中部圏域の発展を牽引する政令指定都市静岡という自覚、視点を大切に、十分な協議を重ね、政策を推進するようにお願いしたいと思います。  しかし、午前中の議論にもありましたけれども、政令指定都市市長会が指摘するとおり、現在の指定都市は、制度上の位置づけや役割が不明確であり、また、役割分担に応じた税制度が存在しないといった、構造的な問題も抱えているのが、また、一方では事実であります。  静翔会では、今回の川勝知事の県都構想は、経済のグローバル化による世界的な都市間競争の激化や、少子化等による人口減少の到来や急速な高齢化など、本市を取り巻く状況が大きく変わっていく中で、将来の政令指定都市静岡と県とのあり方について、議論を交わす好機ではないかと受けとめています。  田辺市長には、この点を踏まえ、今後とも冷静な対応をお願いいたします。  2回目の質問は、広報戦略と今後の地域医療、JCHO、独立行政法人地域医療機能推進機構から市に対し、新たな移転用地に対する情報提供の要望があった、桜ヶ丘総合病院の移転に関してお伺いいたします。  まず、広報戦略については、現在、見直しが進んでいる静岡市戦略広報プランと、多くの自治体で手法を取り入れている地域ブランドについてお伺いいたします。  少々古いデータにはなりますが、平成19年に市が首都圏で行った実態調査によると、「静岡県にある静岡市と聞いて、思い浮かぶことはあるか」との問いに、「ある」と答えた人はわずか13.1%。静岡と聞かれ、漠然とでしょうけれども、浮かぶものと同じ、静岡と聞かれて、静岡市と同じようなものが浮かぶというように答えた人が63.3%、また、「よくわからない」と答えた人も23%に上りました。  当時の市議会会議録を見ますと、当局はこれらのデータを踏まえ、広報戦略、シティセールスを一層強化したいと答弁されていました。  さて、本市では、これらのデータを踏まえ、平成22年3月、静岡市戦略広報プランを策定いたしました。プランの目標は、静岡市のイメージの確立とブランド化、さらなるイメージアップ、シティプロモーションの推進に寄与し、静岡市ファンの拡大、ひいては交流人口、定住人口にもつなげたいというものでした。  静岡市戦略広報プランの策定後は、目標のとおり、本市に対する認知度は高まっていることを期待したいものです。  現在、この静岡市戦略広報プランは改定作業中とのことですが、静岡市戦略広報プランについての質問は1点、これまでの成果について、どのように自己評価し、今後につなげていくのか、お聞かせください。  次に、広報戦略の2点目です。これは鈴木直明議員、それから中山議員の質問とも関連しますけれども、地域ブランドについてお尋ねしたいと思います。
     「うどん県。それだけじゃない香川県」。このキャッチフレーズを聞かれた方は多いと思いますが、同県の人口は2010年の国勢調査で99万5,000人と、1980年以来30年ぶりに100万人を下回ったことで、浜田知事がまちににぎわいを生むのは人口。観光やコンベンションなどを盛んにして、まず交流人口をふやしていきたい。そのためには、知名度や情報発信が必要との思いから、プロジェクト予算として5,300万円を計上。このブランド戦略が県内外から多くの注目を集め、うどん以外の食や文化など、うどんだけじゃない県の魅力を発信。現在では、県及び瀬戸内ブランド全体の力を高めています。  地域ブランドの定義について、経済産業省は、地域発の商品、サービスのブランド化と地域イメージのブランド化を結びつけ、好循環を生み出し、地域外の資金、人材を呼び込むという、持続的な地域経済の活性化を図ることとしています。  さて、本市の場合はどうでしょうか。平成23年に行われた調査のデータがあります。これが直近のデータということなのですけれども、静岡市の戦略資源及びキャンペーンに対する消費者調査を見て、少々驚きました。  静岡市が「魅力的」と答えた人は11.8%、「やや魅力的」と答えた人は41.7%、何と全体の59%が「魅力的」と答えています。また、静岡市の魅力として影響している要因については、1番目に「魅力的な観光地・場所があるから」としています。  しかし、問題なのはここからです。さらに魅力的な観光地・資源を尋ねたところ、1位が富士山、2位が伊豆、3位が浜名湖という結果。1位以外は静岡市以外の資源で、静岡市以外の資源を静岡市の魅力として捉えている可能性が高いと分析されています。  また、静岡市の魅力として影響している要因として2番目に挙がった「食事がおいしい、特徴的なメニューがあるから」では、1位がお茶、3位が静岡おでん、2位が何かというと、これは浜松市等で特徴のあるメニュー、ウナギという名前が挙がっていました。  さらに、静岡市の魅力として影響している要因として3番目に挙がった「魅力的なものがあるから」については、1位がピアノ、2位がバイク、3位がプラスチックモデルの順。しかも、この項目では、全回答中、静岡市外の製品が7割から8割を占めていたとのことです。  実態調査から多少、年もたっているものですから、認知度も上がってきているようには思いますけれども、戦略的に優位性を持った地域資源があるのにもかかわらず、どうやらそれが十分に伝わっていないという実態を端的にあらわすテータとなっていました。  質問は1点、地域ブランド戦略の必要についてはどのように認識しているのか、お尋ねいたします。  次に、今後の地域医療については、新たな局面を迎えている桜ヶ丘総合病院の移転問題について質問していきます。  先月12日、同病院を運営するJCHO、独立行政法人地域医療機能推進機構から田辺信宏市長あてに桜ヶ丘総合病院の移転用地の確保にかかるお願いがあったと聞いています。  要望では、桜ヶ丘総合病院は、今後とも地域の方々に質の高い医療を提供し、地域全体を見据えた医療を推進していきたいと、その姿勢を明確にした上で、改めて移転用地を再検討したく、静岡市に対し、移転先として最適な用地の情報提供をお願いしたいとのことです。  桜ヶ丘総合病院の建物は、昭和34年、その後、改修や増改築が重ねられましたけれども、老朽化が進んでおり、建築当時には建築基準法に基づいた建物であったものの、現在では、その一部は耐震基準を満たしておらず、また、医療設備も古くなり、アメニティーの面からも、患者に対して十分な快適性を提供しかねなくなっているのが実情のようです。  このことから、平成13年に旧社会保険庁が市内大内新田等に取得した移転用地での建てかえを検討してきたことは、議員各位、御承知のとおりであります。  今回新たに情報提供を依頼してきた理由は、大きく分けて2つあると思います。  まず1点目は、公共交通機関の面で、利用者に極めて不便であること、2点目は、取得後の法改正などにより、造成費用の増加や開発許可の申請期間が必要になることなどが挙げられております。  本市では、毎年6月と11月に、国に対する要望書の中で、この桜ヶ丘総合病院の移転を最優先にしてくれということで出していたわけなのですけれども、今回、このJCHOからの要望を受けて、要望書の中から桜ヶ丘総合病院については削除。新たな移転用地の情報を提供するための検討に入ったと聞いています。  質問は1点であります。JCHOからの要望にどのような姿勢で対応するのか、お聞かせください。  以上で2回目の質問を終わります。 67 ◯総務局長(三宅 衛君) 戦略広報プランについて、その成果の自己評価と今後の方針についてですが、現在の静岡市戦略広報プランは、平成22年3月に策定し、政策と広報を一体として行うという理念のもと、市政情報を積極的に発信することで、住民満足度の向上、職員の意識改革、シティプロモーションの推進などを目指しています。  これまでの成果としましては、広報紙やテレビ、ラジオ、フェイスブックなどの各種広報ツールを活用したメディアミックス広報や職員を対象にした実践的な広報研修などを実施してきた結果、住民満足度の向上という点では、市民意識調査で本市に対する好感度は、過去3年間90%前後という極めて高い割合で推移しています。  また、報道機関への資料提供の件数が、平成22年度の1,713件から26年度の2,074件と、約20%増加していることから、戦略広報の土台づくりはできているものと考えています。  しかしながら、情報発信を行っているにもかかわらず、静岡市は情報発信やPRが弱いという声も依然として聞こえることから、結果として、市の情報がまだまだ市内外に伝わっていないとの危機感を持っています。  市の情報が伝わってこその広報です。これからは、受け手に効果的に伝わる戦略的な広報を実施していかなければならないと考えています。そのためには、職員一人一人が本市の広報パーソンとしての当事者意識を持つことで、情報発信力を強化していきたいと考えています。  また、組織的には、今年度、シティプロモーション課とシティプロモーション東京本部を新設し、シティプロモーションの強化に取り組んでいるところであります。  今後、戦略広報プランについては、伝わる広報やシティプロモーションの強化の視点を盛り込んだ見直しを行い、各局が連携し、全庁を挙げて戦略的な広報を展開していきたいと考えております。 68 ◯観光交流文化局長(木村精次君) 地域ブランド戦略の必要性についてですが、人口減少社会を迎え、都市間競争の中で選ばれる都市となるためには、市内外の人や企業に、本市に行きたい、住みたい、住み続けたいという気持ちを引き起こすことが必要となります。国内外へ積極的に情報を発信し、本市の魅力や価値を広く知ってもらい、都市イメージを向上させていくことが欠かせません。  これまで戦略広報プランの中で定めたキャッチフレーズ「ほっとするHOTなまち静岡市」を使用し、本市の広報及び認知度向上を図ってまいりました。しかしながら、民間が実施している市区町村魅力度ランキングにおいて、1,000の市区町村のうち、平成25年は85位という結果であり、本市の魅力度、認知度はまだまだ低い状況であると考えております。  そのため、戦略広報プランの見直しにおいてもシティプロモーションの強化を考えており、27年度、初めて全庁を挙げて推進する具体的な地域ブランド戦略の作成に取り組みます。  地域の魅力をどのように見せるか、消費者にいかに認知されるかが大切であるため、実績のあるPR戦略の専門家にも御意見をいただきながら、本市の特性を生かした地域ブランド戦略を検討してまいります。 69 ◯保健福祉局長(村岡弘康君) 独立行政法人地域医療機能推進機構、略称JCHOからの要望への対応についてでございますが、本市としましては、これまで国に対し、桜ヶ丘総合病院の耐震基準の問題や医療設備等の老朽化などから、移転新築を早急に決定することを要望してまいりました。  また、桜ヶ丘総合病院は、平成26年9月にJCHOあて、清水区大内新田への移転整備計画書を提出し、協議を行っていると聞いておりました。  こうした中、本年5月にJCHOから本市に対し、桜ヶ丘総合病院の移転先として最適な用地の情報提供の要望がございました。  その理由としましては、議員がおっしゃれたように、造成費用の増加、公共交通機関のアクセスなどの課題があるため、早急に移転できる観点から、予定地を含め、再検討することに至ったとのことであります。  本市としましては、桜ヶ丘総合病院は清水区の中核病院の1つとして位置づけていることから、この要望を重く受けとめております。  そのため、市民に対する地域医療の確保、地域包括ケアシステムの構築、さらには、まちづくりの観点も踏まえて、早期に移転新築できるよう対応してまいりたいと考えております。   〔26番風間重樹君登壇〕 70 ◯26番(風間重樹君) 御答弁ありがとうございました。  昨年、都市建設委員会で宇都宮市を視察いたしました。目的は、自転車のまち推進計画。「走れば愉快だ宇都宮」をキャッチフレーズに、自転車のまちを広くアピールしていました。  私は、自転車のまち推進計画そのもの以上に、宇都宮市のブランド戦略にも強い関心を持ちました。  平成21年に発表された宇都宮市のブランドメッセージは、「住めば愉快だ宇都宮」。「愉快だ宇都宮」の言葉の前にどんな言葉を入れてもよく、また、ロゴマークは申請により企業、個人商店、誰でも使用することができるため、官民一体となった、ギョウザだけではない、愉快な宇都宮を売り出すことに成功しています。  昨日、同市のホームページを開いたところ、平成25年度はメディアプロモーションを強化したことにより、各方面から高い評価を集め、メディア露出実績は昨年度と比べ約3倍にもなったというような記事が載っておりました。  地域ブランドにつきましては、このほか、県レベルでは、先ほど取り上げました香川県、広島県や島根県でもユニークな地域ブランド、広報戦略を展開しております。  地域ブランド戦略では、市長の言う、ないものねだりからあるもの探しへのコンセプトと全く同じであります。ぜひ全庁的な取り組みをお願いいたします。  また、ブランド戦略作成に際し、大手広告代理店を戦略パートナーとしている自治体も多いと聞いています。本市でも、実績のあるPR戦略の専門家にも意見をもらいたいというようなことを聞いておりますけれども、あわせて、地域のことを知り尽くしました運命共同体であります、地元の広告代理店やコピーライターたちの御協力を仰ぐことも、今年度、ぜひ御検討をいただきたいと思います。  次に、桜ヶ丘総合病院の件ですが、要望を重く受けとめ、市民に対する地域医療の確保、地域包括ケアシステムの構築、さらにはまちづくりの観点も踏まえ、早期に移転新築できるよう対応したいというお答えでありました。  ここで3点の要望をさせていただきます。  まず1点目は、現在、同病院に通院されている方々に十分な配慮をいただきたいということです。  平成25年度、桜ヶ丘総合病院の延べ患者数は6万6,633人、このうち岡地区が8,115名で全体の12.2%、また、70歳代が2,628人で特に多く、50歳以上の総計は7,156人と、88%を占めております。  岡地区に次ぐ延べ外来患者数は、多い順から、有度地区の6,802名、入江地区の5,426名、飯田地区の5,246名、浜田地区の4,305名、船越地区の3,828名、清水地区の3,530人、この上位の7地区の合計で3万7,252名と、全体の56%を占めております。  JCHO側からの要望にもありましたが、移転先までのアクセスは、現病院に通う患者、また、高齢化に向かう本市の地域医療を安定したものにするためにも、大変重要な論点となります。  次に、2点目として、防災拠点としての位置づけです。  本市は、発生が予想される南海トラフ巨大地震などの震源域にあり、移転新築に際しては、災害時の医療や救急医療などの公的な役割を、これまで以上に担っていただくことになります。地震、津波、風水害の自然災害に強い地域での情報提供をぜひともお願いいたします。  また、3点目として、今回の情報提供とあわせ、市が望む病院機能のあり方について、早い段階で確実に伝えていく必要があると思います。  現在の桜ヶ丘総合病院の病床数は199床、診療科目は7科で構成されています。産婦人科と小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科は休診中となっています。  本市は、医師数、病床数、そして救急病院の数も、他の大都市の人口比率に比べ低いというデータが出ています。医療や介護サービスが充実した地域に人口が集中し、充実していない地域の人口が減少する傾向が一層顕著になると指摘されている中で、都市の中枢性、魅力を高める上においても、今後急がれる総合病院を核とした地域包括ケアシステムの充実、整備をしていく上においても、同病院の移転は重要な意味を持つものと思われます。  以上を踏まえ、一日も早い候補地の情報提供をお願いし、質問を終わります。    ─────────────────── 71 ◯議長(繁田和三君) 本日は、これにて延会いたします。         午後4時47分延会    ─────────────────── Copyright © Shizuoka City, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...